犀川を巡って、流下能力という話題であたしい問題が吹き出している。
最近のナギの会のホームページを見た知人から次のようなメールが届いた。
70代の女性からで、お子さんが外国にいるため、最近パソコンを買って、メールをやっているのだとのこと。
インターネットでいろんな情報に接して、毎日が楽しくなったそうである。キーボードで文字を打つのは大変で、私宛の数行のメールも1時間かけているのだそうだ。こんな方々からのメールは楽しいし、元気をもらってしまう。
で、このお方からのメールは次のようなものだった。
> 流下能力の問題、難しいですね?
ミセスアバウトとしては
> とてもついて行けそうもありません。
これに返信を書いた。紹介する。
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○○○さま
犀川の流下能力のはなしですが……。
この話は、実に単純。小学生の算数の世界です。
これに限らず、河川管理って、実は算数の足し算・引き算の世界だと言うことが最近分かりました。
川って、川幅と勾配で流れる水の量って決まりますね。
これ、川でなくても経験上、水の流れるところ、何処にでも見ることが
できますね。
家の前の溝とか、雨樋とか、水撒きの時、水が道ばたを流れていく時の様子だとか……。
単純に考えればいいんです。
【水が流れる断面積】×【流れるスピード】=【水量】
簡単でしょ?
川で言えば、堤防の高さが上限。これで断面が決まります。
面積? スピード? 数字は県や、偉い人が計算してくれます(^○^)
で、犀川の流下能力の話は、次のようになります。
@むかしから、金沢市の中心を流れる犀川は、
615t/秒 の水が流れる川でした。
Aこの場所にある橋や堤防は、これまで問題はありませんでした。
(堤防を越えて溢れた洪水はほとんどなかったのです。)
B橋なども当時の堤防の上にいくつも架けられています。
Cしかし、辰巳ダムを造るために、洪水の量を倍に決めました。
(こうしないと、治水を目的にするダムの理由がないからです)
D倍の洪水に合わせて、犀川も倍の水が流れるように河川工事をしました。
(川底の掘削工事などで 1,230m3/秒
流れます)
Eしかし、ある上流の地域は、河川工事が行われず残されました。
(未整備区間といい、昔のままです。615t/秒
しか流れません。)
Fこの区間に、昔の堤防の高さで新しい橋ができました。
Gこれじゃ、新しい倍の洪水に対応できません。どうしよう。
H新しい橋があるので、堤防も高くできません。
I橋を高くしたくても、新設したばかりの橋です。どうしようもありません。
Jそれじゃ、川底を掘って流れるようにしようか?
Kしかし、ちょっと下流に大きな農業用水の堰があります。これは壊すことができません。
とまあ、こんな具合に、あちらを立てればこちらが立たない、という奇妙な話が持ち上がっているんです。
単純な話でしょ?
これらすべて、足し算と引き算で理解できる話ですね。
辰巳ダムを造ろうと考えなかった時代、みんな幸せだったのですが、ダムを造るために、無理矢理、大きな洪水をつくってしまったので、昔からの堤防や農業用水の堰、新設された橋などが新しく想定した「洪水」への備えをしていない。しかし法律では、しなければいけないことになっています。
犀川の上流から下流まで全部ガタガタ状態なんです。たいへん悩ましい話で、おそらく関係者、眠れぬ夜を過ごしているのではないでしょうか……(^○^)
ではまた。
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