【資料】
金沢城址の低草木類の伐採で公開質問

 97年12月9日午後1時、県公園緑地課(成巽閣前)を訪ね、知事宛の質問と要望を提出してきた。テレビの一社がその様子を取材したいと県と交渉していたが、かたくななお断りだった。応対は木村課長、自然保護課から美馬氏。
 その後、県政記者室に寄り取材をうけた。説明のあと本丸跡地へ行った。報道関係の方々20名はいただろう。ぞろぞろと歩いた。翌日の新聞各社、大きく扱っていた。
 (関連資料準備中)

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石川県知事 谷本正憲様                   1997.12.9

                     金沢自然観察会代表 吉岡 勇
                     水葱(ナギ)の会代表 渡辺 寛

金沢城跡・旧金沢大学理学部植物園の植物類の伐採に関しての質問と要望

 県当局に置かれましては、金沢城跡の整備に関して様々な施策を講じられているこ
とと思います。
 さていま、京都では地球温暖化防止のための国際会議が開かれており、地球環境、
地域の自然を守ることが大きなテーマとして、連日報道され、県民も大きな興味と関
心を向けています。石川県でも行政をはじめ多くの民間団体が、緑を守る活動に参加
しています。
 両会はそれぞれ鳥類と水草を通して、金沢の都心部や周辺部における生息、生育の
観察や調査に取り組んできました。

 金沢城跡、なかでも旧金沢城本丸・旧金沢大学理学部植物園は、その特異な歴史か
ら「できるだけ自然のままに」という原則に基づいて運営され、人工の名勝地とは対
照的に自然の状態を残し、豊かな緑・生態系を育んできたことで、多くの大学関係者
や県民、市民の憩いの場、自然観察の場として貴重な位置を持っていました。

 この生態系の豊かさは、金沢観察会の10年以上の観察で確認された103種類の
鳥類、また城内で繁殖していることが推定される21種にもおよぶ鳥類の確認がそれ
を如実に物語っています(資料1参照)。

《豊かな自然があるから鳥類が繁殖する》というのは一般的説明であって、その実体
は《ニワトコ(骨接木)が多いから鳥が繁殖する》のです。金沢では梅雨の前の6月
鳥が繁殖活動に入る時、餌となる虫類がまだ少なく、樹木類の中でも真っ先に実を付
けるニワトコが、鳥の繁殖活動を支えていることです(資料2参照)。

 両会は、昨年春より共同で、ニワトコプロジェクトを発足させ、鳥類の繁殖にとっ
て欠かすことのできないニワトコ(骨接木)の増殖を目的に北間町の浅野川河畔での
植林、あるいは卯辰山での調査を行ってきました。金沢城跡での調査では、旧植物園
を中心に95本を確認しております(資料3参照)。

 私たちは城跡の都市公園化・植物園の整備事業が、その豊かな自然を守りながら整
備されるとのことで、工事の進捗、推移を注意深く見守ってきましたが、最近実施し
た観察会で、あろうことか旧植物園一帯がニワトコをはじめ低木、草木がすっぺり丸
坊主の様に刈られていることを発見しました。
 ニワトコについては、95本あったものがわずか7本しか残されていません。これ
では城跡における鳥類の繁殖・成長にとって致命的なものといわざるをえません。ま
た、低草木などを刈り取ることは、今後、城跡における生態系の崩壊につながる危険
があります。城跡を景観中心の人工的整備がこれからも続けられると、県民・市民の
望む城跡とは異なり、軽薄な人工公園になりかねません。こうした公園は全国どこに
でもあり、金沢にこれ以上必要はありません。あの城跡の整備には、深遠な緑のビュ
ーティスポットとしての旧植物園の生態系をそのまま生かした整備が不可欠です。こ
のままでは税金の無駄遣いといわれても仕方がありません。

 よって以下のように質問、要望をいたします。

一、整備計画において生態系の保存、旧景観の保存をどのように考えておられるか。
二、城跡公園整備計画の現状、アウトラインの説明を求めたい。
三、城跡整備においてはニワトコをはじめ低木、草木類の植栽に努力されること。

                                  以上

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