《リアルタイム》情報公開ものがたり日誌 2002.4.7開始



開始2002.4.7〜12.9

2003年は新しいファイルへどうぞ。

――2002.4.7―――
緑化フェアとは何だったのか?
 石川県も金沢市も、情報公開という制度を持っている。
しかし、一般市民がこの制度を実際に使って「知る権利」を主張するのは、なかなか大変である。
 これにかかる時間や費用の問題もある。閲覧するだけなら無料であるが、詳しく検討したい時は、コピーをもらう必要があるし、非公開処分が不当と思えば、異議申立をすることになるが、証拠となる資料を持っている必要もあろう。
こうした物理的な問題は確かにあるのだが、一番大きなハードルは請求者自身の問題意識と権利意識にある。
「何を知りたいのか?」を明確にすることだ。最初は漠然としたものでもいいのだが、公開された資料を検討する中で、次第に問題意識が鮮明になっていくはずだ。
それと、「お上」に対して権利者としてふるまう堂々たる姿勢を持つことだ。

 先日、「全国都市緑化フェア2001」の最終報告が出された、と報道された。
この「緑化フェア」整備について、以前、ナギの会と金沢自然観察会(吉岡勇代表)が共同で、ニワトコプロジェクトをつくり、草木類が本丸跡地で大量に伐採された問題を石川県公園緑地課に問題提起したことがあった。
 その時、木村課長から「ちょっとやりすぎたかもしれない。申し訳なかった。これからは専門家の意見も聞いて整備を進めたい」と陳謝された。

 緑化フェアが始まり、見に行ったが、「なんとも情けない。これが何で都市緑化なんだ?」との思いを強くした。
 本来、金沢城址と三位一体である兼六園や辰巳用水がほとんど話題にならず、兼六園への入園者も増えなかった。
 緑化フェアについての疑問を解決するためには、県がもっている資料から考える必要がある。近く、県に情報公開請求するつもりである。

 で、こうしたホームページも公開しているので、いっそのこと、これから私が緑化フェアについて情報公開請求する経過をこのコーナーに紹介したいと思う。
題して「リアルタイム・情報公開ものがたり日誌」。
まあ、話題にもならないだろうけど、ひっそりと始めます。自分自身のために。
 とりあえず、第1回目。
 この日誌を発見された方、よろしくご支援、ご指導を。―――渡辺 寛(2002.4.7)

―――2002.4.11―――
緑化フェアは情報公開の対象にならない
 思い立った日のが4月7日。
 早速、都市緑化フェアを所轄する「公園緑地課」へ電話してまず相談した。
「緑化フェアのことを知りたいが……」
「緑化フェアのことは別組織の委員会でやっている。詳しくはそちらへ聞いて欲しい。」
電話番号を聞いて、委員会へ電話。

「ここは県とは別組織になっているので、情報公開の対象にならない」という趣旨の返事。
あれほど県が大々的にやったイベントが情報公開の対象にならないとは不思議である。
あるいは第三セクターのように、金沢市や関連企業や団体が出資している企業としてスタートしているのかもしれない。こうした経緯も知る必要があろう。
「どういう組織になっているのか?」と聞く。
「私はよくわからないが……。報告は県にしているので公園緑地課へ聞いて下さい」
たらい回しみたいだなあ。電話の主は、組織の発足の事情について知らないのだろう。
「別組織だというと、条例などで作っているのか。」
「どういう風につくっているのか私はわかりませんが、委員会は4月9日で終了している。あとは、残務整理が若干残ってる」
「会計資料などは、どうなるのか?」
「すべてがおわれば、こちらに帰ってくる。こちらが管理することになりますね。」
「長野のオリンピックの時、組織委員会の会計資料がすべて処分されて大問題になっていたが、そういうことはないでしょうね?」
「そんなことはないですよ」

 あれほどの大事業だが、都市緑化とは異質なイベントと感じている人は多い。ここはしっかり全体を見る必要がありそうだ。
 今日、以下のように、ファックスで請求した。
@都市緑化フェア実施の意志決定から委員会立ち上げまでの資料一式(他自治体や団体への連絡文書、他団体からの申し入れも含む)
A委員会から県に報告された資料一式

 これで14日以内に、資料が特定され、出てくることになる。4月25日(木)になる。
「他団体からの申し入れ」と入れたのは、ニワトコプロジェクトの申し入れが内部でどう処理されたかを確認するためでもある。
 また、動・植物の専門家などがかなり批判をもっていることを聞いていたので、あるいは申し入れなどがあるかもしれず、その確認もある。

―――2002.4.15―――
土地開発公社へ初の情報公開請求
 石川県土地開発公社が今年度から情報公開の実施機関となった。
 以前からの懸案があり、さっそく出かけた。
 懸案というのは、大野川の河川敷のこと。
 この河川敷が工場群に「占領」されているため、県から「土地所有者がわかる地図」をもらったことがある。

 通常、河川敷は県の管理地で、構造物などを建てる場合、河川法で土地占用許可が必要である(法24条)。その確認のため、昨年、資料請求をしたことがあった。県が許可している1件は某マリーナが申請をしている。これは問題はなさそうである。その他に許可されたものはない。ということは、多くの建造物は違法だということになる。
地図を見ると、ところどころに土地開発公社が土地をもっている。公社が工場などに貸しているのかもしれない。どうなっているのか?
 こうしたことを確認したいため、今日土地開発公社をたずねたわけだ。鱗町交差点近くの石川県庁幸町庁舎の3階にある。県税事務所のあるビルだ。

 公社に情報公開請求があったのは初めてだった。応対したのは中年男性職員。私の質問にいちいち上司に相談に行く。初体験で初々しいといえなくもない(^○^)
 公社は県と独立しているため、独自の情報公開規定を定めている。公社そのものがインターネットでホームページを作っていないため、この規定も紙に書かれてあるだけだ。
 まずは、この規定集と文書管理規定、簿冊管理簿のコピーを要請したが、「ちょっと待って下さい」と言ったまま、なかなか帰ってこない。上司数人となにやら相談をしている。
規定上の請求文書でないため、1枚の値段がどうなるのか相談していたとのこと。
 私から、「情報提供の資料ですね。普通実費として1枚10円でしょう。無料でも問題はないですよ」と暗に無料をにおわすが、1枚10円とられた……(^。^) 金700也。
 情報公開請求書を書いてきた。「大野川左岸にある公社の土地を示す図面」「第三者に貸付けしている内容を示すもの一式」
 この「大野川問題」は、「鬼門からのメッセージ」で詳しくまとめたい。

情報公開ものがたり第一章完結へ
 この日、公社へ寄ったのは、実はついでこと。県の情報センターに行くのがメインだった。県から資料が公開される日だった。公文書の件名は、「保存文書台帳及び手元保管台帳の提出について」なるものである。計150枚の資料をいただいてきた。
 これらの文書は、石川県の文書管理や情報公開問題の根幹に関わる重大な資料で、県組織のふがいなさの証明ともなるものである。本来必要のない苦労を現職担当職員が負わなければならなかった、ある意味、悲しい証明である。幹部職員のさぼりと、緊張感のない慣れ合い体質が産んだ負の決算とも言える。
 詳しくは、本コーナーの《情報公開条例の盲点(石川県)「未整理の公文書」》でまとめたいと思う。概略は《情報公開条例の盲点(金沢市)「悪魔の呪文」》の最後段に触れた。
 この「未整理の公文書」をまとめて、この「情報公開ものがたり」第一章?が完結することになる。98年9月から完結まで実に3年半かかったことになる。
第二章は、現在係争中の「金沢市への異議申立」の顛末になるだろうが、特別編や緊急特集などは随時出てくることになろう。

―――2002.6.5―――
諮問第11号、結審か?
 金沢市の情報公開窓口から、今年度の審議状況の資料をいただいた。
辰巳ダム建設問題で金沢市と石川県が協議を行っていた資料非公開の諮問第11号は、昨年度から引き続き開かれている。
 新しく諮問番号に「14」が加わった。13号の番号は出てこないが、14があるからには、13もあるのだろう。
 昨年度からのこの審査会の開催状況を見ていて、どうも不可解?なことがある。
 委員全員の参加は当然だが、事務局側の出席者として、市民部長が参加していること。

 審査会は、委員が第三者機関として独立して審議するので、これをサポートするために情報公開を担当する市政参画課の職員が参加するのはわかるのだが、市民部長など上級幹部職員がこういう席にいていいのだろうか? 審議への圧力になるのではないか? など、いろいろ思ってしまう。
 審議の内容は非公開で、我々は知ることはできないし、制度上、上級幹部がどのように関わっているのか知る由もない……。「審査の信頼性」を考えると、疑惑の念がフツフツと沸いてくるのだ。
 諮問第11号は、これで計7回の会議を重ねたことになる。
 昨年の6回目の会議には、実施機関の課長、担当2名がよばれているので、口頭聴取があったと思われるが、私への口頭聴取の話は、これまでなかった。
 請求の根拠が明確で、わざわざ聞くまでもない、ということなのか、無視しているのか、これも審議のやり方のなので、これからも不明であろう。
 おそらく、今年度の2回目の会議で、結審したのではないか。しかしこれも不明である。結果を待つだけである。

―――2002.6.27―――
請求書の「理由欄」の話題/現行の公開制度の欠陥
 最近、防衛庁の「請求者リスト」の話題からの尾ひれで、全国の自治体で使われている請求の「請求理由欄」の適否についての報道がある。某新聞はこの欄の存在に対し批判的な姿勢でとりあげている。
 石川県の請求書にも同様の欄があるが、私は書いたことがない。請求理由は人それぞれであって、「研究のため」「個人的趣味」と書いたところであまり意味がない。その文言を第三者は確かめることなどできない。心の問題だからだ。また、条例の中にも「非公開理由」でこれを書かない場合…などとは書いていない。本来ならあまり意味のない欄なのだ。
 行政側の言い分は、「文書特定のための参考」と答える。これには賛成できる面があるが、実は現行の公開事務・文書管理の欠陥が隠れているのだ。

 請求者が請求書を出してしまえば、この期日をもって14日以内に文書特定と通知義務が行政にかせられる。しかし「請求する公文書欄」の書き方が漠然としてれば、行政にしてみれば膨大な資料の中で文書の特定が難しいことも起こり得る。
 請求者側からみれば、窓口に設置されている「保管公文書リスト一覧」などの目録を見ても求めている公文書なのか内容などはまったく判らない。判らないのだから漠然と請求せざるを得ない。ここに請求者と文書管理者(実施機関という)とのミゾがある。
 本来なら、情報公開を前提にした文書作成・管理・リスト作成をしていればこうした問題は起こらないのだが、現実は、行政の仕事がしやすいように文書が作られ保管されている。
 大昔に作られた永久保存文書などは、公開を前提したものでないのでかなりいい加減なリストが作成されている。現在部内で使われれている「組織共用文書」は、リストも作成されていない。請求を恐れて(?)、本来あるはずなのだが、担当者のパソコンの中に隠れていたりする。請求者に知ることなどは不可能なのだ。
 ところが条例の改正の度に、条文だけは時代の流れに沿って公開対象文書の幅が広がっていく。実態が伴なわない。

 そこで、《 請求書提出 → 14日以内の公文書特定・通知 → 公開 》という現行の手続きの流れの中に、ワンポイント付け加えることがどうしても必要になる。つまり「文書特定作業に請求者の意志を正当に反映させる仕掛け」だ。
 現行条例では、文書の特定は実施機関がすることになっている。しかし文書管理担当者(石川県の場合、担当課の課長補佐)が自分の部署にどのような公文書が保管されているのかなんて知らない。請求書が届いて初めて捜し始める。請求者の意図が判らない場合には、電話で請求者に問い合わせたりするが、これも担当者の「善意」に任されていて、恣意的(あるいは曖昧な)公開が行われるスキがある。法律で永久保存となっている文書でも、保管管理不十分で公開されないこともある。
 こうした一連の公開事務に、行政側の恣意が入り込まない仕掛けが必要なのだが、そのためには、膨大な予算をかけて公文書保管の改善と公開のためのリスト作成が不可欠なのだが、これは将来の問題として、これ以上触れないでおこう。
 当面の仕組みの中で可能な改善策を提案たいと思う。可能なことはいろいろあるのだ。
 以下、次号で紹介。

―――2002.7.6―――
《閑話休題 情報公開制度のない「町内会」》
 情報公開制度を持っていない行政が今でもあるのですねえ。ビックリしました。
 ある「田舎町」にないのだ。あえて田舎町!と言おう、大きな声で!
 どうなっているのか、その町に住む人に聞いた。そのむかし条例を作ろうとした動きがあったらしい。町の執行部はその意志を持っていたのだが、それに異議を唱えたのが、議員だったそうだ。
 条例に賛成する人に対して、「和を乱すな!」「いいカッコするな!」と罵声が浴びせられたとか……。なんともはや情けないことだ。これで議員が務まるのだから、この町は「町」ではなく「町内会」とレッテルを貼っておこう。きっと知られて困ることをやっているのだ。ムネオちゃん絶滅宣言を!

―――2002.7.12―――
いよいよ市の審査会答申が出されます
 昨年4月3日異議申立をした、金沢市長の非公開処分「金沢市と石川県の担当者が行った過去の辰巳ダム協議会資料」の件が審査会で結論が出たようです。(詳細は「情報公開ものがたり」参照)
 延々と審査が続きましたが、去る7月3日審査会が開かれ、決定の内容が確認されたとのこと。若干の手続きが残っているようで、それが済み次第答申が送付されるとのこと。
この話は、昨日、「審査が長引いては審査の意味がない。請求者の権利の侵害にあたるのではないか」と審査会開催の状況を聞いたとき、担当者からの説明だった。
 担当者は明るい声だった。だから「全面勝訴(?)か……?」なんて勝手に思っているのですが、甘いかな?

―――2002.7.27―――
金沢市の審査会答申で95%の勝訴 ヽ(^。^)ノバンザイ しかし…(~_~;)
 待ちに待った??審査会の答申書の謄本が送られてきた。裁判でいうと「95%の勝訴」というところ。
 謄本というのは、この答申は市長が自ら行った非公開決定について、問題はないか審査会へ諮問するため、こういう形になるのだ。新しく市長からの決定も届いた。答申に従って公開します、というもの。

 どうもごちゃごちゃしていて、座りが悪いのだが、ま、そういう手続きが行政不服審査法という法律に書かれているのでしかたがない。直接請求者からの問題提起が出来ても良さそうなものと思うのだ。

 ただ、審査会は審議の中で、請求者からの意見を聴取することもできるため、通常の審議会は、請求者の顔を立てて??一度は本人から意見聴取を取り入れるのだが、今回、どうしたことか私へ「召集」はかからなかった。しかし審議日程を見ると、市の側からは、企画調整の課長、係長などを「招いて」意見を聞いているのだ。これは公平の原則に反しているのではないか! ……強く憤っておく!プン(~_~メ)

 答申内容は、「情報公開ものがたり」のページに全文を掲載しておいた。ちょっと面倒なのだが、異議申立書、市長の弁明書、私の反論書などを参考にしないとわからないだろうと思う。ま、このホームページに目を通す人でも、まず1000人の中で、一連の資料をしっかり読む人は、2、3人ほどだろうと思う。それなのにナンで手間をかけるのだ?と質問もあるかもしれない。これは私の性分だからしかたがない、と言っておこう(^○^)
 本当はこの文書の前に、「情報公開制度の改善について」を書くのが順序だった、答申のことが先に来てしまった。

 実はこの原稿の下に、20行ほどの「改善提案」が書いてあって、私には見えているのだが、ちょっと検討したいこともあって、公開はちょっと保留。
 ということで、今日はここまで。

 月曜日は、金沢市の市政記者クラブで「答申への見解」を発表してきます。これから作文、作文……。
 明日は、河北潟自然再生協議会の設立総会です。午後1時〜/駅西保健センター3F。
司会を仰せつかった。看板の準備なども残っている。ああ、忙しい! そして暑い!

―――2002.7.30―――
 答申への評価をまとめ、市政記者クラブへ
 29日(月)、市の記者クラブを訪ねた。テーブルにマイクがドカンと載っている。北陸朝日放送のテレビと、新聞記者3名がいた。これまで県の記者クラブで何度か同様の「記者発表」をしたことがあるが、大勢に囲まれビックリしたが、今回は話題が市という小さいスケールのためか少なかった。
 前日、河北潟自然再生協議会がの設立総会が開かれたが、この準備がちょっと大変だったが、無事閉会。終わってから、記念講演をいただいた松井三郎先生を囲んで懇親会。酒冷ましのコーヒーなどを飲んで歓談。帰ったのが夜の9時。
 家に帰ってから、答申内容をゆっくり読み返す。いろいろ疑問が出てくるが、なにせ1年以上、法律の専門家4名が加わって審議した内容である。簡単には意味が分からない。とりあえず、印象のようなコメントをまとめた。コピーを15部つくって終ると、窓からみえる空が白々していた。

 最近、見知らぬ人からメールがちょいちょい届くようになった。不正告発のために証拠の公文書を手に入れたいとか、行政と議論するとややこしい水利権用語がでてくるので教えてほしい、など様々。中には本気でやるとヤクザが登場してきそうなケースもある。
 なるべく丁寧に返事を書くのだが、色々調べなければいけないので時間もとられる。こうした相談?に乗るのも、ホームページを公開した責任なのだろう、と納得している。

―――2002.8.5―――
 蜂の巣城の闘い「敗訴確定の謎」について
 本HPは、著名検索サイトから検索できるので、見知らぬ方からメールがよく届く。
 最近、一通のメールが届いた。「蜂の巣城紛争」のページをみた方からだった。2000年12月、RKB毎日放送(福岡市)が「攻防蜂の巣城 〜巨大公共事業との戦い4660日」というドキュメントが放送され、これに関連したメールだった。
 昨今、ダム問題が全国各地で話題になっているが、《蜂の巣城の闘い》について触れられることはほとんどない。何かワケがあるのではないか?と調べ始めたことを載せている(まだ端緒)。
 ワケの一つに、原告の室原知幸氏が、なぜか控訴審を取り下げ、敗訴が確定した。当時の関係者は口を閉ざし、一般には「弁護団のミス」と言われていることである。全国注視の裁判と弁護団のミスというのがどうも座りが悪く、この闘争全体でも最大の謎とされている。どうも納得できない。これを「控訴取り下げ=敗訴確定」の謎として基礎資料を載せてある。
 メールでは、毎日放送のドキュメント番組の中に、これを解明する新しい事実が発見され、紹介されているというのだ。
 近くテープが届くことになっている。
 おそらく、この新しい事実は、関係者に衝撃をもたらすものであろう。1年半前のものだから、九州の現地では大きな話題になっていたのかもしれない。
 この前年の夏、現地を訪問したこともあり、興味津々、テープを待っている。

―――2002.8.25―――
緑化フェア情報を請求
 この日誌を書くきっかけは、「都市緑化フェア2001」を調べるため資料請求をしたからだった。4月7日のことで、この日誌の冒頭に書いた。
 このフェアが終り、実行委員会資料が所轄の県土木部公園緑地課に帰っているはずなので、当然、情報公開の対象となる。全体を見るには膨大な資料と格闘する覚悟がいるのだが、とりあえず、以下のように請求した。8月20日のこと。
「都市緑化フェア」の@進め方、A決まり方、B会計、C最終結果、D総決算、E文書ファイル一覧 などのわかる資料

 おそらく量は段ボールにして数十個あるいは数百個にのぼるかもしれない。あの長野オリンピックで、大会終了直後に会計資料がすべて廃棄されたことを思い起こし、廃棄前に資料を確定させたいという思いもある。また、緑化という名目で緑を破壊していたのではないかという疑問も強く、その経過を確かめたいという思いも当然ある。
 担当者から電話があった。「かなりの量になりますよ」と。これに対して「結構です。つい最近のものだし、公園緑地課へ資料を移管しているのだから、整理はついているはず。難しくはないでしょう」とお願いした。同時に次ように動機を説明した。別に話す必要のないことであったのだが。
「あの都市緑化フェアは、緑化という名目で緑を破壊しているように見える。これを市民感覚で調べたいのだ」と。

 考えてみると、事務量は膨大なものだろう。すべての資料をチェックし「個人情報など黒塗りをする必要のある箇所」を隠さなければいけない。ちょっと担当者の仕事が心配になり、翌日、情報センターに電話し、段取りを相談した。
「作業の前に、全体にどういう資料がどういうかたちで整理されているのか、一覧表でまとめてもらえば、それに従って優先順位をつけて公開していただくようにしたいのだが、担当者と相談してもらえないか。担当者から電話をいただきたい」と。
 24日夕刻現在、連絡がない。どうなるのか待っていよう。このまま行くと、14日後(9月3日)にドカンと山のように段ボールが情報センターに持ち込まれ、「どうぞ見て下さい」と言われるのかもしれない。これもまた困るのだが……。

―――2002.9.3―――
心配は当たっていた!
 今日が、都市緑化フェア資料の公開決定期限である。午後6時10分、公園緑地課から携帯に電話が入った。
「今日が期限ですが、資料がたくさんあり、整理に時間がかかるので、公開期日を延長したいので、お願いします。その旨を書いた公開決定通知を送りますのでよろしく」
 という内容だった。心配は当たっていた!

 この電話連絡の意味を条例で確認しておこう。
 条例では、「公開決定等の期限」(第12条)を請求日から14日以内としているが、次の場合延長出来ることになっている。要約しておく。
 @請求者の書類に不備があった場合、補正の要した日数を延長できる
 A実施機関に正当な理由があれば60日を限度として延長でき、延長期間と理由を書面で通知する。
 B公文書が大量の場合、一部の公開を延長でき、その理由と残り部分の公開期限を書面で通知する。

 さて今回の場合、どれに当てはまるのか?
 電話の続き。「課長の決裁を受けて通知することになっているのですが、課長が出ており、決済は明後日になるので、ハンコをもらって送ります」と。
 普通は、これで「しゃあないなあ」と思い、通知を待つのであるが、鬼門の番人はちょっと引っかかる。県作成の「情報公開事務の手引き」を引っぱり出して読んでみる。
 今回は、上記の第A項があてはまるようだ。【解釈】によれば、「正当な理由」とは、次の場合である(要約)。
 @第三者情報が記録され、意見聴取に時間がかかる。
 A複数の課にまたがり、意見調整に時間がかかる。
 B量が大量、複雑で困難。
 C災害などで困難。
 D年末年始、祝日などが重なり困難。
 Eその他

 また、「通知」について、次のようにある。
――この延長の通知は、規則等に定める通知書により、14日以内の決定期間内に公開請求者に到達するように努めるものとする。―――
 次のような運用についての注意事項も書いてある。
――実施機関が14日以内に公開決定等をせず、又は決定機関延長の決定をしない場合は、公開請求者は実施機関の不作為に対して、不服申立て及び行政事件訴訟を提起することができることから、十分留意しなければならない。――

 県作成の手引きから見ると、今回の電話連絡は、ちょっとズサン。通知がどういうふうになっているか興味がある。最短で通知をもらうことができるのは9月5日。午後1時半、情報センターで通知をもらうことにした。様子も聞きたかった。

 ここまで考えて、もう一つ情報公開をしようと思った。緑化フェアの実行委員会(別組織)のもので、膨大な中身を精査のため、時間のかかるのはやむを得ないところもある。しかしこの資料が「別組織」から移管された時点で、公園緑地課は、公文書として「認定?」する必要があるだろうから、文書引き取りについての受領書などの公文書が残されているはずだ。明後日、これを請求してみよう。

―――2002.9.5―――
都市緑化フェア情報、公開決定は14日延長
 午後1時半、情報センターへ行った。2人の公園緑地課の職員から「公開決定等期間延長通知書」をいただく。

 ―(内容)――――――――――――――――――――――
 平成14年8月20日付けで公開請求のあった公文書について、次のとおり公開決定等の期間を延長したので、石川県情報公開条例第12条第2項の規定により通知します。
 公文書の内容/「都市緑化フェア」@進め方、A決まり方、B会計、C最終、D総決算、E文書ファイル一覧
 当初の決定期間/平成14年9月3日
 延長後の決定期間/平成14年9月17日
 延長の理由/公開請求に係る文書はフェア実行委員会が作成した文書であり、整理するために時間を要する。
 担当課(所)/土木部公園緑地課 電話番号223−9322
 ―――――――――――――――――――――――――――

 まず、公開の決定の遅れについて聞く。
「14日以内に決済し、通知すべきなのに、なぜ遅れたのか?」
 これには、「申し訳ない」と平謝りされる。厳密には実施機関の不作為にあたる条例違反なのだが、本スジから離れるので、今後は条例どおり速やかにしてもらうようお願いした。
 次に聞く。
「公文書の内容」が請求書と同じ。通常、公開決定書では、「公文書の件名」として公文書の名前が入っているのに、何故こういう表現なのか?
 これには、同席していた情報センターの職員が、延期通知の意味を説明。条例第12条を示し、「公開決定とは、公文書を特定し期間を定めて通知するものだが、延長通知はこの決定が14日延期になっただけという意味で、だから件名ではなく内容となっている」と。
 なるほど、14日以内の公開決定がさらに14日のびたということだ。14日のびたのは納得できるとしても、本当に14日の延長だけで大量の緑化フェア情報を公文書として特定できるのだろうか? 状況を聞くと、文書ファイル一覧などもなく、ケースに入れて置いてあるだけだという。こちらの方が心配になる。当事者がやると言っているのだから信用しよう。……しかし心配(+_+)。
 次に、この緑化フェア情報が「別組織の実行委員会」から受け取ったからには、受領手続きが当然踏まれているはずだ。この手続きを示す情報公開をするため状況を聞いた。ここで意外なことを知ることになった。
「受領書などはありません。受領などの手続きを示す公文書もありません。ただケースがあるだけです」と。
 なんてこと!?
「それじゃ、いつの時点から公園緑地課所管の公文書となった分からないのではないか?」
「実は、この資料が公園緑地課の管理する公文書なのかどうかも分からないのです。だから引継などもない。現在は当課で保管しており、情報公開にも対処しているのですが……」
「……??」と不思議がる私。

奇妙なる大発見! 宙に浮く公文書!?
 話を聞くと、こういうことだ。
 都市緑化フェアなど、県が他の団体(金沢市など)と共同で作った「事業団体」が行う事業が終了した後の資料の扱いについて、どこにも規定がないというのだ。だからその資料が宙に浮く。これでは困るので、慣例的にその事業と一番近い課が保管する。しかしこの資料はその課が仮に預かっているもので、厳密にいって管轄する公文書ではない、ということになる。
 これって、どこかおかしいのではないか? 都市緑化フェアの最高責任者は知事だ。全体を仕切っているのは石川県そのものだ。
 少々の小さなイベントだったらそれも許されるかもしれないが、石川県と金沢市が多額の税金を使った一大事業。その資料が公文書ではないなんて……。やっぱりおかしい。長野オリンピックのように廃棄されても誰も責任が問われないことになる。
 今回の請求で、こうした廃棄の可能性があるのか聞くと、「請求の対象になっているものが廃棄されることはない。懲戒の対象になります」とのこと。ちょっと安心する。しかしファイル一覧もないのだから、恣意的な「廃棄」が行われても誰も確認のしようがない。文書を触った人間だけが知る不思議な世界となる。
 これは、新しい大発見である。これまで各種、多彩な事業が「外郭団体」に委託され、企画、実施されてきた。多額の税金が投入されてきた。これらの資料が公文書扱いにならず、情報公開の対象にならない。つまり市民からの監視に曝されない税金の投入がごく普通に行われていることになる。
 さてさて、大問題に遭遇してしまったゾ(^_^メ)

―――2002.9.9―――
情報公開制度の威力と限界
 行政の職員は、憲法や法と道理に基づいて仕事をすることを宣誓して公務員になっている。しかし、「役人は、遅れず、休まず、仕事せず」という名言もあり、一般市民としては大いに職員の仕事には関心がある。部署によっては一日中ボーッと椅子に座っているのが仕事という所もあろうが、多くの部署で職員は忙しく立ち働いているように、みえる。お役人の仕事は、外から見える姿だけからではよく分からない。働いているようでも肝心の仕事をしていないということもある。
 昨年10月、東京地裁で「小田急線の事業認可を取り消す」との判決が出され、トップニュースになった。行政の不作為に対する責任が問われ、国土交通省が負けた。「すべきことをやっていなかった」というのが認定され、処分取り消しとなった。国が主張していた「行政の裁量権の範囲内なんだからいいじゃないか」を否定した。
 一般に、行政の行う事業や処分には、法の手続きに従っておこなわれるが、さまざまな問題が起こり、対処するためにも、裁量の幅が広く認められている。少々の法令違反や違法でも、裁量の範囲として不問にされることが多い。「ちょっとまずかったがこれから改善しよう」とお茶を濁す程度のことで済まされる。「お役所とは、市民、県民、国民のため、裁量の幅を自ら広く解釈し、自分に優しく生きる互助組織」と定義しても的外れではないかもしれない。
 長野県知事選挙にみられるように、公共事業に対する風当たりは強いが、「わが町の満足度調査」で日本一の数字を誇る金沢市を抱え、石川県はまだまだそよ風程度のようだ。

 さて、5月23日に知事に公開質問をした話。
 3カ月半経過した。いっこうに回答がない。何度か様子を聞いているが、進展がない。担当者は「何もしていないように見えるかもしれないが、資料を調べたり調整をしている。頑張っている」というが、実際のところよく分からない。「早く回答しろ」というのも要求であるが、「法と道理に沿った、納得ある回答をしろ。説明責任を果たせ」というのも要求であり、3カ月以上待ったわけだ。
 改めて公開質問書を読み返してみる。自分がお役人だったらどう書くか考えてみる。あれこれ考えると難しいと思う。しかし回答書は書ける。問題点はすべて分かっていることであって、これについての法や国土交通省、農水省からの見解も既に明快である。後は、書くという意志と決意にかかっているのだ。
 このままじっと黙って待つのも癪にさわる。今日、情報公開の請求をした。
――「ナギの会の公開質問(5/23)」に対する回答準備等に関連して開かれた部内打ち合わせ状況が分かるもの及び収集資料――

 この請求対象は、情報公開条例で「組織共用文書」と呼ばれているものである。つまり「意志形成過程を公開し、広く市民参加をうながす」という趣旨で設けられており、昨年改正され、導入されたものである。
 法や条例はどんなに立派でもそれを使わなければ意味がない。権利者が権利を行使しないで市民社会は育たない。大学一般教養課程のテキスト=「法とは何か」(渡辺洋三)、「権利のための闘争」(イェーリング)を持ち出すまでもなく、その解説のレベルである。
 ここで問題だと思うのは、組織共用文書としてあれば、公開の対象になり、情報公開条例の威力がまさしく発揮されるのだが、文書が担当者のパソコンの中にあったり、会議などをひらかずに部内メールで回覧するなど、IT機器を悪用?した確信犯的行為には手がつけられない。冒頭に「情報公開条例の威力と限界」と書いた由縁である。

―――2002.9.17―――
緑化フェア情報延長から14日目
 夕方、県公園緑地課から電話がある。
「ファイルが出来ました。今日が延長の期限なので、連絡致します」
 さて、間に合ったようだ。明日、午後1時半、情報センターへ出かけることにした。
 明日詳しく分かるだろうが、全部の資料を公文書として特定するようにはなっていないようだ。とりあえずファイル一覧ができたわけだ。これに基づいて必要な資料を指定し、公開作業はもっと先になるようだ。

―――2002.9.18―――
簿冊は出てきたが、公文書かどうか依然不明との説明
 午後1時半、県情報センターに行った。公園緑地課の職員が2名。
「これが公開決定通知書。これが簿冊一覧です」
 と書類を見せられる。
 まず、決定書。「公文書の件名 都市緑化フェア簿冊一覧」とある。
 そして8枚の書類。183件の名称が書いてある。(一覧表はこちらへ)

 説明では、簿冊の背表紙をメモし、ワープロで一覧表に作ったものだと言う。9月5日に聞いた様子から、この緑化フェア資料が県の公文書として正規の手続きの元に保管されていないことや、ファイル一覧もなく、ケースにただ入れて保管されているという状況から考えると、整理するのに時間がかかるのは容易に推察できることであった。
 しかし、今日の説明では、「簿冊の背表紙をメモし、一覧表にまとめただけ」というのでは、28日間かかったのが不思議だ。

 単純、常識的に考えてみよう。
 180冊だ。分冊があったとしても300冊程度の量ではなかったか。10冊が1個のケースに入っていたとして、30個のケースを開け背表紙を事務的にメモするのに1日、簿冊一覧表として書類化するのに1日。仕事量にすれば2日もあれば十分であろう。課長の決裁をとるのに1日余分にかかったとしても、実働2日半で済む。これが「民間の仕事」だ。常識の世界だろう。どうもお役所の「仕事の質」に問題があるように思う。

 さて次の問題。このファイルは県の保管公文書としての位置づけはどうか?
「このファイルは県の公文書なのですか? 結論は出ましたか?」
 何度聞いても答えがない。過去にも同様の事業があったはずだ。上司や文書管理を担当する総務部から意見を聞き、県としての結論を持って今日に臨むべきだったのだ。ただ悩んでいただけだったのだろうか。不思議である。
「これでは、フェアの文書が廃棄されるかもしれないではないか? 廃棄されない保障はありますか? 県庁移転が間近になっているが、これを機に廃棄されることはないのか?」
 この質問に対しても、ただうつむくだけである。
 廃棄されないことをはっきりしてもらわないと、こちらの打つ手が変わる。廃棄の可能性があれば、今すぐ「全部の資料を請求」して廃棄を止める必要があろう。また今後「公開」された中に、非公開部分があった場合、異議申立などができるかどうかという問題にもかかわることなのだ。
 どうも「課レベル」では動きようがないようだ。巨大組織の弊害なのだろうと思う。こちらから動く方が速いかもしれない。
「この問題は知事しか判断ができないことでしょうから、来週、知事宛の質問状を用意します。県の態度を明確にしてもらいます。その後、必要な資料を請求したい」
 と述べた。
 担当者も困るだろう。もし県の公文書でなかったら、担当者は必要のない仕事をしていることになろう。これこそ監査請求の対象になるかもしれない。
 常識的に考えると、県の公文書でないことはあり得ないのだが、過去に裁判に持ち込まれたケースがないか調べる必要がありそうだ。また「別組織の実行委員会」というからには、そこで仕事をしていた県の職員の身分がどうだったのか調べる必要もありそうだ。

 今回も、悪役を買って出ているようで、どうも落ちつかないのだが、ま、乗りかかった舟だ。行くところまで行こう。この舟、一体どこへ到着するのだろうか? 原点は97年12月、金沢自然観察会とともに知事に質問と要請したことだった。
 これは、緑化フェアのため、主に本丸跡地の森の低草木が大量に伐採され、メジロなど小鳥に致命的な打撃を与えるとの指摘だった。木村課長から「ちょっとやりすぎた。申し訳なかった」と陳謝されたが、この陳謝はその場だけの「社交的おしゃべり」だったことは、その後の経過と緑化フェアの実際が示している。(当時の質問状はこちら)

―――2002.9.20―――
東大の先生、ナギの会通信を講義に引用
 久しぶりにインターネットの検索で「ナギの会」と入れてみた。多くのページがヒットする。その中に見知らぬページがあった。東大の先生の講義の内容だった。水利権や農業用水、水開発と法を解説し、現実の問題点を指摘する部分で「ナギの会通信」を紹介しているのです。ビックリ。
 ちょっと紹介します。
「水資源を確保するという本来の目的からすれば,まず慣行水利権の実態を把握して,(難しいですが)使っていない権利はできるだけ返還してもらい,それから新規水利権開発をすべきなのに,ここでも,ダム建設それ自体が目的となっているように見えます.「ナギの会通信」に書いてある河川管理者の実態,そのずさんさは驚くべきもので,こんないいかげんなことをしつつ,着々とダムをつくっていく行政は,もはや狂っているとしか思えません」
(蔵治先生の講義へ)
「行政は狂っている」=なかなか強烈な言葉だが、実際のところ、私の見立てでも行政は狂っている。水利権には、許可の水利権だったら何年か経てば更新がくる。このとき行政は実際に許可内容にとおりに水が使われているか調査しなければならないのだが、数多くある更新に管理者が調査した形跡はゼロである。慣行水利権についても、実態把握をしなければいけないのだが、これもゼロ。水利権について河川管理者は何もしていないのだ。この管理は、国土交通省からの法定受託事務として知事へ義務づけているものである。

―――2002.9.24―――
都市緑化フェアの資料は公文書ではないのか?
 様々に書いてきた、この都市緑化フェアの資料、一体どう考えたらいいのだろうか。
 公文書でなければ、情報公開の対象にならず、請求しても出てこない。
 過去の裁判記録を調べてみた。あるのですねえ。
 ◆H14. 1.17 岐阜地方裁判所
 
平成12年(行ウ)第4号 実行委員会文書非公開処分取消請求事件
 今回のケースと極めて似ている。「宇宙技術及び科学の国際シンポジウム」「飛騨・美濃地域おこしフェア」などを岐阜県が90%近く支出した実行委員会が主催。この文書を請求したところ、県から「不存在」として非公開処分され、行政裁判が提起された。この「不存在」というのは、「県が管理する公文書ではないので、公開の対象にならない」という意味である。現物はケースに入れて県に保管されている。緑化フェアと同様である。
 岐阜地裁は厳しい判決を出し「県の措置は妥当」だとした。これに各界から「時代の流れに逆行するものだ」と批判が寄せられているのだ。原告は当然のこと控訴し、現在名古屋高等裁判所で審理されている。こうしたケースが裁判に持ち込まれたのは初めてで、司法判断も初。しかし、こうした情報は、神奈川県や福岡市はすでに一部を公開しているし、条例を改正し対処している自治体もある。こうした流れに石川県はどう対応するのか?

公開質問することにしました。
 都市緑化フェアの資料について、公園緑地課から何の連絡もないので、知事宛に公開質問をすることにした。今朝、知事秘書課に電話をし、提出先を聞き、日程を決めた。
 ◆25日(水)午後1時30分
 ◆情報センターにて

 何か考えるたびに、新しい問題が出てくる。常識的にあり得ないと思われることが、何の疑問もなく行われているのだ。
 前にも書いたが、こうした問題は、本来、議会がチェックすべきことだと思うのだが、議員は情報公開制度を使わなくても電話一本で資料が届く。情報公開に極めて鈍感だ。それでいて一般庶民の収入以上の調査費をたくさんもらう。困ったことだ。

別件――。9月20日の日誌で、東大の先生の講義にリンクを貼らせていただいたが、どういう訳かリンクが切れている。興味ある講義だったが残念。詳しく知りたい方は、先生に直接お尋ねください。しかし私は全く存知あげない先生ですから自己責任でどうぞ。
 ここだけのテクニックをお教えしましょう。検索の Google はキャッシュという機能を持っていて、過去に読み込んだ情報は保存されているので、あるいは見ることが可能かもしれません。KURAJI Lab.Home Page を見つけたらキャッシュをクリック(^○^)

―――2002.9.26―――
公開質問状提出と新聞報道
 昨日、質問状をもって県へ行って来た。情報サービスセンターの吉田所長に応対いただいた。質問状を読み上げ、簡単に経緯を説明、早急に回答いただくようお願いした。(質問状全文)
 地元紙の北国新聞と北陸中日新聞の記者が取材。いろいろ質問された。
 帰ろうとすると、センター職員から連絡がある。公園緑地課の職員が状況を説明したいとのこと。しばらく待つと二人の職員がやってきた。今まで何度かこの問題で話をしてきた職員だった。実は質問当日の前日(24日)、夜遅く(午後9時頃)電話をいただき、簡単な状況説明を受けた話だった。
「前例がなく、難しい問題で、ずっと課内で検討を続けてきた。現行では文書の扱いについての規定がない。公開しないのは時代の流れに合わず、公開する方向で対処したいと考えている。実際にどういう手続きで公開するのか、総務部とも相談していきたい。」とのこと。
 県も重要な判断を決めたようだ。
 実際に公開するには、物理的に大変だろう。膨大な資料すべてに目をとおし、1件ずつリストを作成しなければならない。直接作業を担当する職員の仕事量を考えると、公開に至るまで日数がかかることが考えられる。しかし課内の職員全員の共同作業でやればそれほどのものではないはずだ。毎日2時間を全員で割けばいい。1週間で済むだろう。課を指揮する木村課長の器量が問われる問題だ。木村さんは、97年に旧本丸の低草木伐採で陳謝された方。どうなるかじっくり見させていただこう。

 さて、昨日2名の地元紙記者が取材に来ていたが、この問題をどう報道したのか?
 朝刊を開く。まず北国新聞。あれれ、どこに書いてあるのだろう? 何度も捜す。あった。3面最下段に一段見だし「緑化フェアの文書 公文書で公開を 市民団体が要望」、26行で淡々と、質問した事実と所長の「明確なルールがなかった」とのコメントを伝えている。「ま、こんな程度のものかな。何しろマニアックな世界だから……」と思う。
 次に北陸中日新聞を開く。な、なんと5段見だし。「実行委の情報公開 県検討」が目に飛び込む。「クローズアップいしかわ」の特集である。
「緑化フェア、百万石博…/非公開は疑念招く/独立の任意団体 基準明確化 難問山積み」
 これはビックリ!「さすが中日さん」と感心する。
 記事の内容は、制度の不備や問題点、岐阜県や全国の動き、「県幹部」からも裏をとり、「透明性を求める県民の要望どう答えるか。難問を一つひとつ解決する努力が求められている。」と結ぶ。報道部・鷲野 史彦氏の署名記事である。特ダネ級の記事になった。めでたし、めでたし ヽ(^。^)ノバンザイ

―――2002.9.27―――
北陸中日新聞Web版に紹介
 北陸中日新聞社のホームページに「緑化フェア資料」の記事が載っていました。
こちらをどうぞ→「クローズアップ石川」
 この件で、3人の方から電話とメールをいただいた。「頑張っているね」「よくやった。私もおかしいと思っていた」「こんな問題があったのか?」「あのフェア、いろいろうわさ話が飛んでいる」……等々。

組織共用文書コピーもらう
「辰巳用水に関連した組織共用文書」
(9月9日の日誌参照)の公開が決まり、今日午後、県へ行った。
 水利権を担当する河川課水政係の担当者2人が応対。バインダーに閉じた資料を見せられる。本会の質問状の回答準備のための資料を閉じてある。しかし、これが共用文書のすべてかどうか知る由もない。後日、関連ファイルを請求して確認する必要があろう。
 ナギの会ホームページの資料など知っている資料や、法律関係の資料をたくさん閉じてある。
「この程度の資料では回答は書けないぞ」と思うが、コピーの来るのを待ちながら雑談。昨日の「都市緑化フェア資料」の新聞記事に花が咲く。
 コピーを頼んだ資料を紹介。
@公開質問当日の記録(担当者の備忘録のようなもの)
A質問の概要(質問の要点を担当者が整理したもの)
B水利権対比表(許可水利権と慣行水利権の違いを対比したもの)
C法律専門書コピー(ジェリスト1986.3.15「地下空間利用の法律問題」)
D同(ジェリスト別冊「届出の効果」)
E簡易年表(辰巳ダムと辰巳用水に関する経緯を編年で記載)
F地図(辰巳用水トンネル部分の地番の入ったものなど)
 今日は説明を求める必要はない。資料をもらうだけだ。コピーが届き帰る。

すごいぞ。江戸時代の用水が裁判になっている!
 夜、「江戸期の用水とその所有権」についてインターネット検索で調べて見る。大阪の道頓堀と東京の三田用水が所有権をめぐって争われている。「日本人の法意識」(中島 健)「法定外公共物について」(杉田)が参考になるだろう。
 道頓堀が、そのむかし道頓さんという事業家が作ったものだと知って驚く。道頓さんの子孫が所有権を主張して訴えているのだ(道頓堀裁判)。また、宅地化で用水がなくなった後の所有権をめぐる裁判もある(三田用水裁判)。江戸時代のものに所有権が主張できるのか? そもそも所有権とは何か? ややこしい法律問題があるようで、この2つの用水裁判が問題を考えるために不可欠らしい。さっそく判決文を入手。お金がかかる。1件で3000円。判決文が3件ある。9000円だ。懐が寒い。★どなたかお恵みを〜(^○^)
 @所有権確認等請求事件(大阪地裁昭和40年(ワ)第1号 昭和51年10月19日判決
 A土地所有権確認等請求上告事件(最高裁第一小法廷 昭和42年(オ)第1247号 昭和44年12月18日判決
 B土地所有権確認等請求上告事件(最高裁第一小法廷 昭和42年(オ)第1246号 昭和44年12月18日判決

 判決文にざっと目を通す。豊臣秀吉とか徳川幕府など、戦国時代や江戸時代の話がいっぱいである。こりゃあ、大変な世界だ……(^_^メ)

―――2002.10.9―――
公園緑地課、情報公開条例違反が明確に
 9月10日に公開請求した1件がある。条例では、14日以内に文書を特定し、公開期日を指定することになっている。公開が困難なときは延長でき、その理由を書いて通知することになっている
(2002.9.3参照)。ところが今日現在通知はない。1カ月近く放置され、明らかに条例に違反している。県作成の「情報公開の手引き」でも、「行政の不作為に関わることで慎重に取り扱う」と書いてある。こんなことは今までなかった。過去、担当課の文書整理がまずい時でも、延長や文書不存在の通知が届き、条例の枠の中で対応されてきた。今回は何の通知もなく放置されている。とんでもないことだ。
 請求したのが都市緑化フェア資料という「特別な資料」ということもあるが、14日以内に義務づけている通知とは全く別の話だ。期間を最長で60日延長し、この間に検討すればいいだけの話だ。悩むような難しい話でもない。お役所お得意の事務的な手続きだ。これが放置されている。一体、石川県という役所はどうなっているのだろうか?

辰巳用水の公開質問から4カ月半経過した
 5月25日に知事宛に公開質問した件も、「関係部署と調整し、出来るだけはやく回答したい」という約束から4カ月半経つ。これも回答が放置されたままである。河川管理の基本に関わるものだからなおのこと、緊急な回答が必要なのである。

この県、どこを向いて仕事をしているのか?
 一体この石川県という役所はどうなっているのだろうか? どこを向いて仕事をしているのだろうか? 大いに憤慨する。
 知事が議会で「透明性確保、政治への市民参加、行政の説明責任」とおしゃべりしたところで、このように職員の「異常な仕事ぶり」が明らかになると、管理責任が問われる。後で必ずツケとして回ってくる。これが社会の常識である。
「行政は狂っている」とは、東大の先生の話だが、本当に狂っている。

―――2002.10.10―――
職員から陳謝されたが、ちょっと違うぞ
 昨日夕方、県の職員がわが家を訪ねてきた。公園緑地課の職員だった。戸を開けるなり「申し訳ありません」と深々と頭をさげられる。一通の封書を差し出す。
 さては、延長の話だな、と開いてみる。14日期限を大幅に遅れた「延長決定の通知」である。10月9日付。さて、どうしたものか? 受け取ってもいいものだろうか。この通知は、県作成の「手引き」で次のように解説してあることだ。
「実施機関が14日以内に公開決定等をせず、又は決定機関延長の決定をしない場合は、公開請求者は実施機関の不作為に対して、不服申立て及び行政事件訴訟を提起することができることから、十分留意しなければならない」
 ということは、今回の「事件」で、不服申立てや行政訴訟をしなさい、ってことか? 受け取り拒否という手もあるが、県の不作為の証明でもあり、受け取っておくことにした。
 しかしこんな重要な「不作為証明文書」を一人の職員がもってくるのはいかがなものか。もし私が県の責任ある立場にいたら、自ら出向くだろうと思う。直接の担当を走らせはしない。知事名の文書なのだからなおのこと、課長や課長補佐など管理職が動くべき話だと思うのだ。これが社会常識的な誠意の表し方だ。この石川県というお役所は、きっと上が責任をとらない組織なんだろう。少なくとも公園緑地課はそのようだ。

この話、北陸中日新聞の社会面に大きく載っていた。
――市民請求の情報公開可否 県が決定通知怠る――
――男性の抗議に県は「初歩的な恥ずかしいミス」と陳謝した。情報サービスセンターでは、「職員が正しく制度を認識していない部分があり申し訳ない。周知徹底に努めたい」――とある。全文54行。かなりの分量だ。
 日頃、なるべく目立たなく静かに生きている私(^_-)としては、最近よく新聞種になっている。これは困ったことだ。生き方に反する(^○^)

河川課から電話。「辰巳用水」の回答は月末に
 ホームページの冒頭に
「◆この県はどこを向いて仕事をしているのか? 公園緑地課=条例違反が明確に/河川課=回答なく4カ月半」
 と書いた。
「公園緑地課と一緒にしてもらっては困る」と思ったわけでもないのだろうが、夕方、河川課から電話があった。「公開質問の回答をしたい。今月最終週の予定で調整している」とのことだった。延々5カ月を越すことになる。昨年3月に「犀川の利水」で公開質問したとき、回答がぴったり5カ月だったから、今回はその記録を1週間ほど抜くことになる。
 石川県には、市民からの公開質問に対する回答には、「5カ月の間を置け」という暗黙の了解があるのかもしれない。早く回答すれば「県」という威厳を損ねるということなのだろう、きっと。これを揶揄すると、「それだけ部内の認識が深化したということです」と言う。
 ともかく、10月28〜31日の間に、回答がある。県への疑問はこの問題だけでなく様々にある。ようやく次に進むことが出来る。

―――2002.10.15(火)―――
金沢市の工業用水資料
 今日午後、金沢市から工業用水の資料をもらった。市が昭和42年に完成した犀川ダムから工業用水を取水するとして、毎年、県に管理費として支払っている証拠の資料だ。しかしこの工業用水は一度も取水したことがない。それどころか取水パイプの建設はおろか最終受け口となる金沢市出雲町の浄水場も閉鎖され、土地も近くの会社に売却されている。典型的な遊休水利権である。この実態を明らかにするのは犀川の利水を考えるのに不可欠だ。前年までの資料はもらっているので、今年度の資料を揃えるためだ。
 もらった資料によれば、「平成14年度犀川ダム管理費負担金」の額は、8,992,903円である。これを年度内に2回、半分ずつ県へ支払うことになっている。本来全く支払う必要のないものだ。「権利の上にあぐらをかく」にもお金がかかる。市民の税金からだ。
 もう一つの資料、工業用水の受け口として計画にある出雲町の浄水場の売却の資料は、18日に金沢市企業局から公開されるはずだ。
 これまでの経過は「辰巳用水と辰巳ダム」のページに
「★権利の上にあぐらをかく者/放置する者★」として一連の資料を掲載してある。今回の新しい資料も、このページに紹介する。
緑化フェア資料問題で早期の回答を要請
 市役所から資料をもらって、県庁を訪ねる。まず情報サービスセンター。先日公開質問した、「独立組織の情報公開についての質問」への回答がいつになるかの催促だ。担当者から「いま参考資料を集め、基準づくりに取り組んでいる。近く回答できると思います」とのこと。ま、基準まで回答に入らないだろうが、方向を明確にする内容が示されれば、今回の「事件」はひとまず決着ということだろう。早期の回答を要請してセンターを後にする。
「河北潟の水門」で河川課を訪ねる
 次に3階の河川課を訪ねた。
 先日、河北潟自然再生協議会の例会に河川課から職員が「講師」として参加。河北潟を淡水化する水門の意味を説明していた。断面の図に治水容量と書いてある。この治水容量の説明が納得できないので聞きに行ったわけだ。河北潟の水門は、海水が入らないようにしているだけで、治水容量など必要ないはずだ。河川から潟に入り込む一定量以上の水は全量、海に流さなければ潟周辺が浸水する。治水容量などを確保する必要など一切ない。この図は、河川に作るダムの説明なのだ。担当者がいないので後日来ることにした。この河北潟の話は、大野川水系の治水、利水を考える大きなテーマなので、見過ごせない。
辰巳用水の回答は11月1日に
 ついでに辰巳用水の回答期日について打ち合わせた。11月1日(金)午後1時半となった。公開質問したのが5月23日。延々と5カ月。なんともはや、情けない限りである。
浅野川の可動堰の管理を聞く
 大野川水系といえば浅野川。この浅野川下流に2つの可動堰がある。農業用水確保のためによく動いている。わが家の近くなのでよく見る。河川課を訪ねたついでにこの堰の管理がどうなっているか聞いた。
 夕方、電話で概況の説明があった。一つは大河端生産組合、もう一つは東蚊爪生産組合が管理しているという。その根拠は「慣行」だそうである。以前、浅野川の用水資料をもらったことがあるので、チェックしてみよう。
 慣行と聞いてワクワクする(^○^) 石川県に限らず、行政はこの慣行水利権に極めて弱い。この既得権が、新しい河川管理の障害になっているのだが、行政は手をつけられないでいる。おそらくこの既得権の上にアグラをかく政治的重石があるのだ。これを突破しないと法は守られない。「行政は狂っている」と言われ続ける。

―――2002.10.17(木)―――
出雲浄水場の資料は公開延期
 昨日(午後7時)、金沢市企業局から電話があった。「出雲浄水場資料の公開を14日間程度延長をお願いしたい。昭和51年の資料で、全体を掴んでから公開したい」だとのことだった。この浄水場は、金沢市の工業用水問題を考える上でのキーポイントの一つである。詳しくは、辰巳用水と辰巳ダムのページに「水利権と河川法の研究」「権利にあぐらをかくもの/放置するもの」として書いた。
 企業局と「資料」の関係を説明しておく。
 元もと、工業用水の事業者は企業局なのだが、事業が開始しない前に挫折し、管理費用などは一般会計から支出している。工業用水や水道事業、競馬事業など行政が行う営利事業は独立採算制を法律で決めている。だから金沢市の工業用水事業へ一般会計から支出するのは違法の疑いがある、というわけだ。
 以前、犀川ダムに関連してこの工業用水事業の資料をもらったことがある。用水路の図面に、出雲町の浄水場までの水路が書いてあった。この浄水場が工業用水の受け場なのだ。
 浄水場は水道事業で企業局の管理地。おそらく、水道事業の他の設備が整備され、必要がなくなり、金沢港に近いこの施設を工業用水の受け場として計画したのではないかと思う。しかし、工業用水も見通しがなくなり、遊休資産となり、売却したのではないかとおもう。だから、売却を決定した時点で工業用水は遊休水利権として確定したと思うのだ。これ以後の維持管理費の一般会計からの支出は、市長による違法行為になるのではないか。この問題は、中 登史紀氏が金沢市長へ監査請求をしている。棄却と却下という決定で、中氏の主張は認められなかったが、決定書の中で、市長への付言なる一文が付いた。曰く「なお、本請求における工業用水については、当初の計画と現在までの実績とがかい離している顕著な例である」と。
 この決定について、「稚拙な決定」として中氏のホームページに投稿したことがある。これも金沢市の工業用水問題を考える重要な資料だと思う。

―――2002.10.22(火)―――
 町名復活の話題が新聞をにぎわしている。昔の資料を色々みていて、昔、新竪町や水溜町の町名の由来を調べてみたことがある。新竪町には3丁目があるのだが、1,2丁目は地図上どこを捜してもないのだ。それでピーンときた。このあたりは、昔の下、中級武士の住居地。現在でもかなり「有力者」がたくさん住んでいる。30年ほど前、金沢市内の町名変更があったとき、おそらくドラマがあったのだ。
 昔、ちょっと文章にしたことがあり、掲載しておく。新竪町の話へ。

―――2002.10.25(金)―――
 今日、県は犀川河川整備委員会を開催した。犀川の河川整備のため、河川法による河川整備基本方針を定めるために、有識者から意見を聞こうということらしい。前日地元紙に小さく載った。こうした会議は普通、1週間ほど前に分かるのだが、今回は異例だ。県民に知られたくなかったのかもしれない。県の河川課に電話をした。「この委員会の法的な位置づけは? 公開できますか?」などなど。
「河川法16条で…、法的には設置義務はないが、委員会を作って意見を聞くことにした……」とのこと。
 傍聴はできるが、傍聴人には資料を出さないという。
 河川の専門家がいないではないか、と尋ねると、「辻本哲郎先生です」だと(+_+)
 傍聴して分かったのだが、玉井信行さんという方も河川の専門家だった。この方が、この委員会の委員長になった。
 委員を紹介すると(50音順)……
  池本良子 金大助教授
  稲垣 渉 北国新聞社編集局長
  井幡清生 県林業技術協会相談役理事
  川村國夫 金工大教授
  北浦 勝 金大教授
  北村邦彦 県立農業短大教授
  作田 勝 金沢市観光協会副会長
  敷波澄子 随筆・評論家
  玉井信行 金大教授
  辻本哲郎 名古屋大学大学院教授
  東 澄子 県文化財保護審議会委員
  三森義佐 県内水面金沢漁協組合長
  矢島孝昭 金大教授
  山岸政雄 金沢学院短大教授
  山本勝一 県経営者協会副会長
  吉田 明 金沢市用水連合会長
 相変わらず、悪名高き川村國夫先生がいる。専門じゃないのに専門家みたいにおしゃべりするので有名である。公共事業評価監視委員会では、傍聴していてもこっちが赤面。「ああ、あの先生、あんなこと言わなきゃいいのに……」っていう場面が何度もあったのだ。
 肩書きだけでみると、
  報道人
  林業関係者
  学者先生(金工大、金大、県農短、名大)
  文化人
  文化財専門家
  漁協関係者
  経済人
  農業・用水関係者
 こういうメンバーで、基本高水のデータを検討させるんだろうか?? 心配になる。金沢の治水専門家・中さんを入れなくちゃね。河川法16条や辰巳用水だったら、私も造詣が深いぞ(^○^)、と思うのだ。法律専門家が入っていない。この委員会、本気で河川整備基本方針に意見を言えるのだろうか? ま、いい加減なことをやるのも、行政判断ではある(^○^)
 当日の資料は、傍聴者には配られなかったが、委員に配られたものと同じものが、情報サービスセンターに置いてあり、コピーできるそうである。早速もらって来よう。
 委員会を傍聴した感想や、資料などの検討は別にまとめたい。が、この委員会で、県は犀川の概況を説明し、委員はそれぞれ犀川への思いを語った。これはいかがなものか? 河川整備基本方針を定めるための委員会なのだ。委員の個人的懇談などは無意味であり、必要はない。犀川という河川の実状を科学的に「確定する」作業が河川整備基本方針を定めることなのだから。それに県は、基本高水のデータを出さなかった。これもいい加減さの証明だろう。

―――2002.10.29(水)―――
 これからの参考のために、河川整備基本方針などを定めた河川法の第16条について別途まとめてみた。この16条は、河川法の神髄部分で重要である。ここをきちんと押さえておくことはダム問題などに不可欠である。(
辰巳用水/ダムのページ・河川法第16条研究
 今日、情報公開の窓口から、いくつか資料をもらってくる。農林、河川から農業用水について資料が出てくる。さて何が隠されているか?
 11月1日午後1時半、遅れに遅れた県からの回答が出る。深化したという県の回答に備えて資料に目を通しておかなくっちゃ。報道関係者にもお知らせを送っておこう。

―――2002.11.2(土)―――
5カ月かかった回答書
 さてさて昨日、「深化した」県の回答を受けに、河川課を訪問した。延々5カ月と1週間引き延ばされた回答である。辰巳の会の碇山さん、技術士の中さんに同席いただいた。
 県からは水野課長補佐、水政係の担当者、二人であった。冒頭、担当者から、回答が長引いたことの言い訳(^○^)。質問の内容が複雑で多岐に渡っているなど……色々。
 課長補佐さんから要望部分に対する口頭でコメントがあり、次に回答書の読み上げ。
 質疑応答が続き、延々2時間半。途中から辰巳ダムに関連した問題に及んだため、ダム建設室から課参事の山本さんが説明に参加。内容が極めて濃く、回答次第では大問題に発展する可能性のあることばかり。皆さんクタクタの様子。
 一口にいって回答書の文章は内容のないもので、これだけの文章だったら夜一晩で書ける世界。しかし、無意味な文言を並べるしかできないからこそ、その奥深さがヒシヒシと伝わってくる。中さんも碇山さんもエキサイト。県側も防御に懸命になるが、所詮、破綻したツジツマ合わせの説明。これは担当者もじゅうぶん分かっていることなのだ。それでも過去の誤りを認めることのできない宮仕えの辛さ。痛いほど分かるのだが、手を緩めるわけにはいかない。こんないいかげんさで公共事業が進んでいいはずはない。法と道理でまっとうな説明を行政のトップはすべきなのだ。
 報道関係者が2人参加。おそらく何が問題なのかよく分からなかった思います。
 帰ってから内容をまとめようとしたが、眠気が襲ってきて、早々と寝た。
 朝起きて、とりあえず回答書の全文を文字にして、ホームページに掲載した。(回答書全文はこちら)
 この回答に対するコメントは、後ほど「辰巳用水/辰巳ダム」のページに紹介する。

「攻防蜂の巣城〜巨大公共事業との戦い4660日」
 ところで、待っていた毎日放送のビデオが今日届いた。8月5日に日誌に書いたものである
(8/5こちらから)
 さっそくこのビデオを見る。重量級の番組だが、取材、編集、構成も良質。ダム問題や公共事業に関心を持つ人、それに行政職員も必見、超お薦めである。問題の所在を理解したディレクターが作る番組はすがすがしいものだ。
 蜂の巣城城主・室原知幸氏の言葉が、昨日の河川課とのやりとりと重なる。
「公共事業は、法にかない、理にかない、情にかなうものでなければいけない」

―――2002.11.12(火)―――
都市緑化フェア資料が公開された
 あっという間に11月も中旬になる。
 この間いろいろあった。先の河川課からの5カ月遅れの回答に対するコメントを書こうと用意していたが、5日は金沢市企業局から出雲浄水場の資料公開、6日付けで「都市緑化フェア資料」について県から回答(回答書はこちら)、これは地元紙(北陸中日新聞)1面に大きく報道された。11日は緑化フェアチケット資料公開、12日は石川県工業用水資料公開など、時間をとられてしまった。
 家庭内でも、ピノママが葡萄膜炎なる眼の病気を発症、現在片目が不自由な生活。この病気は内科的な全身病からくる原因不明の難病らしい。放っておくと失明の可能性もあるとのこと。明日手術。
 今年は冬が早い。薪ストーブ中心のわが家では、薪の調達もこの時期重要な仕事である。

「悪魔の呪文」が裁判になっている!
 あわただしくドタバタしていた先週、興味あるメールが届いた。ある県で情報公開をめぐって争いが起きている。条例の「附則(経過措置)」条項で条例施行以前の公文書が非公開となり訴訟になっているのだ。金沢市の条例でも施行以前のものは公開の対象にしておらず、以前「附則は悪魔の呪文」という文章にまとめたことがある。これが実際の裁判で争われている。原告はこの問題を「附則は文書封印の悪魔」と主張しており、まさに私の問題意識と同一なのだ。金沢市と石川県の例から行政の違法性立証のための提案を送ったところ、次回の口頭弁論の証拠として提出するという。今後の展開に興味津々である。
辰巳用水調査隊員募集
 さて、辰巳用水の問題。県の回答についての解説コメントを書かなければならない。書き始めると色々な思いが浮かぶ。県からの回答を前提にして新しい問題提起とアクションがいくつか考えられるのだ。とりあえず構想が一つ。辰巳用水の流れをすべて把握するための「辰巳用水調査隊結成」である。要項をまとめているが、簡単にいえば辰巳用水土地改良区が昭和26年に作成した「辰巳用水維持管理計画書」に記載されている潅漑必要水量(拾立方尺/秒=0.28t/秒)の確認作業である。
 具体的にはこうだ。
 辰巳用水はかつて35個の樋口から潅漑用に配水していた
(詳細は辰巳用水土地改良区資料)。この樋口すべてを現場で確認するのだ。おそらくかなりの数の樋口は現在使われていないはずだ。また、辰巳用水は漏水が多く、あちこちから自然吐口が形成され水路が作られ、これが町の景観ともなっているのだ。これらも現場で確認したい。こうした確認から現在の生きた辰巳用水の姿が明らかになるだろう。これらは本来、河川管理者である県が把握していなければならないことなのだ。

―――2002.12.9(月)―――
 辰巳ダムに関しては、調べるほどに、次々に問題が発見され、同時に過去のいい加減な政策決定過程が露出する。
 犀川水系河川整備検討委員会で、犀川水系の整備基本方針を決める議論が始まり、専門部会の設置が決まった。中 登史紀さんが彼のホームページで、すでに基本高水を考えるポイントを指摘している。県の解析結果でも、100年確率の洪水は 938m3/秒 であること(彼の独自の調査では 842m3/秒=ほぼ同じ)。犀川基準点の流下能力は、1230m3/s だから、100年確率洪水に犀川は充分安全である。詳しくは、彼のホームページへどうぞ
(こちら)
 基本高水が決まれば、次は計画高水の検討になるが、ここで上流のダム=犀川ダムの未利用水利権が大問題となる。金沢市の工業用水の遊休水利権の存在である。
 また治水の検討の後、利水がテーマになったとき、農業用水の潅漑面積激減の実態と向き合うことになる。検討委員会に意見書を提出することを考えており、また金沢市への監査請求なども準備中であった。
 こうした作業をしていたが、この1ヶ月、母の体調が思わしくなく、去る12月4日、他界した。様子はプライベイトルームに書いた。
 以上、近況報告。


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