【資料】 鞍月用水堰〜大桑橋 議会質疑


2003.10.8 掲載

2003年10月1日 石川県議会質疑より
 質問者 尾西洋子(共)
 答弁者 福本土木部長


 (注:この記録は、県議会ホームページ中継録画から起こしたもの。正式な議事録ではない。文責:渡辺)


質問―――
 3番目に、犀川水系整備計画についてであります。市民団体からの指摘などもふまえて、質問いたします。
 犀川水系の河川整備事業ですが、昭和47年度の「犀川改修事業全体計画」では、出雲地内から大桑新町間7kmを全体計画とし、うち国道8号線が通る犀川大橋上流を第1期計画として昭和55年度までに整備する予定でした。
 そこで、知事並びに関係部長にお伺いいたします。
 一つは、犀川改良工事全体計画について、昭和54年6月28日付で国認可を得て、事業を変更しております。第1期計画がいつ終了したのか。なぜ鞍月用水堰から上流の計画を変更し、30年以上も放置してきたのか。近年の風水害の記録からしても、この放置状態は妥当なものなのか。
(パネル掲示)
 ご覧下さい。城南1丁目の右岸の写真です。ここで溢れた洪水が中心地市街地に被害をもたらす危険性は低いとはいえません。98年台風7号のとき、住民の方もあと2〜30センチで堤防を超えそうになったと当時の恐怖を語っています。放置の理由を明らかにしてください。
 またこの区間は、ごらんのように護岸のコンクリートが剥がれて決壊の危険性が心配されている。整備基本方針、整備計画策定以前にも改修が必要な区間ではないか。合わせて答弁を求めます。

 二つ目に、現況の流下能力や、堤内地での開発状況、前後の区間を合わせた河床勾配などを大づかみでも分からねば、河川計画の中で検討を行うで済ますことはできないという市民団体からの指摘を重く受け止める必要がある。
 第6回犀川水系河川整備検討委員会で、委員長も流下能力1,230m3/sが鞍月用水上流部で市民から心配があると、県に考えを求めました。異例の発言です。
 鞍月用水堰地点の流下能力はおよそ600t/秒との意見もありますが、この地点の流下能力はどれだけなんでしょうか。お答え下さい。
 鞍月用水堰から大桑橋付近までは、計画高水を毎秒1230トンとした基本方針に基づく整備計画で対応できるとの判断を示されましたが、その根拠はなんでしょうか。市民団体の方は遠い将来のことではなく流下能力も把握しないまま、河川基本方針を決めては、河川整備計画の段階に解決不能の問題を残すとコメントされています。根拠について答弁を求めます。
 三つ目に、この区間は危険重要度から、同じ河川課で作った、水防計画でBからAに引き上げられました。4年間依然として放置されています。この区間を基本高水 1750t/秒、計画高水1230t/秒とのことから、そもそも無理が生じているのではないでしょうか。生命財産、住民の安全を守る立場から、明快な答弁を求めます。
 次に犀川水系の自然環境、河川環境についてです。犀川水系は自然環境は、河川環境、文化的遺産史跡で全国からも注目される状況です。
 動植物の生態系をはじめ、文化遺産など、貴重な遺産はしっかりと守る、そういう立場に立つべきではないか。そのためにも乱開発の抑制と環境アセスメントの徹底した実施や、環境保全と自然の機能を優先させた河川行政へ切り替えが必要です。こうした切り替えこそ、世界、全国の流れではないか。また企業や官庁から独立した河川事業審議会の設置など、河川行政を計画段階から住民参加でチェックできるような河川事業評価制度の創設を提案するものです。

答弁―――
 河川整備計画、環状道路についてお答えします。
 犀川の治水事業の経緯、変更の理由と言うことでございますが、昭和47年に中小河川改修事業第1期を着手しております。これは御影大橋から桜橋の1900mで、これはまさに金沢の都心部のもっとも××しいところを先行的に整備したものでございます。

 この事業が平行して実施しておりました、桜橋から鞍月用水堰間の1000mの区間と同時に、53年度に竣工しております。そのためこれに引き続き、昭和54年から、中小河川改修事業によりまして、御影大橋から、河口部までの事業を実施することとして事業変更を行ったものでございます。
 鞍月用水堰付近が未改修でありますことは、河川改修は下流から上流にむけて整備するのが原則でございますことから、現在下流の改修を優先して進めているところでございます。
 その後に当該区間の改修を予定しております。
 なお先ほど申し上げた犀川大橋を挟んだ都市中心部の区間を先行しましたのは、まさに金沢の中心部であることから、最優先事業として変更整備したものでございます。

 次にご指摘の鞍月用水堰上流右岸区間の護岸コンクリートにつきましては、昭和30年代後半の築造ということで、老朽化が進んでいるというもののこれまでの洪水でも、堤防機能に特段の支障がなかったものでございます。
 今後、現地の状況を改めて詳細に調査いたしまして、必要であれば、適切な対策を講じていきたいと考えております。

 次に、現在の鞍月用水堰地点での流下能力についてでございますが、ラフな試算ではございますけれでも、堤防天場から1m下がりの水位の場合は、毎秒500立方メートル、仮に堤防天場まで水位がくるとした場合は、毎秒1000立方メートルでございます。
 なおこの計算は諸条件を非常に単純化したものでございまして、条件によりましては、結果は大きく変動いたしますが、その最小値をただいま申し上げました。
 それで、この洪水流量、今回定めます洪水流量毎秒1,230m3/sを流すためには、鞍月用水堰から上流区間の整備をしていく必要があるわけでございますが、この具体策につきましては、河川整備計画の策定作業の中で現況の流下能力の正確な値を明確にした上で、検討していきたいと思っています。

 それで、この検討を河川整備基本方針の中で対応すべきとのご指摘でございますけれども、河川整備基本方針では洪水の基本的な流量でございます基本高水、さらに計画高水流量、および洪水流量の河道部と洪水調節施設への配分に関する非常に基本的な事項について定めるものでございまして、具体的な改修方法を定めるものではございません。

 また、計画高水流量毎秒1230トンを見直すべきではないか、とのご指摘もございましたが、ただいまお答えしましたように、鞍月用水堰上流の区間については、計画高水1,230m3/sを流すことが改修可能とこのように判断しておりますことから、今後河川整備計画策定時にしております。
 その具体的な内容は改めまして、今後河川整備計画策定時に専門家や各界各層の有識者等の意見も聞きながら、その整備方針について検討して参りたいと考えております。

 自然保護、環境保全が重要ではないか、とのご指摘もございました。現在犀川水系河川整備検討委員会の議論は、治水、利水、さらに環境といった三本柱としてそれらの観点から総合的な議論をいただいているところでございます。その中で環境については、十分配慮すべきだということは多くの意見をいただいているところでございまして、当然、事業実施に際しましては、私どもとしては、環境の保全に最大限の配慮をしていくべきだと、このように考えているところでございます。

 計画段階から住民が参加する河川事業評価制度の創設が必要ではないか、とのご指摘もございました。
 先ほど申しましたが、現在検討委員会で、議論を進めているわけですが、これは公開でおこなっているわけですし、また広く傍聴も受け付けております。さらに一般の方からのご意見も受け付けており、必要に応じて説明などもしておるところでございます。こういったことで、県民への説明責任、この河川整備の必要性につきましては、説明責任を果たしていくべきだということには、その遂行に努力しておるところでございます。

 今後はさらに、今までいただきました主なご意見に対しまして、ホームページなども活用しながら、それらに対する検討委員会および県の考え方につきまして、県民に広く説明していきたいと、このように考えてございます。
 なお河川整備基本方針策定後には、改めて河川の具体的な整備計画の策定をするわけですが、その際にも県民のご意見もうけたまわる機会をもうけたいと考えております。

再質問―――
 犀川水系の問題に関してです。先ほど写真を城南1丁目右岸、言っていただきました。この危険性については、実は8月14日の犀川水系河川整備検討委員会第6回の場でも委員長自らが、流下能力1,230m3/sを城南1丁目流下能力でも確保する工事をするんですね、と確認をして進められております。そう言う点に立って、本当に基本計画が出来てからでは遅いんではないか、地域住民の安全を守るという点でもこれが求められているんではないか、そして流下能力が500t/秒だと言われましたが、この調査もしないでそう言われる根拠、そして500t/秒ということになれば、1,230m3/sでも改修をしない限り危険であることは明らかです。基本計画を待ってからではなくて、早急にやるべきではないでしょうか。これを改めて求めたい。

答弁―――
 先ほど、鞍月用水堰上流区間でのコンクリート護岸の剥がれている区間について指摘されましたが、先ほども答弁申し上げましたが、確かにこの区間は老朽化が進んでいることは認識してございます。ただ30年代後半以降、数十年にわたりまして、洪水の防水機能について特段支障はなかったのでございまして、今後この整備については河川整備計画の中で具体案を検討して参りたい、と考えております。以上でございます。