市民活動が反映した議会質疑(1993-1995)



1992年〜1994年にかけて進められた市民の活動が新聞やテレビニュースで大きく取り上げられ、県議会でも市民の活動から学んだ質問が相次いだ。

それまでまったく忘れられていた河北潟が、県政の重大問題であることがあきらかにされ、行政も積極的に河北潟に取り組む姿勢を表明している。

●平成5(1993)年12月議会 12/13
紐野義昭議員質問―――――――――――――――――――――
 次に、ことし北海道で開かれましたラムサール条約加盟国における会議で、加賀市の鴨池が登録をされ、野鳥の保護、湿地の保護が前進したことを高く評価をいたしたいと思います。

 ところで、湿地、野鳥と言えば県内ではすぐに思い出すのが邑知潟と河北潟であります。本来ならば鴨池以上に価値の高い地点であったと思いますけれども、いかんせん、世論の問題意識や時期の悪さも手伝い、現在のような姿であります。河北潟を昔に戻すのは不可能であります。そこで生活、生計を立てている多くの人たちがおられますので、新しい自然と人間との共生の立場から知恵を出し合うことが必要と思われます。こうした湿地や野鳥保護に立っての調査、研究の状況をお聞きしたいと思います。

 湖沼の水質汚濁についてでありますけれども、小松の木場潟は全国でも最も汚濁の進んだ湖沼として名高く、不名誉なことであります。今までさまざまな対策をとられているようでありますけれども、改善は進んでいるのでありましょうか。
 また、河北潟は二十本以上の河川水路が流入し、県の環境白書のデータでは基準値をかなり超えているのでありますけれども、このまま放置すれば汚濁は一層進むことと思います。対策はどうされるのかお伺いをいたします。特に河北潟については、多くの自治体が隣接するのでありますし、県が主導権を持っていかない限り実効性ある施策はとられないと思うのであります。どうぞよろしくお願いをいたします


斉藤晴彦環境部長答弁―――――――――――――――――――
 次に、邑知潟、河北潟におきます湿地環境の調査についての御質問がございましたが、邑知潟は近年、白鳥等の飛来が増加をしておりますが、現段階では国際的な登録湿地認定基準には及ばないと思われますし、また河北潟はワシタカ類やカモ類が多く飛来する地域ではございますが、周辺近隣地一帯が本県の基幹的農業生産地域でもございまして、カモ類等によります通年の農作物被害状況を勘案いたしますと、大変登録湿地の可能性というものは難しいのではないかと思われます。

 ただ、河北潟、邑知潟につきましては、県では鳥獣保護区に設定しまして生息環境の保全に努めてきたところでございますが、今後とも生息環境や生息状況調査を実施するなど、自然と人間との共生を基本にしまして、その保全に努めてまいりたいと考えております。

 それから、木場潟、河北潟の水質汚濁の状況と対策についてお尋ねがございました。平成四年度の木場潟、河北潟の水質測定結果によりますと、有機性の汚濁物質でありますCODを代表して見てまいりますと、目標といたします環境基準値を大幅に上回っておりまして、この傾向は数年横ばいでございます。汚濁の主たる原因が生活排水でありますので、県では木場潟につきましては今年度、水質汚濁防止法に基づきます生活排水対策重点地域の指定を行ったところでございまして、現在所管の小松市では具体的な対策を織り込みました生活排水対策推進計画を策定中でございます。この計画が着実に推進されますように小松市に対しまして技術的な支援を行ってまいりたいと考えております。また河北潟につきましては、これまで汚濁負荷量の調査を実施してきたところでございます。今後、専門家によります対策委員会を開催いたしまして、河北潟に適した水質改善対策の検討を行いたいと考えております。


●平成6(1994)年6月議会 6/16
長井賢誓議員質問―――――――――――――――――――――

 第五点として、河北潟の環境保全についてお伺いをいたします。
 河北潟は、御承知のように金沢市の北部に位置し、津幡、宇ノ気、内灘に囲まれて広がっております。周辺地域では、別の名を蓮湖、大清湖とか愛称されております。この語源から受ける感じといたしまして、波静かな澄み切ったきれいな湖という印象がついたゆえんでないかと思われるのでありますが、一方、この河北潟の規模は南北八キロメートル、東西四キロ、総延長十四・四キロ、大野川を経て日本海に注いでおります。現在の国営河北潟干拓事業が、潟の総面積二千二百四十八ヘクタール、そのうち一千三百五十ヘクタールを干拓し、農地一千七十九ヘクタールを造成したもので、沿岸耕地の三千二百七十ヘクタールを排水改良いたしたものと言われております。つまり、既耕地の整備と干拓地の入植増反とを行ったもので、農業経営の改善と農業規模の拡大を図ったものでありますが、この事業の施行過程においては、先端科学の粋を集め、巨費と長年月をかけ、地域発展と環境保全等を配慮され、ようやく実現した大事業でありますが、ところが近年は生活排水による水質の汚濁、廃棄物の流入増加等々、都市生活型の環境汚染が深まりつつあり、大変危惧するものであります。次の二点に絞ってお伺いをいたします。

 第一に、河北潟の水質汚濁の状況を監視するため、水質測定を実施しているようでありますが、水質の状況が環境保全基準を超えているのかどうか。
 第二に、水質汚濁は、近年悪化の傾向にあると言われております。河北潟について、大変心配をいたしておるものでありますが、河北潟が類型指定の中に含まれているのかどうか。今後どのようなこれらの処置、対策等々、抜本策をお聞かせ願いたいのであります。知事、環境部長の所見のほどをお伺いいたします。

知事答弁―――――――――――――――――――――――――
 それから、河北潟の話がございましたけれども、河北潟につきましては、コイやフナが生息できるといいますか、そんな水質、CODで言いますと五ppm、これをぜひ維持達成しようということでありますが、残念ながら現在のところその目標は達成をされていないということであります。この原因としては、長井議員も御指摘のように、生活系あるいは自然系の負荷が大変大きいということで、基本的には下水道ですとか合併処理浄化槽、こういった生活排水対策を進めていく。それから農業についても環境保全型農業、こんなものを普及していく、そんな総合的、計画的な対策が必要ではないかというふうに考えております。現在、担当部の方で専門家の意見を聞きながら、こういった対策について鋭意検討を行っているという状況でございます。

杉井宏美環境部長答弁―――――――――――――――――――
 河北潟の水質につきまして、知事答弁を補足させていただきます。
 河北潟につきましては、コイやフナが生息できる水質を目標といたしておりまして、水の汚れ度指標でありますCODにつきましては、五ppmということで、B類型の類型指定を行っております。また、富栄養化の原因であります窒素、リンにつきましては、暫定的に窒素で一ppm、リンで〇・一ppmの五類型の類型指定を行っておるところでございます。

 水質でございますが、平成四年度に測定いたしましたCODでは、九・四ppmと環境基準を大幅に上回っております。また、窒素、リンにつきましても、測定した年度によって変化があるわけでございますが、たびたび環境基準を上回っている状況でございます

●平成6(1994)年6月議会 6/16
八十出泰成議員質問――――――――――――――――――――

 次に、河北潟の水質浄化についてお伺いいたします。
 知事はさきの提案理由の説明で、今後の県政運営の考え方の中で特に重点施策として位置づけたものの中に、河川、湖沼の環境問題への総合的取り組みを強調されたように、河川、湖沼の環境保全への思い入れを強く感じますし、まことに時宜を得たものであり、高く評価をするものであります。以前にも、進行する河北潟の水質汚濁に対して、浄化に向けた緊急な対策を本議場から要請してまいったところであります。

 河北潟は、干拓以前の昭和三十年代前半では、湖水は非常に清冽で、かつ私たちにとって有用な生物を多量に生産するすばらしい湖でありました。しかし、残念なことに水質の環境基準はおろか、農業用水基準も満足できない全国でも有数の汚濁の進行した湖になってしまったことは、県当局のこの十五年間の水質測定結果報告書のCOD状況でも明らかであります。河北潟を囲む金沢市と河北五町にまたがった二百九十一キロ平米の範囲からの雨や発生した汚濁物質が、最終的に河北潟に流入するのであります。

 この六月十二日に、河北潟を考える会の皆さんが、河北潟を見ると題して環境ウオッチングとシンポジウムを開催し、河北潟周辺を陸と湖からくまなく観察をし、改めて汚濁の進行度合いを確かめたようであります。河北潟周辺は本県の基幹的農業生産地域であり、いずれも農業用水としてこの河北潟の湖水を使用している現状から、安全な食糧供給を願う人々にとって、河北潟が農業用水基準を超えているとしたら、問題は深刻であります。

 そこで、幾つかお尋ねいたします。
 まず、これまでの県当局の答弁は、汚濁負荷量の調査を実施し、下水道の整備、排水基準の見直しなど、発生源対策や水生植物による浄化など、専門家により対策委員会を開催して、河北潟に適した水質改善対策の検討を行うということでありましたが、一体どのような検討がなされているのか、私たちには見えません。ぜひとも明らかにしていただきたいと思います。

 また、今議会の補正予算の中に、生活排水対策の重点地域となっている木場潟の水質保全に予算がつけられました。大変すばらしいことだと思いますが、水質汚濁防止法に基づく生活排水対策の重点地域の基準は、一体どのようなものなのでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。

 CODも木場潟と同じく環境基準を大幅に上回り、農業用水基準も満足できない。その汚濁の主たる原因の生活排水の割合も木場潟と同じくらいの河北潟が重点地域に指定されてもおかしくないと思いますが、いかがでしょうか。

 さらに、河北潟の汚濁問題は、単に水質ばかりではなく、東部承水路護岸で顕著に見られるおびただしいまでのごみの量であります。湖上ばかりでなく、湖底にも大量に沈んでいると予測されますが、これらの対策もあわせてお示しをいただきたいと思います。


杉井環境部長答弁―――――――――――――――――――――
 まず、河北潟の水質浄化でございますが、平成四年度、五年度にかけて窒素、リンの負荷量調査結果から、生活系や自然系の負荷が河北潟の主な汚濁原因であることが判明いたしております。これらの結果を踏まえまして、現在、専門家の方々からなる検討会で検討いただいているところでありますが、水質改善対策として下水道、あるいは合併処理浄化槽などの整備を中心にいたしました生活排水処理対策の推進、あるいは環境保全型農業の推進、あるいは水生植物等を利用した水路の浄化対策の検討等々の意見が出されておるところでございます。

 また、水質汚濁防止法に規定いたします生活排水対策重点地域につきましては、水質環境基準が現に確保されていないか、または確保されないおそれが著しい公共用水域で、生活系の汚濁負荷が産業系に比べ相対的に大きい地域などにつきまして、関係市町村長の意見を聞いた上で知事が指定をするものであります。河北潟流域では、順次下水道などの整備が進んでおりまして、徐々に生活系負荷が減少してきている状況ではございますが、流域の下水道等の普及率もまだ四〇%程度ということもあり、生活排水対策をさらに促進するために、重点地域の指定につきまして関係市町と相談をしてまいりたいというふうに考えております。


●平成6(1994)年9月議会 9/19
紐野義昭議員質問―――――――――――――――――――――

 そこで、先日、河北潟のごみ問題で、「湖底のごみの収集もやる」と答弁された問題であります。これは、一見もっともなことのようであり、私も総論では賛成でありますが、河北潟のごみ問題はそう単純なものではないのではないかと思うのであります。湖岸の釣り人が出したごみなど、人間の手で時間をかければそれはそれできれいになるかもしれません。しかし、毎日のように捨てられていくごみを継続的に収集するのは、これだけでも大変なことであります。また、湖底のごみとなると、先日の住民によるごみ調査では、湖底から解体した車のボディが出てきたそうでありますが、これは論外としても、何十年にわたって流入河川から供給され続けてきた結果、湖底に堆積したものもあるでしょう。何が埋まっているのか想像もつかないのでありますし、ヘドロもたまっており、大規模のしゅんせつ掃除をあわせて行わなければ、ごみの収集は全く不可能であり、このためには多くの予算が必要になってくるのであります。

 河北潟に限って言えば、干拓以来、一部の農業用水に使う以外、生活用水あるいは下水処理水の放流先でもあり、地域住民からも見捨てられ、背を向けられてきたところに大きな問題があるのであります。これは、流域住民だけではなく、河北潟に関係する一市五町の自治体すべての責任でもあり、湖面管理に関しては国、二級河川に関しては石川県にその直接責任があります。こうした問題を抜きに、水質汚濁の進行は絶対にとまりませんし、ごみ問題の解決にもならないのではないでしょうか。

 昨年の十二月議会の一般質問、またことし六月の厚生環境常任委員会で、この河北潟問題水質汚濁の改善に向けての質問を行いました。県からは、専門家による対策委員会の開催、関係市町と対策に当たるとのことでありましたが、その後の経過についてお聞きをいたしたいと思います。

 先ほどのごみの収集をしたいとの答弁は、そうした対策委員会の結果として結論を果たして出されたものなのかどうか、あわせてお尋ねをいたします。

 また、河北潟に限らず環境問題というのは、大量生産、大量消費、大量廃棄の結果、必然的に生まれてきた深いまさに現代病とも言える問題でもあります。こうした問題に本格的に取り組むには、やはり行政と民間、つまり住民といいますか、関係者すべてが共通したデータに基づいて役割分担をしっかり行い、解決に当たることが重要ではなかろうかと思います。そして、その調整役が行政の最も大きな仕事であろうと思うのであります。また、重要なキーポイントは、解決に当たるための調査、データの収集、情報の公開であります。そのことがあって初めて議論にもなるし、役割分担も行えるのであります。

 河北潟について言えば、過日、金沢市の水郷公園計画が発表されたところでありますが、こうした一自治体の事業が本当に実り多いものになるためにも、国、県、関係市町全体で河北潟についての一致した環境回復運動に取り組まなければならないと思います。汚い水のままで、その湖岸の一部にどんなに美しい計画をつくっても、だれも来てはくれません。対策会議の本格的な活動を期待いたしたいと思いますし、またそのためにも先日の答弁でお約束された野生動植物の生息調査はもちろん、水質、湖底堆積物、地質、土壌、気象、文化などの総合調査、研究が緊急に必要でないかと思うのであります。こうした調査、研究に当たって、行政、民間、専門家、地域住民の参加、協力が不可欠であろうと思いますし、そうして初めて日本でもまれな内面湖沼としての河北潟の環境回復が図られると思うのでありますが、いかがでしょうか。

 御承知のとおり、河北潟は歴史的にも規模的にも石川県を代表する湖沼であります。どうか、県当局のお力で一大運動組織を起こしていただきたくお願いするものであります。


知事答弁―――――――――――――――――――――
 それから、河北潟の水質汚濁の問題ございましたが、先般、土木部長の方で河北潟のごみを収集するという答弁をしたわけでございますけれども、詳細についてはまた部長の方から答弁をいたしますけれども、法律上、河川管理の責務を課せられているという立場で、河川環境美化の観点から、取り除けるごみは取り除いていきたいというふうな思いで答弁をしたものというふうに私は理解をしておるわけでございます。

 水質浄化対策につきましては、紐野議員お話がございましたように、今河北潟水質浄化対策検討会を設けております。その意見も踏まえて、関係者がそれぞれ英知を出し合いながら総合的に取り組んでいけるものというふうに考えておるわけでございます。


杉井環境部長答弁―――――――――――――――――――――
 河北潟の水質浄化対策につきまして知事答弁を補足させていただきます。
 河北潟の水質浄化対策につきまして、現在、浄化対策検討委員会の意見を聞いているところでありますが、この委員会の中では、下水道や合併処理浄化槽などの生活排水対策の推進、それから環境保全型農業への推進、それから水路浄化対策の検討、しゅんせつの検討等々の意見が出されておるところでございます。これらの意見に基づきまして、具体的な浄化対策につきましては今年度中にも取りまとめをしたいというふうに考えておりますが、関係市町を初め、地域住民の方々などの意見をも参考にしてまいりたいというふうに考えております。

 また、主な汚濁原因であります生活排水対策を計画的に推進するために、生活排水対策重点地域の指定に向けまして、現在、関係市町と相談を進めておるところでございます。

 さらに、散乱ごみ対策につきましては、今後とも関係市町とともに、ごみゼロの日の設定や環境美化行動の日、クリーンリサイクル推進期間等の行事を通じまして啓発活動に努めていくことにいたしております。

 いずれにいたしましても、総合的な実態調査あるいは役割分担等につきまして、議員からいただきました御意見等を踏まえ、河北潟の浄化について取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。


西健吾土木部長答弁―――――――――――――――――――――
 河北潟のごみ問題につきまして、先日答弁いたしましたことに対する質問でございました。先日、八十出議員の代表質問に対しまして答弁しましたのは、「湖底のごみを含めまして再調査をし、そのごみの状況によっては関係市町の協力を得てごみを収集したい」というふうにお答えをさせていただきました。その趣旨は、潟の周辺及び湖岸から確認できる範囲内のごみを再調査をいたしまして、河川美化の観点から放置できないものに限って収集するという意味で発言をしたつもりでございました。

 いずれにいたしましても、河川へのごみ捨てはモラルの問題でございまして、地域の住民に河川愛護活動への参加を呼びかけるなど、さらにモラルの向上も図ってまいりたいというふうに存じます


●平成6(1994)年9月 9/14
長憲二議員質問―――――――――――――――――――――

 次に、閉鎖性水域の河北潟、七尾湾の水質環境の保全、浄化対策についてであります。県内の閉鎖性水域の水質環境対策等については、既に柴山潟では昭和六十年から総事業費十七億円で、湖底のヘドロの除去作業が進められており、また木場潟についても平成五年五月に生活排水対策重点地域の指定を受けるとともに、今年度から五カ年計画で総事業費十七億円で管水路を延長して、大日川からの導水による水質浄化対策などを進めることになっておりますが、さらに河北潟、七尾湾についても本格的な保全浄化対策が望まれるところであります。閉鎖性水域では、一度汚染が進むと元への回復は極めて困難であり、早期に保全を図る必要がありますが、現在の両地域の水質汚染の現況について説明を求めておきます。

 また、河北潟を考える会や七尾湾沿岸全住民大会事務局では、現地調査や啓発活動に積極的に取り組んでおり、関係団体や地域住民の中に環境浄化への関心が大変高まってきております。行政も、こうした住民みずからの運動にこたえ、県、関係市町が一体となって広域的に連携し、大きな汚染源である下水道の整備促進を初め、両地域の環境浄化に向けて具体的な施策の展開に取り組む考えがないかお尋ねをいたしておきます。


杉井環境部長答弁―――――――――――――――――――――
 河北潟と七尾湾の水質浄化対策についてお答えをいたします。
 まず、水質の現状でございますが、河北潟につきましては、平成四年度にCODで九・四ppmということで、環境基準の五ppmを大幅に上回っております。また、七尾湾につきましては、過去五年間を見ましても、西湾、南湾の二ppm、それから防波堤内の三ppmという環境基準を数回超えたことがございます。平成四年度につきましては、七尾西湾で二・一ppmということで、環境基準の二ppmを超えております。それ以外の北湾、南湾、防波堤内につきましては環境基準内でございます。

 閉鎖性水域の主な汚濁原因であります生活排水対策ということで、下水道や合併処理浄化槽などの対策を総合的、計画的に推進するために、河北潟及び七尾南湾につきまして、水質汚濁防止法に基づきます生活排水対策重点地域の指定に向けまして、現在関係市町と相談をしておるところでございます。生活排水対策の推進につきましては、地域住民の理解と協力が必要であり、県と関係市町及び住民が連携を図りながら、一体となって水域の浄化に取り組んでまいりたいというふうに考えております。


●平成6(1994)年9月 9/14
八十出泰成議員質問―――――――――――――――――――――

 三つ目は、河北潟の浄化について伺います。
 この九月十二日、金沢で行われた中央環境審議会北陸ブロックヒアリングでも意見発表があり、さきの六月定例会でも質問させていただきましたが、河北潟の汚濁状況は一向に改善されないのであります。

 先般、河北潟の自然や生態系を守ろうと活動し続ける河北潟を考える会の十一人が、二十分の時間で河北潟周辺でプラスチック、ガラス、金属など九種類、中にはテレビや冷蔵庫、バイクなども見つかり、三百キログラムのごみの量が集まったそうであります。

 また、湖底五カ所をパワーシャベルですくって湖底に沈む廃棄物の量や種類を見るという珍しい調査をしたところ、プラスチックのほかにトラックの車体を初め、大量のごみが湖底に沈んでいたようであります。実に、河北潟はごみの捨て場になっているわけであります。周辺二百九十一平方キロメートルから流れてくる汚濁物質が、すべて河北潟に集まるのであります。このもとを絶たねば、河北潟の浄化はおよそ不可能であります。河北潟周辺と湖底の大量のごみ対策について、土木部長にもお尋ねいたします。

 それから、河北潟の浄化対策でありますが、河北潟がごみ捨て場に化しておるという御指摘は確かに私も写真で見ましたが、そのとおりでございます。住民のモラルの問題とはいえ、これは大変悲しむべき事柄でございます。ひとつ、これから県の方も関係市町村と今協議をしておりまして、ぜひ水質汚濁防止法に基づく生活排水対策重点地域ですね、その指定に向けてひとつこれから取り組んでまいりたいというふうに考えております。


平成6(1994)年12月議会 12/14
八十出泰成議員質問―――――――――――――――――――――

 次に、河北潟の浄化についてお伺いいたします。
 河北潟の浄化対策については、この一年間、議会内外で議論が随分高まり、その声がついに木場潟に引き続き生活排水対策重点地域指定に向け活発な動きとなってきたようであります。御案内のとおり、河北潟は干拓され、かつての三分の一になったとはいえ、現在でも石川県最大の湖沼であり、都市から至近距離にある湖としては全国有数のものであります。この湖をかつてのような豊かで美しいものにすることは谷本県政が推し進めようとする環境行政のビッグプロジェクトでもあり、夢のある事業だといっても過言ではありません。

 ことしの十月、河北潟の浄化と河北潟を中心とした広範な地域の動植物の保護と周辺の土地利用について、これまで熱心に取り組んでこられた市民団体の皆さんがあらゆる角度から調査、研究をするために、河北潟湖沼研究所を発足させました。下水道整備等による汚濁源対策、調整池を汽水湖に復元することによる浄化など、取り組む意欲を見せております。こうした河北潟浄化に向けた民間団体の試みは実に頼もしい限りであり、このような民間団体の皆さんと県や関係市町がいかに手を組み協力し合っていくかが今後の大きな課題でもあります。

 先般、厚生環境常任委員会が冬鳥の飛来地で世界的にも有名であり、貴重な自然を残す宮城県の伊豆沼、内沼を訪れました。一九六〇年代から愛鳥団体や保護団体ができ、水鳥の保護を通して伊豆沼、内沼に対する関心が高まったといいます。やがて、鳥獣保護区から国の天然記念物に指定され、一九七三年には県の自然環境保全地域となり、野生鳥獣ばかりではなく、すぐれた自然を持つ湖沼として一九八五年のラムサール条約登録地に指定をされました。一九八二年には、保護団体から行政までの二十七団体による伊豆沼管理協議会がつくられ、八八年にはこの協議会を発展的に解消してより強力に保全事業を推進していくために宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団が設立をされました。

 この伊豆沼、内沼が今日のように広がりをもって湖沼の保全体制に行き着くまでのプロセスは、文字どおり愛鳥団体や保護団体の粘り強い絶え間ない取り組みが基本にあったからと思います。河北潟の浄化も宮城県伊豆沼、内沼の取り組みを教訓に、行政と民間団体とが個々ばらばらではなく、協力、協調しながらお互いに役割を分担をし、進めていくのが効果をより一層高めることになるのだと思います。

 まず、当面は県と関係市町と民間団体が河北潟浄化に向けて協議会をつくり、その中でそれぞれの役割分担を決めながら事業を進め、その過程で財団法人としての環境保全財団の設立をし、事業をさらに進めていくことだと思いますが、知事、担当部長の河北潟浄化に対する方針と私の提案に対する御所見を伺います。

 また、最初に申し上げた河北潟の生活排水対策重点地域指定は具体的にはいつごろになるのか。そして、その場合の県当局の支援策を具体的にお聞かせいただきたいと思います。

 次に、河北潟と関係の深い河北潟干拓農業について伺います。先日の一般質問で、先輩議員からの河北潟干拓農地を二十一世紀に向けた金沢国際空港としてはどうかという夢のある貴重な御意見を拝聴させていただきました。恐らく遅々として進まない河北潟干拓農業の営農状態を見限っての御意見だろうと思います。しかしながら、干拓農地は入植時に背負った償還金に追われながら、連作障害や病虫害、野菜類の安価など不安定な農業環境の中でも懸命に頑張り続けている農家や大規模な酪農経営に夢を抱き、思いも寄らぬ乳価の下落で経営が厳しい中でも歯を食いしばって努力を続けておられる人たちが現に存在しておられるのであります。

 これらの人たちが、ゆとり、豊かさを求める今日では考えられないような長時間労働で人一倍流した汗が報われるような農政を一日も早く実現されることこそ最優先されるべきではないでしょうか。

 それから、河北潟の浄化でありますが、最近の公害というのは産業型公害から加害者も住民、被害者も住民という生活型の公害、そのウエートが大変大きくなってきております。河北潟もその一つであろうというふうに理解をいたしておるわけでありますが、この河北潟は八十出議員も御指摘がございましたように、大変有数な野鳥の宝庫でもあります。河北潟の環境保全というのは大変重要な課題だと。これからもその保全に努力をしていかなければならないというふうに考えているわけであります。

 この河北潟の浄化に当たりましては、国は国としてやっていただく、県は県、市町村は市町村、民間団体は民間団体、あるいは流域の住民の皆さん方の取り組み、そういった取り組みが必要でありますが、それぞれの役割分担をしながらお互いに連携をしていく。そういう地道な粘り強い取り組みが必要であろうというふうに思います。

 県では現在、関係市町と協議をいたしておるところでございますが、河北潟につきましては今年度中に生活排水対策重点地域に指定をし、来年度には流域の関係市町及び国等の関係機関からなります協議会を設けまして、各市町におきまして具体的な生活排水推進計画が策定される予定でございます。広く関係者の意見を聞きながら推進計画が策定されることは大変有意義なことだというふうに考えております。

 また、国、県の支援等についてでございますが、市町の生活排水対策推進事業につきましては推進計画策定に対する補助制度や交付税措置のある起債対象事業でもあります水路、浄化施設、それから水辺環境の整備に対する補助制度がございます。さらには、推進計画に沿って各種の事業が推進されますよう、県といたしましても支援をしてまいりたいというふうに考えております。


●平成7(1995)年2月議会 3/6
大本利夫議員質問―――――――――――――――――――――

 次に、河北潟水質浄化対策についてお伺いをいたします。
 近年、県下の河川、湖沼の汚濁状況は、工場、事業所に対する排水規制や下水道の整備による効果があらわれ、全体的には改善の傾向にあると言えます。しかし、下水道未整備区域を流れる小河川では、逆に汚濁の進行が見られ、生活排水による汚濁割合が汚濁物質全体の約七〇%を占めていると言われております。

 生活排水の浄化を進めるためには、下水道、集落排水事業、合併処理浄化槽の整備促進のため、積極的に市町村の支援はもちろんのこと、ソフト面での対応が必要と思われます。幸い、石川県では木場潟に次いで河北潟流域、七尾湾南湾流域、柴山潟流域を生活排水重点地域に指定し、水質汚濁防止法により、生活排水対策推進計画を策定することとなっています。

 さきに生活排水重点地域に指定され、いろいろな措置がとられております木場潟と、今度指定されました河北潟のCODの平成三年度と平成四年度を比較いたしますと、木場潟はリッター十三ミリグラムからリッター十一ミリグラムと効果があらわれてきております。河北潟はリッター七・三ミリグラムからリッター九・四ミリグラムと悪化の傾向でございます。全窒素を比較しますと、平成四年度において、木場潟はリッター一・七ミリグラムに対し、河北潟はリッター一・九ミリグラムとなっており、河北潟の浄化対策を急がねばならないと思います。

 ソフト面の対応は、市町村民一人一人の自覚と協力が必要であり、市町村ぐるみのきめ細かい運動の取り組みの定着化とその活動を通して、地球にやさしい暮らしの啓発を図っていく必要があります。
 県当局におかれては、市町村と共同歩調をとりながら、この推進のためどのような施策を講ずるのか。具体的に説明をお願いしたいと思います。特に、下水道事業促進に関しましては河北潟へは新しい助成制度が必要と思われますが、県の取り組みをお聞かせ願いたいと思います。


知事答弁――――――――――――――――――――
 次に、河北潟の水質浄化対策の御質問がございました。河北潟に限らず、閉鎖性水域の水質改善というのは大変大事な課題でありまして、これは県、市町村といった行政だけではなくして、その流域の住民の皆さん方の取り組みというのも大変大事でありますし、そういった方々とも十分連携をしながら取り組んでいくということが大変大事だろうというふうに思っているわけであります。ソフト面での対策あるいはハード面での対策をしっかり立てていかなきゃいかぬということであります。そういう意味で、ひとつ平成七年度からこういった環境保全対策をひとつ継続的に、かつ着実に推進をしていこうということで、環境保全活動を実践をしておられる地域の住民の皆様方にも入っていただいた閉鎖性水域の環境保全対策を進めるための協議会といったようなものをぜひ設立をして、一斉清掃ですとか、河北郡では一部取り組んでおられます廃食用油の回収ですとか、ボカシの効能調査、そういったものをひとつ行政と住民とが一体となって取り組んでいくということが大変大事ではないのかなというふうに考えているわけであります。もちろん下水道あるいは農業集落排水事業といった整備も進めていくことは必要でありますけれども、さらに合併処理浄化槽の整備ということも大変大事な課題でありますので、それについてもひとつ積極的に取り組んでいこうということで、今回予算の中にもそれを反映させていただいたところであります。


西土木部長答弁―――――――――――――――――――――
 土木行政について三点お答えをしたいと思います。
 まず、河北潟の水質浄化に伴います下水道事業の促進についてでございます。河北潟におきましては現在水質汚濁防止法に基づきます生活排水対策重点地域の指定に向けまして作業が進められておるわけでございますが、潟の水質浄化を図る上で下水道の整備促進が極めて重要というのは議員御指摘のとおりでございます。


●平成7(1995)年2月議会 3/6
石坂修一議員質問―――――――――――――――――――――

 近年の湖沼などの閉鎖性水域では、水銀、カドミウムなど健康項目ではほぼ全域で環境基準を満足していますが、生活環境項目であるCODについてはほとんど達成されていない状況にあります。特に近年は、その原因において生活排水の占める割合がふえ、対策が急がれます。一方、下水道計画はその財政負担の大きさ、住宅密集の少なさから万能薬ではなく、全県的には遅々として進まない実態があります。

 そのような中で、二十一世紀ビジョンでは二十一世紀初頭の目標として、湖沼の水質汚濁の生活環境基準達成率七〇%、片や下水道普及率は平成五年で三八・六%のものを七〇%まで引き上げようとしております。

 そこで、まずお尋ねいたしますが、第一に具体的に県内における個別の水域、すなわち柴山潟、河北潟、木場潟、七尾南湾の水質汚濁生活環境水準達成率をどのように考えておられるのか。

 第二に、その処方せんとしての下水道普及率は、財政状況をかんがみて達成可能かどうかということであります。
 昭和六十一年、建設省の指導のもと各市町村の考え方を積み上げた中で、下水道整備構想エリアマップというものができました。各地域の下水道をどのような手段で解決するかというものです。しかし、現在その手法が足かせとなって、かえってこの水質対策が手おくれになることはないのだろうか、危惧するものです。

 そのような中で、し尿と生活雑排水を一緒に処理する合併処理浄化槽が注目されてきました。これに対する補助制度は、昭和六十三年度に始まりましたが、特に本県では平成四年、県と市町村で補助をかさ上げしております。しかも、補助対象は原則として下水道事業計画区域外でありますが、一昨年五月、水質汚濁防止法に規定する生活排水対策重点地域に木場潟流域を指定、本年はさらに河北潟流域、柴山潟流域、七尾南湾において指定を関係市町村と協議中であります。これは従来の単独浄化槽と公共下水道重視の対策から、合併処理浄化槽がそれなりに意義を認められてきたという評価の変化と考えますが、いかがでしょうか。


知事答弁―――――――――――――――――――――
 次に、閉鎖性水域についての御質問がございました。御指摘の四流域は、残念ながら環境基準はまだ達成をされていない状況であります。閉鎖性水域の水質汚濁というのは大変いろんな複雑な要因が絡んでおります。と同時に、私も個人的には環境基準というのはひとつあるべき目標水準ということでありますから、ある意味では理想的な目標水準ということでありますから、一挙にそこまで持っていくということは、大変これは難しいわけであります。ですから、段階を追ってその基準達成に向けて取り組んでいくというふうなことも必要なのではないかというふうに考えているわけであります。

 次に、下水道の普及率の御質問がございました。国が今新しく決めております公共投資基本計画、これは四百三十兆円を六百三十一兆円にふやして、生活関連の社会資本の整備に重点を置くということであります。その中で、二十一世紀初頭の下水道普及率を定めているわけでありますが、それらを勘案いたしますと石川県の目標、普及率七〇%というのは達成は可能ではないかと。これは、これからの具体の国等を含めた財源措置いかんにもよるわけでありますけれども、公共投資基本計画のふえ方等を見ておりますと、そこまでは達成できるのではないかというふうな予想も立つわけであります。

 次に、同じく閉鎖性水域の水質汚濁防止の関係で、下水道あるいは農業集落排水施設の整備が基本であるわけでありますが、こういった下水道の整備がおくれている地域等については、合併処理浄化槽の整備というのも大変有効な手だてというふうに考えているわけであります。下水道、農業集落の施設の整備とあわせて、ひとつこの合併処理浄化槽の整備というのも進めてまいりたいというふうに考えているわけであります。

 次に、閉鎖性水域の環境保全対策協議会の目指すところということでありますが、既にお答えをいたしておりますけれども、各流域ごとに環境保全活動を実践をしておられる住民の皆さん方にもお入りをいただいた協議会という形で設立をしたい。一斉清掃ですとか、廃食用油、いわゆる油の回収ですとか、そういった地道な取り組みを積み重ねていくということが大変大事であろうというふうに考えているわけであります。

 次に、合併処理浄化槽の利用度が下位に低迷をしているではないかという御質問でありますが、石川県の場合は住民の皆さん方の水洗化の要望が大変強いということもございますし、県内に浄化槽メーカーもあったということで、早くから単独浄化槽による水洗化が進んできておるわけであります。それだけに、小型の合併処理浄化槽が普及しにくいという状況にあると。言葉をかえればし尿処理優先という形で進んできたということでありますが、最近の湖沼の汚濁というものを見ておりますと、やはり生活排水が相当程度のウエートを占めておるということでありますので、市町村の中でも合併処理浄化槽の整備を進めるという市町村が、徐々にではありますけれども増加をしてきておるということであります。今後、せっかく生活排水対策推進計画というのを立てるわけでありますから、ひとつその中でもこの合併処理浄化槽の整備ということについても、積極的にひとつ取り組んでいただいて、できることならばある程度の目標を定めて目標の達成に向けて取り組んでいただくと、そういう内容にできればというふうに考えているところであります。


杉井環境部長答弁―――――――――――――――――――――
 閉鎖性水域の環境保全対策に関連いたしまして、合併処理浄化槽の普及について知事答弁を補足させていただきます。
 合併処理浄化槽の設置につきましては、家屋を新築する際に取り入れられるケースもあるわけでございますが、大部分は家屋の増改築に伴いまして新たに水洗化をする場合だとか、単独浄化槽を切りかえる場合に合併処理浄化槽が取り入れられるわけでございます。今後、家屋の新築や水洗化の際には、この合併処理浄化槽ができるだけ選択されるように、県と市町村で構成をしております合併処理浄化槽普及促進協議会というものがございますが、これらを通じましてさらに積極的に普及啓発に努めてまいりたいというふうに考えております。


●平成7(1995)年6月 6/26
八十出泰成議員質問―――――――――――――――――――――

 去る三月、木場潟に引き続き水質汚濁の著しい柴山潟、河北潟、七尾南湾等の閉鎖性水域を水質汚濁防止法による生活排水対策重点地域に指定をし、浄化に向けた積極的な取り組みを展開していくことを明らかにしてきたところであります。こうした県当局の重点地域指定は、関係市町のみならず多くの県民が関心を寄せているのであります。

 河北潟では、六月五日の環境の日の前日に、河北潟の自然環境保護を目的に活動を続ける市民グループや、県内の自然保護団体に加えて、県や金沢市など十数団体が参加をし、河北潟クリーン大作戦が行われました。現在、生活排水対策重点地域に指定された河北潟の関係市町は、推進計画の策定作業を急いでおり、既に開催されている金沢市議会での市側答弁では、この八月にも計画案が出されるようであります。

 しかし、この各市、町の計画案は、それぞれ単独の計画策定でありますから、当然のごとく市や町でできることといえば下水道事業の推進ぐらいしかないように思います。閉鎖性水域の浄化とは、湖底の廃棄物の撤去、ヘドロのしゅんせつ、農業、酪農からの排水の浄化、水生植物の植栽、自然浄化のための防潮水門の見直し等々、いずれをとっても全体的に取り組まなければならないことが多いからであります。とすれば、当然計画策定の前提には、湖沼の浄化方法を関係市、町が把握した上での計画でないと意味のないものになってしまうような気がしてなりません。関係市、町の計画策定への具体的なプロセスと県のかかわり、さらには河北潟の浄化に向けて研究し、活動している市民団体との協議の場をどうするのかもあわせてお聞かせいただきたいと思います。

 それから、河北潟のお話がございました。これからは生活型公害、そういうものにどういうふうに対応していくのか。とりわけ県民にとって大変大事な湖沼が石川県には幾つかあるわけであります。河北潟もその一つということでございます。これからは大変大きな課題になってくるんだろうと思います。現在、生活排水対策推進計画の策定地域ということで、その計画の策定作業に今取り組んでいるところでありますが、この水質浄化ということにつきましては行政もしっかり腰を据えて取り組まなきゃいけませんが、やはり地域の流域の住民の皆様方の取り組みというのもこれは不可欠でございます。そういう意味では、住民団体の方々等からそういう盛り上がりが出てくるということは大変心強い思いがいたしておるわけであります。そういった皆さん方ともこれから十分連携をとりながら対応してまいりたいというふうに考えているところであります。


杉井環境部長答弁―――――――――――――――――――――
 閉鎖性水域の水質浄化について知事答弁を補足させていただきます。
 平成六年度末に重点地域に指定をいたしました三つの流域につきましては、各市町ごとに現況調査を行いまして、平成七年度中に推進計画を策定することとなるわけでございますが、県といたしましては流域全体の発生負荷量の把握、負荷量の削減目標の設定、水質浄化対策などにつきまして技術的な支援を行います。これにあわせまして、計画策定につきまして財政的支援を行うことといたしております。

 河北潟や柴山潟といいました複数の市町が関係する流域につきましては、総合調整が必要でございます。県、関係市町、学識経験者及び関係機関からなります調整会議を設置をいたしまして、汚濁負荷量の削減目標などの調整を行うことといたしております。

 また、既に環境保全運動に取り組んでいただいております市民団体の方々からは私どもも直接お話をお聞きしているわけでございますが、このような住民団体の活動につきましては今年度に設置が予定されております流域単位の協議会に対する助成措置などを通じまして、今後ともその活動を支援してまいりたいというふうに考えております。