辰巳用水の潅漑必要量は0.27t/秒だった
51年前の申請書で判明した辰巳用水の状況

自縄自縛の石川県。兼六園の水使用は違法だ



石川県への質問と要望はこちら

【解説】2002.5.21

辰巳用水、普通水利組合から土地改良区へ

以下に掲載する資料は、昨年石川県に資料請求し、農地整備課から提供された辰巳用水土地改良区についての資料である。

辰巳用水は、かつて金沢市長が管理責任者であったが、戦後の民主化の過程で、寄生地主廃止、農地解放のため土地改良法が成立、農業用水の管理権を農業従事者へ移行させた。

辰巳用水は、1951(S26)年、用水を使う農業従事者の自主的組織・土地改良区として改組された。資料はこの申請書一式である。
(歴史的経過は「法整備の歴史と辰巳用水」参照いただきたい。)

辰巳用水の潅漑面積は84町歩(=昭和26年、約83.5ha)

この一連の資料を検討してみた。辰巳用水を考える上で重要なのは、昭和26年当時、辰巳用水で潅漑される農地が、84丁2反4畝28歩(約83.5ha=資料8)と記されていることであろう。

それから半世紀、農業環境は一変した。上辰巳、下辰巳以外の末町、大桑町の農地の多くが宅地となり、涌波町、三口新町、笠舞町、上野本町に至ってはほとんどが宅地化されている。水利用を前提とする水利権のありかたも大きく変わっているはずなのだ。(以下の地図は、1930(S5)年から1994(H6)年までの変遷の様子=日本地図センター「地図で見る金沢の変遷」より)


1930(s5)年

1955(s30)年

1970(s45)年

1994(h6)年

辰巳用水で潅漑される地区の中、1位と2位の笠舞町、三口新町の宅地化の変遷。左から昭和5年、30年、45年、平成6年。現在は、ほとんどが宅地で埋まっている。

潅漑用には、0.27t/秒

51年前のこの資料に、辰巳用水の水利権を考える上で極めて重要な内容が記されている。今まで誰も検討してこなかった「維持管理計画書」(資料15)である。この計画「第三節」に、S26年当時、潅漑用に必要とされた水の量は
「拾立方尺/秒」(0.2791t/秒)と書かれている。土地改良区みずからが記していることなので妥当な数字であろう。

残りの0.43t/秒は何処へ?

一般に知られているように犀川から辰巳用水に取水される流量は、0.7t/秒であるが、潅漑に必要な取水量0.27t/秒を差し引いた残りの 0.43t/秒 はいかなる水か? 誰でもわかるとおり、兼六園へ導水される水である。この兼六園が使用する水について、石川県の許可資料には「潅漑期以外は兼六園へ取水する」と記すだけで、兼六園側からの使用の根拠は不明である。水利権は「書面主義」として、許可条件に記載された記述のまま実行されることが求められている。ならば、潅漑期の現在、兼六園の曲水を潤す水使用の権利はいかなるものか?

自縄自縛の石川県! 兼六園の水使用は違法だ!

辰巳用水土地改良区がS42年3月に届け出た「慣行水利権届出書」には、目的を「潅漑と兼六園への取水」と、明確に記載している。これが法的にも正当である。辰巳用水の水利権は「潅漑と兼六園への取水」という二つの目的を同時にもつ水利権であることは明らかであろう。「潅漑期以外は……」という条件など付くはずのないものである。

しかし県はこの当たり前の土地改良区からの届出書を無視し、辰巳用水の水利権は許可水利権であるとして、その目的を「潅漑期以外は兼六園へ取水」としている。これが正しいとすると、潅漑期において兼六園は違法に水を使っていることになる。兼六園の管理者は石川県である。従って自らの水利権許認可事務で、自らの水使用を否定している。まさに自縄自縛とはこのことである。辰巳用水の水利権は土地改良区の届出書の通り、慣行水利権にもどすべきである。

なお、この点について昨年、辰巳用水土地改良区から事情をうかがったことがあるが、責任ある方から「あなたの言うとおり、辰巳用水は慣行水利権で、目的は潅漑と兼六園への取水である。県が間違っている」との説明を受けている。

見直しは必至! 辰巳用水の水利権

戦後50年以上経過し、かつての辰巳用水の潅漑農地は宅地化が進み、農業用水の必要量は、極端に下がっているとみるのが自然である。水利権上の見直しも避けられないのではないかと考えられる。

県へ公開質問・申し入れを予定

こうした新しい知見にたって、本会用水部会は、昨年5月に行った公開質問につづき、近く県に対して、辰巳用水の水利権見直しなどにつき公開質問と申し入れを検討している。石川県はこの自縄自縛についてどういう説明をするのであろうか?
 新しい質問は、昨年の質問と密接不可分であるため、参考にしていただきたい。
◆重要/県へ公開質問A


S26年、辰巳用水土地改良区の申請書類一挙掲載

【資料の目次】
資料1 組織変更認可申請(以下の資料はこの申請書の添付書類などである)
資料2 土地改良区への組織変更認可申請につき公告
資料3 土地改良区への組織変更認可申請につき公告
資料4 辰巳用水土地改良区定款
資料5 役員選出区及び定数
資料6 辰巳用水土地改良区段別割賦課方法
資料7 辰巳用水区域水積
資料8 辰巳用水土地改良区区域調書総表
    (
◆重要)S26年現在の農地は、総計84丁2反4畝28歩
資料9 辰巳用水土地改良区区域一筆調書(地区別農地面積)
資料10 辰巳用水普通水利組合使用料徴収規定
資料11 辰巳用水普通水利組合規約
資料12 組合會議選挙区及議員数
資料13 段別割賦方法
資料14 辰巳用水区域水積
資料15 (
◆重要)辰巳用水土地改良区維持管理計画書
資料16 その他資料


資料1(1951S26)――――――――――――――――――――
組織変更認可申請書
 このたび辰巳用水普通水利組合を辰巳用水土地改良区に組織変更を致したいから御認可下さるよう、土地改良法施行法第九條の規定により、同法施行規則第百條にて準用する第九十四條各項の事項を具し、申請します。
  昭和二十六年十二月九日
     金沢市広坂通り六拾八番地
     辰巳用水土地改良区組織変更認可申請人
     辰巳用水普通水利組合管理者
             金沢市長 井村 重雄
石川縣知事 柴野和喜夫 殿

土地改良法施行規則第九十四條事項調書
一、定   款           別添
二、土地改良事業維持管理計画書    〃
三、事業費の細目及びその負担区分   〃
四、資金計画             〃
五、資材及び労務計画         〃
六、組合員名簿            〃
七、規   約            〃
八、設 計 書            〃
九、組合會議事録           〃
一〇、同意署名簿           〃
一一、役員選任届           〃
一二、圖  面            〃


資料2(1951S26)――――――――――――――――――――
土地改良区への組織変更認可申請につき公告

 このたび辰巳用水土地改良区へ組織変更の認可を申請するため、土地改良法施行法第九條の規定により、左の通り公告致します。
     昭和二十六年十一月二十六日
     金沢市広坂通り六拾八番地
     辰巳用水土地改良区組織変更認可申請人
     辰巳用水普通水利組合管理者
             金沢市長 井村 重雄

    記
一、公告書類の名称
    土地改良事業維持管理計画書
    定  款
    組合員名簿
二、公告期間
    自 昭和二十六年十一月二十六日
    至 昭和二十六年十二月一日
三、公告場所
    石川縣金沢市役所掲示場
    石川縣石川郡犀川村役場掲示場

    證 明 書
        辰巳用水普通水利組合管理者
         金沢市長 井村 重雄
 右の者、その組合を土地改良区へ組織変更のため土地改良法第五條第四項の規定により、自 昭和二十六年十一月二十六日 至 昭和二十六年十二月一日 間本市役所掲示場に於て掲示公告した事を証する。
    昭和二十六年十二月三日
         金沢市長 井村 重雄


資料3(1951S26)――――――――――――――――――――
土地改良区への組織変更認可申請につき公告

 このたび辰巳用水土地改良区へ組織変更の認可申請するため土地改良法施行法第九條の規定により左の通り公告致します。
     昭和二十六年十一月二十五日
     金沢市広坂通り六拾八番地
     辰巳用水土地改良区組織変更認可申請人
     辰巳用水普通水利組合管理者
             金沢市長 井村 重雄

    記
一、公告書類の名称
    土地改良事業維持管理計画書
    定  款
    組合員名簿
二、公告期間
    自 昭和二十六年十一月  日
    至 昭和二十六年  月  日
三、公告場所
    石川縣金沢市役所掲示場
    石川縣石川郡犀川村役場掲示場

  公告証明書
本書は犀川村役場掲示場に於て 自昭和二十六年十一月二十六日 至同年十二月一日 間 土地改良法施行法第五條第四項の規定に依り掲示公告したことを証明する。
  昭和二十六年十二月三日
        石川郡犀川村長 末田 鐵


資料4―――――――――――――――――――――
辰巳用水土地改良区定款

  第一章 総 則
第一條(目的) この土地改良区は農業経営を合理化し農業生産力を発展させるため石川郡犀川村字上辰巳地区先において犀川より引水し、地区内の農地にかんがい水の配給をなして食糧増産に寄與することを目的とする。
第二條(名称及び認可番号) この土地改良区は辰巳用水土地改良区という。
 2、この土地改良区の認可番号は第三十九号である。
第三條(地区) この土地改良区の地区は別紙調書のとおりとする。
第四條(事業) この土地改良区は土地改良事業維持管理計画定款及び規約の定めるところにより左に掲げる土地改良事業を行う。
 1、犀川より引水に伴うかんがい施設並びにこれに附帯する施設の維持管理
 2、この土地改良区は前項第一号の事業に附帯しその事業を害しない範囲内で当該施設を他の目的に使用させることが出来る。
第五條(事務所の所在地) この土地改良区の事務所は石川縣金沢市上野町一四六に置く。
第六條(公告の方法) この土地改良区の公告は事務所の掲示場及びこの土地改良区の地区の属する町村の事務所に掲示する。
第七條(仮住所及び代表者) この土地改良区の地区の属する市町村又はこれに隣接する市町村の区域内に住所又は届所を有しない組合員が土地改良区の事業に関する通知又は書類の送付を受けるために仮住所を指定し又は組合員がこの土地改良区の事業に関する一切の行為をさせるために代理人を定めたときは遅滞なくこれを理事に届け出なければならない。
 2、前項の仮住所はなるべくこの土地改良区の地区の属する市町村の区域内に指定するものとする。
  同項の代理人の住所についてもまた同様である。

  第二章 会議
第八條(総會) この土地改良区に総會を設ける。
第九条(総會の召集) 理事は毎事業年度1回三月に通常総会を召集しなければならない。
 2、理事は左の場合には臨時総會を召集しなければならない。
  一、理事が必要と認める場合
  二、組合員が総組合員の五分の一以上の同意を得て會議の目的たる事項及召集の理由を記載した書面を理事に提出して総會の召集を請求した場合
 3、(省略)
第十條(決議事項の制限) 略
第十一條(議長) 略
第十二條(代理表決) 略

  第三章 役員
第十三條(役員の定数)
 この土地改良区に役員として理事十二人監事四人を置き、選出区の数及び其の区域並びに各選出区より選出する役員の数は本定款附録第一号の通りとする。
第十四條(役員の被選挙権) 左に掲げる組合員は理事若しくは選挙による監事の被選挙権を有しない。
 一、法人
 二、年令二十五年未満のもの
 三、禁治産者又は準禁治産者
 四、禁こ以上の刑に処せられて執行中のもの
第十五條(総選挙の時期) 略
第十六條(選挙通知及び公告) 略
第十七條(選挙の管理) 略
第十八條(選挙の開始及び選挙立ち會人) 略
第十九條(投票) 略
第二十條  
第二十一條(開票) 略
第二十二條  略=無効の事項
第二十三條(当選人の決定) 略
第二十四條(選挙録) 略
第二十五條(当選人の失格) 略
第二十六條(当選の確定) 略
第二十七條(繰上げ補充) 
第二十八條(役員への就任) 略
第二十九條(再選挙) 略
第三十條(補欠選挙) 略
第三十一條(総選挙) 略
第三十二條(理事長)理事は理事長一人を互選するものとする。
第三十三條 略=理事長の職務
第三十四條(事務の決定) 略
第三十五條(監事の職務) 略
第三十六條(役員の任期) 略
第三十七條(役員の失職) 略

  第 四 章 経費の分担
第三十八條(経費分担の基準)
 第四條第一項第一号第二号の事業に要する経費を充てるための賦課金及び夫役現品は予算の定めるところにより地区内にある農地の全部につき反別割に賦課するものとする。但しその賦課方法は本定款附録第二号の通りとする。
 2、略
第三十九條(賦課金の徴収方法) 略
第四十條(夫役の履行) 略
第四十一條(経費の賦課に対する異議の申立) 略
第四十二條(延滞利息及び過怠金) 略

  第 五 章 雑則
第四十三條(係及び委員會)
 略
第四十四條(使用料)この土地改良区はその用水の使用に対し別に定める規定に依り使用料を徴収する。
第四十五條(加入金) 
四十六條(過怠金) 略
第四十七條(基本財産) この土地改良区に基本財産を設けることができる。
 2、前項の基本財産の設定管理及び処分に関しては規定で定める。
第四十八條(財産の分配の制限) 略
第四十九條(事業年度) 略
第五十條(事業執行及び会計に関する規定) 略

 附則  略


資料5―――――――――――――――――――――
辰巳用水土地改良区定款十三條附録第一号
役員選出区及び定数

 選出区   区  域      理 事  監 事

第一選出区 犀川村上辰巳の内   壱人
第二選出区 犀川村下辰巳の内   壱人
第三選出区 犀川村末の内     壱人
第四選出区 金澤市大桑町の内   壱人
第五選出区 金澤市涌波町の内   弐人   壱人
第六選出区 金澤市三口新町の内
第七選出区 金澤市上野本町の内  壱人   壱人
第八選出区 金澤市笠舞町の内   参人
  計              拾弐人  弐人


資料6―――――――――――――――――――――
第三十八條の附録第二号
辰巳用水土地改良区段別割賦課方法


犀川村の内
 字上辰巳   1分1厘2毛
 字下辰巳   8・7・1
 字  末   2・6・6
金沢市の内
 大桑町  1割2分1厘
 涌波町  2・5・4・8
 三口新町 2・2・8・3
 笠舞町  1・0・8・3
 上野本町 1・6・2・7
  計    拾0割

前項ノ歩合ハ旧慣ニ従ヒ別表辰巳用水区域樋口水積ニ依リ之ヲ定ム。


資料7―――――――――――――――――――――
第三十八條の別表

辰巳用水区域水積


――――――――――――――――――――――――――――――――――
樋口箇所    潅漑区域及樋口順番 樋口寸法    水積
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
犀川村字上辰巳 上辰巳一番樋口   1寸5分×1寸 1積5
同       共同二番樋口    3寸四方    高9積ノ内4積
同       共同三番樋口    2寸四方    高4積ノ内1積
同       共同四番樋口    1寸×1寸5分 高1積ノ内1積
----------------------------------------------------------------
 石川郡犀川村字上辰巳水積計            7積

犀川村上辰巳  上辰巳下辰巳共同三番 3寸四方   高9積ノ内5積
同       同 同三番樋口   2寸四方    高4積ノ内3積
同       同 同四番樋口   1寸×1寸5分 高1積半ノ内1積
同       同 同五番樋口   3寸四方    9積(4積ハ昭和25上辰巳ヨリ変更)
---------------------------------------------------------------
 下辰巳水積計                   54積


字 末     末十三番樋口    2寸5分四方  6積25
同       同十五番樋口    2寸四方    4積
同       同十六番樋口    2寸四方    4積
同       同十七番樋口    2寸2分5厘  2積25
------------------------------------------------------------------
 石川郡犀川村字末水積計              16積5


金沢市大桑町  大桑町十八番樋口  3寸四方    9積
同  同    同 同十九番樋口  2寸五5×3寸 7積5
同  同    同 同二十番樋口  3寸四方    9積
同  涌波町  大桑涌波二十一番  5寸四方    高25積ノ内12積5
同  同    同 同 二十二番  5寸四方    高25積ノ内5積
同  同    同 同 二十四番  1尺2寸×7寸9分9厘 高95積ノ内25積
同  大桑町  同大桑三口新町共同二十七番 4寸×3寸5分 高14積ノ内1積
同  錦町   同 同 二十八番  7寸×8寸   高67積ノ内1積
同  同    同 同 二十九番  7寸5分×9寸 高67積ノ内1積
------------------------------------------------------------------
 金沢市大桑町水積計                75積


金沢市涌波町  大桑涌波共同二十二番 5寸四方   高25積ノ内20積
同  同    涌波町二十三番   5寸四方    高25積
同  大桑町  同  二十五番   3寸四方    高9積
同  同    同  二十八番   3寸5分×5寸5分 19積25
同  涌波町  同涌波大桑共同二十一番 5寸四方  高25積ノ内12積5
同  同    同 同 二十四番  1尺2寸×7寸9分5厘 高40積ノ内1積8
-----------------------------------------------------------------
 金沢市涌波町水積計                158積25


金沢市大桑町  大桑三口新町共同二七番 4寸×3寸5分 高14積ノ内13積
同  錦町   同 同 二十八番  7寸×8寸   高56積ノ内13積
同  同    同 同 二十九番  7寸5分×9寸 高67積5ノ内66積5
同  同    大桑笠舞涌波三口新上野新共同三十番 8寸×5寸 高40積ノ内7積2
-----------------------------------------------------------------
 金沢市三口新町水積計               141積7


金沢市上鶴間町 笠舞其ノ他共同三十四番 七寸四方  49積
同  錦町   大桑笠舞涌波三口新上野本共同三十番 8寸×5寸 高40積ノ内18積
-----------------------------------------------------------------
 金沢市笠舞町水積計                67積


金沢市三口新町 上野本上鶴間共同三十二番 一1×5寸9分 高59積ノ内19積(40積ハ昭25抹消)
同  同    同 同 同三一番三三番合併 7寸4分5717×9寸9分 高73積826ノ内73積
-----------------------------------------------------------------
 金沢市上野本町水積計               101積

-----------------------------------------------------------------
 総水積合計                    620積45


資料8―――――――――――――――――――――
定款第三條の別紙
辰巳用水土地改良区区域調書総表


町名  地図  地積   備考
犀川村上辰巳  田   1丁 4反 6畝 28歩
 〃 下辰巳  〃   6  9  4  02
 〃  末   〃   3  4  7  21
金沢市大桑町  〃  10  2  4  04
 〃 涌波町  〃  24  5  7  26
 〃 三口新町 〃  19  7  9  25
 〃 上野本町 〃   9  1  7  28
 〃 笠舞町  〃   8  5  6  19
  計        84  2  4  28


資料9―――――――――――――――――――――
定款第三條の別紙
辰巳用水土地改良区区域一筆調書(昭和26年現在)


石川郡犀川村字上辰巳ノ部
 字名・地番・地積
(略)地番総数50カ所  面積計  146畝28歩

石川郡犀川村字下辰巳ノ部
(略)地番総数156カ所 面積計  694畝02歩

石川郡犀川村字末ノ部
(略)地番総数101カ所 面積計  347畝21歩

金澤市大桑町ノ部
(略)地番総数481カ所 面積計 1024畝04歩

金澤市涌波町ノ部
(略)地番総数857カ所 面積計 2457畝26歩

金澤市三口新町ノ部
(略)地番総数602カ所 面積計 1979畝20歩

金澤市上野本町ノ部
(略)地番総数302カ所 面積計  917畝28歩

金澤市笠舞町ノ部
(略)地番総数303カ所 面積計  856畝19歩


資料10―――――――――――――――――――――
辰巳用水普通水利組合使用料徴収規定
  大正7年2月19日決議
  大正7年5月29日許可
  大正7年6月18日公布
  (略)


資料11―――――――――――――――――――――
辰巳用水普通水利組合規約
  明治42年7月23日決議
  明治43年3月22日許可
  明治43年8月13日公布
  (略)


資料12―――――――――――――――――――――
辰巳用水普通水利組合規約附録第一号
組合會議選挙区及議員数


 (略記)
 第1選挙区〜第8選挙区まで、計13名を規定。


資料13―――――――――――――――――――――
第三十五條の附録第二号
辰巳用水土地改良区段別割賦方法
   
(注:普通水利組合の誤記と思われる=渡辺)
 (略)


資料14―――――――――――――――――――――
第三十五條の別表
辰巳用水区域水積

 (その7とほぼ同内容を記載)


資料15―――――――――――――――――――――
辰巳用水土地改良区維持管理計画書

 第 一 章
本改良区の用水は、別紙平面図に示す如く石川郡犀川村上辰巳先にて犀川より水門を設けて取水する水路は、犀川沿いに南下し、石川郡犀川村及び金沢市崎浦地区の水田を潅漑しつつ、金沢市上石引町に至る、旧市内を貫流して堀川間之町を経て鞍月用水に合流し、以後海辺に流出する。
 其の関係地域の町別地積は次の通りである。

 町 名    地目   地 積
犀川村上辰巳  田  1丁4反6畝28歩
   下辰巳  〃  6 9 4 02
   末    〃  3 4 7 21
金沢市大桑町  〃 10 2 4 04
   涌波町  〃 24 2 4 04
  三口新町  〃 19 7 9 20
  上野本町  〃  9 1 7 28
   笠舞町  〃  8 5 6 19
  計       84 2 4 28

 第 二 章
  第一節 地 形
 この改良区の潅漑地域は、犀川に沿った東側の南北に至る短形をなしたる農地一帯にして、東側の辰巳街道、涌波街道より西側なる犀川に向って約5〜15度の勾配をなしたる水田地帯である。
 地質は、上流犀川村地内は、第三紀層で下流金沢市地内は第四紀古層であり、耕土の深さは、15〜20糎にて下層は粘土層もあり、玉石混りの砂礫層もある。

  第二節 気 象
 この地区は山麓より山間奥深きため、金沢地方に比して気温も低く、降雨量も多い。従って、用水の水害の頻度及び程度も大にして他に比べて不利な條件にある。

  第三節 水利状況
 この用水は、前述の如く犀川上流より取水して居り、その量は拾立方尺/秒である。(注:0.2791t/秒=渡辺)
 積雪降雨量等犀川の水量に左右されて過不足を来すが大体に於て取水量は充分である。
但し、用水路が隧道の箇所が多く、而もその位置が水田より相当高い処を流れて居り、加えて掘鑿歴史が古いため、途中の漏水が甚だしいために下流地域は辛うじて潅漑している状態にて将来上野本町の旧軍用地の水田化や金沢市の衛生、観光、防火面等に於ける用水量を考えれば、極めて重要な事にて、従って本改良区は各関係方面の協力を得て、水路の維持管理に萬全を期すべき必要ありと思われる。

  第四節 耕地面積
町名  受益面積 組合員数 一戸当平均 一毛作 二毛作 延面積
上辰巳  146セ28   19   77セ   146セ28  2反0セ  166セ28
下辰巳  694 02   35   20    694 02  10 0   794 02
 末   347 21   35   99    347 21  5 0   397 21
大 桑 1024 04   14   73   1024 04  15 0  1174 04
涌 波 2457 26   43   57   2457 26  37 0  2827 26
三口新 1979 20   36   55   1979 20  30 0  2279 20
上野本  917 28   32    3    917 28  14 0  1057 28
笠 舞  856 19   81    1    856 19  13 0   986 19
 計  8424セ28  295 平均29   8424セ28 126 0  9684セ28

 第 三 章 維持管理計画
  第一節 目的
 この改良区は、定められた制限の範囲内に於て、用水路及び附帯施設の維持管理を主目的とし、潅漑排水を公平化し、傍ら前述の如く特に水路の補修に力を蓋し、以て農業生産力の発展に寄與するを目的とする。

  第二節 潅漑施設関係
1、別添図面の通り、水門、用水路、樋口等がある。破損等の場合は修理する。
2、周年流水している。
3、かんばつの時は関係役員にて分水会議を開き適正公平に時間分水、地域分水等の方法を取り、更に非常の時は、補給水を揚げる。
4、他の水利団体との間に実質な関係はない。
5、なし

  第三節 排水施設関係
1、水路の適当なる箇所に水門を設けた排水路はあり、其の他支流の末流等がある。
2、別段特記することがない。
3、水路の各所に設けられた余水吐を開いて犀川浅野川に流出させる。
4、特記することがない。

  第四節 農業用水路その他農地の保全上又は利用上必要な施設関係
 特に記述することがない。

  第五節 他の事業との関係
 特に記述することがない。

 第 四 章 事業費
一、金 1,232,400円也
 別添予算書の通りなるも臨時に特に事業を施行する時や、物価の変動其の他に依り更に支出の要ある時は、その都度、追加予算を組んで増額するものとする。

 第 五 章 効 用

 この改良区の事業及び用水路の維持管理により毎年の減産防止量は次の表の通りと推定される外、不時の水災害等の防止には特別の効用あるものと思われる。
 (略)=各地区の収量比較予定を記載


資料16―――――――――――――――――――――
その他資料

事業費の細目及び其の負担区分 (略)
資金計画 (略)
資材及び労務計画 (略)
辰巳用水普通水利組合臨時会議議事録(土地改良区への組織変更の件など=略)