流下能力の話は、簡単な算数なんです
知人への返信メール


2003.9.17 掲載

 犀川を巡って、流下能力という話題であたしい問題が吹き出している。
最近のナギの会のホームページを見た知人から次のようなメールが届いた。
 70代の女性からで、お子さんが外国にいるため、最近パソコンを買って、メールをやっているのだとのこと。
 インターネットでいろんな情報に接して、毎日が楽しくなったそうである。キーボードで文字を打つのは大変で、私宛の数行のメールも1時間かけているのだそうだ。こんな方々からのメールは楽しいし、元気をもらってしまう。

 で、このお方からのメールは次のようなものだった。

>  流下能力の問題、難しいですね? ミセスアバウトとしては
>  とてもついて行けそうもありません。

 これに返信を書いた。紹介する。

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 ○○○さま
 犀川の流下能力のはなしですが……。
 この話は、実に単純。小学生の算数の世界です。
 これに限らず、河川管理って、実は算数の足し算・引き算の世界だと言うことが最近分かりました。

 川って、川幅と勾配で流れる水の量って決まりますね。
 これ、川でなくても経験上、水の流れるところ、何処にでも見ることが
できますね。
 家の前の溝とか、雨樋とか、水撒きの時、水が道ばたを流れていく時の様子だとか……。

 単純に考えればいいんです。
 【水が流れる断面積】×【流れるスピード】=【水量】
 簡単でしょ?

 川で言えば、堤防の高さが上限。これで断面が決まります。
 面積? スピード? 数字は県や、偉い人が計算してくれます(^○^)
 で、犀川の流下能力の話は、次のようになります。

@むかしから、金沢市の中心を流れる犀川は、 615t/秒 の水が流れる川でした。
Aこの場所にある橋や堤防は、これまで問題はありませんでした。
  (堤防を越えて溢れた洪水はほとんどなかったのです。)
B橋なども当時の堤防の上にいくつも架けられています。
Cしかし、辰巳ダムを造るために、洪水の量を倍に決めました。
   (こうしないと、治水を目的にするダムの理由がないからです)
D倍の洪水に合わせて、犀川も倍の水が流れるように河川工事をしました。
   (川底の掘削工事などで 1,230m3/秒 流れます)
Eしかし、ある上流の地域は、河川工事が行われず残されました。
  (未整備区間といい、昔のままです。615t/秒 しか流れません。)
Fこの区間に、昔の堤防の高さで新しい橋ができました。
Gこれじゃ、新しい倍の洪水に対応できません。どうしよう。
H新しい橋があるので、堤防も高くできません。
I橋を高くしたくても、新設したばかりの橋です。どうしようもありません。
Jそれじゃ、川底を掘って流れるようにしようか?
Kしかし、ちょっと下流に大きな農業用水の堰があります。これは壊すことができません。

 とまあ、こんな具合に、あちらを立てればこちらが立たない、という奇妙な話が持ち上がっているんです。
 単純な話でしょ?
 これらすべて、足し算と引き算で理解できる話ですね。

 辰巳ダムを造ろうと考えなかった時代、みんな幸せだったのですが、ダムを造るために、無理矢理、大きな洪水をつくってしまったので、昔からの堤防や農業用水の堰、新設された橋などが新しく想定した「洪水」への備えをしていない。しかし法律では、しなければいけないことになっています。
 犀川の上流から下流まで全部ガタガタ状態なんです。たいへん悩ましい話で、おそらく関係者、眠れぬ夜を過ごしているのではないでしょうか……(^○^)

ではまた。
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