情報公開審査会からの質問に答える

掲載更新 2007.6/26

来る6月29日、審査会から意見聴取がある。
通知に2点の質問があった。とりあえず送付した。


―― 情報公開審査会からの質問に答える ――
  2007.6.22  異議申立人 渡辺 寛

情報公開審査会からの質問は次の2点である。

1 異議申立人は、知事の日程について、特定の業務に特化したコンピュータソフトによって管理され、電 子データの段階で、関係職員がそれぞれの職務権限に基づき、日程調整するものと考えていますか。

2 意見書において、石川県文書管理規程第45条3項の「電子的記録は、その効率的な利用に資するため 必要なときに直ちに取り出せるようにしておかなければならない」との規定を引用し、「手帳」が個人的備 忘録でないとする異議申立人の主張を裏付けるものであるとしています。
 このように考える理由を説明して下さい。

1 について
 この質問は、今回の異議申立についてあまり関係がない。
「特定の業務に特化したコンピュータソフト」を担当者がどのように使っているかは、私に聞くより担当者に聞けば一目瞭然あって、説明責任は県にある。
 ただ、常識的に考えると、知事の日常は超多忙を極め、そのスケジュール調整役の担当者の仕事は激務だと言われるから、日程の調整・確定にパソコンを使用しないはずはないということで「手帳」もその一部であろうと言いたいだけである。

 パソコンを使用することが不可欠な状況は 先に「県の意見に対する反論書」で紹介した高知県特別秘書の証言でも分かる。次のようにある。
………………………以下引用………………………
「日程担当の秘書は、朝から晩まで電話がひっきりなしにかかるなか、知事の日程を調整し、知事あいさつの段取りなどの打ち合わせをする激務だ。」
「一ヶ月が30日、一週間が7日、一日が24時間という、だれにも平等な時間を切り分けしながら、高知県に一人しかいない知事の日程を決めていくのは、思いの外に神経を使うことだ。」
(なお、この高知県特別秘書の資料はインターネットのリンクが切れているため後掲する。【参考】)
………………………引用終り………………………

 こうした激務をこなし、日程を調整し確定する上で欠かせないのがパソコンの存在であろう。パソコンが一般職員全てに配備、普及している現在、日程の調整にパソコンを使用しないはずがない。
 各部署から届く第一次情報を記録(メモ)するのは「手帳」であろうが、その姿はポケットの入る手帳とは似ても似つかぬものであろう。手帳の実態はパソコンの中にあるものと思われる。
 質問にある「知事の日程について、特定の業務に特化したコンピュータソフト」については、私だったら某社のソフトを使うだろうという程度のものである。

2 について
「手帳」が「個人のメモや取り寄せた参考資料/個人的な検討段階にあるもの、例えば起案の下書きや資料作成段階のもの」(「情報公開の手引き」)ならば非公開はあり得るが、この手帳が条例上の「行政情報」に当たるとするためには、
@担当職員が職務上作成したものであるかどうか
A秘書課組織的に用いるものであるかどうか
B秘書課が組織的に保有しているものであるかどうか
 の3点についての吟味される必要があろう。
 この際、電子的なものか紙に書かれたものかの区別は必要がない。日程調整作業のため、手帳からコピーされた電磁的記録も手帳の一部と考えられる。この3点のうち、@は当然のことで、AとBが問題となろう。 手帳が「組織共用文書」といえるかどうかは、秘書課で組織的に用いられる状態にあるかどうかである。

 担当職員が職務上行うメモであっても、メモする行為そのものが担当職員の職務そのもので、またその後行われる調整作業は、担当者個人が独断で行うことはあり得ず、知事や課長あるいは他の部署の職員の意思を含む複数の職員が係ることになろう。これはこの手帳がAの「組織的に用いる」そのものであることを示している。

 次に、Bの組織的に保有しているかどうかについて考えてみる。
 通常、定められた規則や職務慣行等により管理され、担当職員の手元から離れた状態にあれば「当該実施機関が保有しているもの」に当たるものと解されるが、これに対し「手帳」が、担当者が個人的に使用している机やロッカー等に保管し、他の職員が自由にこれを見ることができない状態であるならば組織的保有とは言えず、情報公開の対象にならないのは当然であろう。
 しかし、ことは知事の行動・日程という高度な情報である。この中にはテロ対策など危機管理に関係する情報も当然含まれるし、高度な機密情報もあるかもしれない。こうした記録が担当者個人の個人メモであるはずがない。
 また、日程の確定したデータがどこに保存されているかも組織的保有の判断に必要である。
 情報の重要性から考えても担当者だけが使用するパソコンの中だけにあるとは考えられない。この情報は、県が管理しているサーバーにコピーされ保存されているはずである。保存にはパスワードが必要であるかもしれない。
 紙に打ち出された毎月、毎週、毎日の日程表は廃棄されても、確定した元情報はサーバーに保管され、知事の日程確認が必要なとき直ちに出力されるはずである。
「手帳」はこうした膨大な日程管理システムの小さな一部に過ぎないと考えるのが常識というものである。

【参考】――――――――――――――
高知県 特別職知事秘書のページ

ようこそ特別職知事秘書のページへ 特別職知事秘書 川竹大輔
http://www.pref.kochi.jp/~hisho/kawatake/
知事の日程あれこれ(平成16年5月19日)
http://www.pref.kochi.jp/~hisho/kawatake/iitai-16-5-19.html
 今回は、日々の動きのなかで調整している知事日程のことを述べてみたい。毎日が多忙な橋本知事の日程は、高知新聞朝刊の動静で見ていただけるほか、県庁ホームページでは、「知事の動き」(http: //www.pref.kochi.jp/~hisho/chiji/ugoki/ugoki.html)として紹介をしている。

 そのため、秘書課では、個人情報保護との関連で、知事への来訪客をどう表現すればいいのか、どの肩書きで公表しようかの議論がある。たとえば、僕が同席した5月18日午後5時に知事を訪ねた方は、職業は公務員なのだけれども、その立場でおいでたというよりも一人の市民として活動されている方だし、30分間にわたる橋本知事への用件も複数あって、どれに絞るということも難しい。
 ということで、結果的に県庁ホームページには「高知市の方との懇談」、高知新聞では「特別職政策秘書ほか」と書かれることになった。もともと、知事室のインターネットカメラ中継を継続しているので、透明性の確保を十分にはかっているのだが、文字にするときには別の悩みもあるということだ。

 また、知事日程を現在は事後公表の形にしているが、一時は事前にお知らせをホームページ上に出すこともしていた。実際、毎週金曜日には県庁の記者クラブ向けに公表する週間日程表があるので、技術的にむつかしいわけではないが、大音量の街頭宣伝車が知事の行動をホームページ上でチェックして動く気配があって、知事が出向く行き先のみなさんにご迷惑をかけてもいけないという理由で、警察とも相談して公表を控えるようにした。

 特別職知事秘書として、知事に会いたいという要望を秘書課や知事に伝え、会える日時を連絡する仕事はしているが、基本的に知事日程は一般職の秘書課山本チーフが担当し、一元的に管理している。
 日程担当の秘書は、朝から晩まで電話がひっきりなしにかかるなか、知事の日程を調整し、知事あいさつの段取りなどの打ち合わせをする激務だ。そのうえ、知事に面会を求める要望の全てに応じていては仕事にならないので、お断りの連絡を入れることばかりで、つらい役回りをしないといけないことも多い。

 ただ、今年4月の知事日程は、予算編成、議会対応、人事といった業務が集中した年度末が明けたところで、余裕が生まれる日が多かった。県庁の各課室には人事異動があったばかりなので、そんなに知事まであがってくる案件もないといった日々が続いた。
 この間に「だいちゃんぜよ」という知事の瞬間更新ホームページが新しく立ち上がって、次々と更新されていた背景には、じっくり取り組む時間があったこともあるだろう。

 そんな時期には、ちょうど秘書課そのものが4月の人事異動で課長補佐、調整(日程)担当チーフ、主幹(随行)秘書と、新しく秘書課にやってきたばかりだということで、僕が各部局から聞いていた話をもとに、特定の課題で知事室においでませんかとすすめることもある。また、秘書課の大原課長ともども、4年目の秘書務めなので、過去の経過などを秘書課のなかで伝えることが多くなっているとも感じる。

 たとえば、連休が明けた5月12日には、比較的余裕がある日程になっていたので、知事との協議が必要な課題がありそうな部署、年度をまたがる宿題を抱えている担当に声をかけて、知事室に来てもらうよう働きかけてみた。
 政策推進担当理事・政策推進課は6月からの政策協議の内容で打ち合わせ、高校教育改革課は地域再生に大方商業の活用をうたった内容が提出されるという報告、健康福祉部副部長は高齢者福祉施設についての協議といったテーマで、それぞれに知事と話し合いをしてもらう。
 知事室での協議をふまえて、政策協議の進め方は17日の庁議の議題に、地域再生は14日に国へ提出、高齢者福祉施設のことでは施設側に県の考え方を説明という流れになった。これからも、少しでも職員と知事の間で風通しのよくなるような日程調整の手伝いができればと考えている。

 一方で、知事の日程でいえば、県民のみなさんとの直接対話、あるいは県の考え方の説明といった時間を確保することが非常に重要だ。
 県民の声を広く聞き、的確な対応ができる橋本知事だからこそ、5月15日土曜日午後に土佐町におじゃましたような、地域の元気応援団で派遣された県職員や市町村と連携した、地域での意見交換会の日程は優先的に入れていくようにしたい。
 県内の各地で地域を元気にするみなさんと意見交換をするとともに、観光や教育の関係者、特定の課題などで、知事が外に出る場面が、高知県のために必要だと思う。そこで、地域と県庁をつないでいく仕事の手伝いができればと望んでいる。

 とはいえ、さきほど述べた4月の年度当初に比べ、明らかに知事の毎日が忙しくなっているので、知事の腰痛に配慮しながら、できれば週に一度は休日を取るようにしたいのも秘書課の本音だ。以前に特定の日には面会の約束を受け付けない試みをしてみたが、長くは続かなかったとも聞く。
 一ヶ月が30日、一週間が7日、一日が24時間という、だれにも平等な時間を切り分けしながら、高知県に一人しかいない知事の日程を決めていくのは、思いの外に神経を使うことだ。
 毎日の知事動静には結構、愛読者がいると聞くので、その日程の背景にはこんな話もあるのだと知っていただければ、たいへんありがたい。
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