知事のスケジュール資料が なんと不存在!? |
公人たる知事の24時間のスケジュールは秘書課の担当者によって把握されているはずだ。危機管理上、万全の体制がとられている。そのスケジュールは担当者のパソコンの中に電子情報として存在する。
おかしな秘書課の不存在通知は、情報公開という制度の無知からくるものと思われる。不勉強でも仕事を続けられる。なんとボケた県庁の体質であろうか……。おそらく知事にも、自分のスケジュールについて異議申立が出されていることなども伝えられていないのではないか。おそらくそんな組織だ。
2月22日に異議申立をしたが、改めて県の情報公開条例をもとに検証してみる。
なお、4月28日付けで審査会諮問通知書が届いた。
◆異議申立書(2/22)
◆問題の所在を検証してみよう
◆審査会諮問通知書(4/28)
◆県の理由説明書届く(6/3) その都度廃棄しているから不存在
◆反論書提出しました(6/26)「その都度廃棄」は虚言だ
それから空白が1年。放置されたのか? と思っていたら意見聴取の案内がきた。6月29日(金)に開かれる。
◆審査会からの質問に答える(6/26)
◆そして答申が出された(異議申立から2年 2008年2月15日付)
― 異 議 申 立 書 ―
石川県知事 谷本正憲 様
異議申立人 渡辺 寛
次のとおり異議申立てをする。
1 異議申立人 ( 住所 氏名 年齢 )
2 異議申立に係る処分
平成17年12月22日付公文書不存在決定処分
3 異議申立に係る処分があったことを知った年月日
平成17年12月24日
4 異議申立の趣旨
知事のスケジュール管理は、知事部局担当職員の職務として行われており、電子的情報を含む組織共用文書の不存在は考えられず、非公開を取り消し、公文書としての存在確認と全面公開を求める。
5 異議申立の理由
知事が公務を行うための日程管理は不可欠で、そのために職務として担当職員が配置されているはずであり、その職員が電子的に保管管理している情報は、石川県情報公開条例第2条、第2項の公文書に当たり、不存在であるはずがない。
また、これらの資料が公文書に当たらないならば、その理由を情報公開条もとづき請求人に説明する責任があり、決定通知書にも記載されるべきである。
6 処分庁の教示の有無およびその内容
不存在決定通知に、「不服のある場合は、60日以内に異議申立てができる」趣旨の説明があり、異議申立人も理解している。
7 異議申立ての年月日
平成18(2006)年2月22日以 上
◆検証/解説
(ナギの会通信で配布/必要な方は連絡を)
【経 過】
昨年、石川県が行った辰巳ダム事業説明会(土地収用の前提)に関して、辰巳の会、犀川の河川整備を考える会、ナギの会の3団体共同で、抗議のため秘書課を訪ねました(11月24日)。
応対した秘書課長に、知事の同席あるいは知事の意志確認を求めたところ、課長は「知事は会議中で同席はできない」と説明し、知事が出席している会議名称についても公表を拒否しました。
12月8日、知事のスケジュール管理に関する公文書請求を行なったところ「公文書不存在決定通知」が郵送されてきました(12月22日)。
知事の公務上の行動は、常識的に秘書課において電子的に把握・管理され、担当職員が配置されているはずであり、その情報は石川県情報公開条例による公文書(組織共用文書)にあたり、不存在決定は県条例に照らして違法・不当だとして、異議申立を行ないました(06年2月22日)。
【公文書・組織共用文書の意味】
秘書課は、公文書ではない、と判断したわけですが、石川県作成の「情報公開の手引き」に次のように解説があります。
◎組織共用文書となる例
・決済又は供覧の手続が終了した文書
・決済又は供覧の途中の文書
・課長等を含む内部検討に付されたヒヤリング資料等
・庁議、次長会議、部課長会議に提出された資料等
・複数課にまたがる会議、審議会、懇話会、対外的な会議等の資料
・台帳、帳簿、業務日誌、事務マニュアル等組織的に利用する文書
◎組織共用文書に該当しない例
・個人のメモや取り寄せた参考資料
・個人的な検討段階にあるもの、例えば起案の下書きや資料作成段階のもの
・自己の執務の便宜のために保有する正式文書の写し
◎電磁的記録の取扱い
電磁的記録についても、文書と同様、この条例の対象となる。
ただし、文書等作成のため補助的、手段的に作成した電磁的記録は、起案の下書きと同様に、除外するものとする。
【検討すると――】
県秘書課の説明によれば、県知事のスケジュールについては、担当の職員がパソコンで処理しているが、条例上の公文書にあたらない、という。
「情報公開の手引き」によって確認してみると、該当するのは「起案の下書きだ」ということにつきます。
となると、起案の後に作られた「正式な文書」は何か?
おそらく、記者室に配られる「明日の知事の日程」あるいは、ホームページに掲載される「知事の日程」ということになります。
これが正式な公文書で、残されたデータはその原稿(残骸?)ってことで、不要なデータとしてパソコンの中に残っている、という扱いになります。だから公文書ではない、と県は主張する。
正式な文書(公開された日程)が知事の全ての行動が記載されていれば、県の主張もそれなりに理解は可能。しかし、公開されている知事の日程は、知事の行動のごく一部。イベントへの参加や訪問者との会見などです。全ての行動は担当者のパソコンの中にしかありません。
《参考/県のホームページ・知事の動き》
知事の「将来の日程」なら、不確定なので公文書にはならないかもしれないが、公開請求の内容は、昨年4月1日から12月8日までのもので、行動が確定したもの。事件や事故があったとき、知事の公務としてのアリバイの証明にも必要です。どう考えても、電磁的記録としての組織共用文書であることは明らかです。
さて、審査会はどういう判断を下すのか? 全国的にもみても特異なケースであり、情報公開問題を扱う団体からも注目されています。
【関連した問題】
石川県では、書類の受付と受理が渾然一体となっている。「異議申立の受理」のことですが、おかしいことがあります。
異議申立書を提出しても、職員が「はい、受け取りました」と、奥に持って行くだけ。受け取ったというハンコを押したコピーもくれない。パリの夕暮れと違うぞ!
「コピーをくれ」と言ったところ、「そういう手続がないから出せない」という。「この書類が審議会にかかる前に何かの事故で消えたとき、出したという証明がなくなるではないか?」
とやりとり。
職員さん、「じゃこれでどうですか?」と、受付のハンコを書類の下に押した。
そのコピーをくれるかと思ったが、「見て下さい。押しました」と、そのまま奥へ。これ、どう考えてもどこかおかしい。
大阪府などは、異議申立書の受付と受理を分けて手続が決められている。受付のコピーを申請者に渡すのが当たり前。「渡してはならない」ということが決められているなら仕方ないが、常識的な対応ができないものか? と憤慨する。こうした一つひとつが行政への不信に繋がっていることを職員は知るべきだろう。
秘第94号
渡 辺 寛 様
平成19年4月28日
石川県知事 谷 本 正 憲 (印)
平成17年12月22日付けの公文書不存在決定に対する異議申立てについて、次のとおり石川県情報公開審査会に諮問したので、石川県情報公開条例第20条の規定により通知します。
公文書の内容
平成17年度 4月1日〜12月8日までの知人スケジュール管理のための資料(組織共用文書を含む)
異議申立ての内容
知事のスケジュール管理は、知事部局担当職員の職務として行われており、電子的情報を含む組織共用文書の不存在は考えられず、非公開を取り消し、公文書としての存在確認と全面公開を求める。
諮問をした日
平成18年4月28日
担当課
総務部秘書課(電話番号 076−225−1221)
◆審査会から県の理由説明書届く(6/3)
◆反論書提出しました(6/26)
◆「決定は妥当」という不思議な答申が出された(2008.2.15)
◆答申に基づいた新たな決定が行われるはず