反論書/「非公開」は中立性を損なう

掲載 2006.8.23

110万県民の感覚と乖離した景観大賞なる顕彰制度の廃止を

…… 市民の声 ……
金沢市民として恥ずかしい。ただちに削除してください。
 シティゲート 血税で出来てると思うと腹が立ちますね。




県の非公開の理由説明書に以下の反論書を提出した(8/22)。


情報公開審査会 御中
                       2006年8月22日  
                       異議申立人 渡辺寛  

県の理由説明書に対して意見を述べる。

1 委員の氏名非公開について
 県は、情報公開条例による理由を、
(1) 審議、検討又は協議の際の自由な意見交換や公正な意思決定が妨げられる。
(2) 意思決定の中立性が損なわれるおそれがある。
(3) 未成熟な情報が、確定した情報と誤解され県民の間に混乱を生じさせる。
(4) 特定の者に不当に利益や不利益をもたらすおそれがある。
 とし、本件非公開のケースでは、
@ 景観審議会の審議結果を記録したもの。
A 審議会は「いしかわ景観大賞」の審査選考を行っている。
B 選考過程における各委員の発言内容に係る議事録を含んでいる。
C これが公にされることにより、今後同様な選考で率直な意見の交換、意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある。
 と説明している。
 条例における非公開というのは、公開原則に対する「例外規定」と理解されるから、非公開についての説明には一般論ではなく個々具体的な根拠が必要である。つまり上記Cが条例に沿って妥当かどうかの説明が必要である。
 県の説明には、Cについて具体的な理由がまったく示されていない。なぜ氏名の公表が率直な意見の交換を妨げるのか、なぜ中立性が不当に損なわれるのか、具体的説明が必要である。
 委員は、その専門性、見識、社会常識を判断され選ばれていると思われる。個々の委員は諮問された内容に対して意見を述べることが「職務」であり、その意見は氏名の公開、非公開で左右されることはあり得ない。逆に公開か否かによって自己の意見を左右させる委員は、元々その適格性に欠けている。
 また、委員への委嘱状や条例には、審議の公開・非公開について条件を付していない。常識的に委員には、自己の発言は公文書として記録保存され、後日公開されることも十分認識されているはずである。
 よって、今回の委員名を非公開とする理由はまったくなく、逆に非公開とすることの方が将来同様な審査について中立性を損なうものである。
 なお、今回大賞に選ばれた「金沢駅前広場もてなしドーム・鼓門」を金沢市において事業推進した当事者ともいえる方々(水野一郎、小松暁一、山岸政雄の各氏)が、選考に加わっている。この3名は金沢駅東広場および金沢駅通り線整備懇話会と広場専門委員会の重要な主導的立場におられたから、選考審議が公平に行われたかの確認のためにも、委員名が特定される必要がある。

2 事業活動情報と不利益について
 県は、多くの非公開処分について、条例の条例上の理由を、
@事業活動情報である。
A事業者の事業活動その他の正当な利益を尊重し、保護するため、事業活動に関する情報である。
B公開することにより、事業者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのある情報である。
 としている。これは一般論として妥当だと思われるが、今回の非公開処分あたってこの部分を曲解・誤解している。個々に事業者の不利益を説明すべきである。つまり、
@応募が事業活動かどうか。
A評価が、応募者の社会的信用、評価を低下させるおそれがあるかどうか。
 について、根拠が示されていない。
 社会常識的には、応募した事業者にとって、その意図は様々である。応募者に公表の意思確認もせず「正当な利益を害する」と決めつけているのは、県の独断と偏見である。
 こうした非公開の措置は、この顕彰制度を発足させた目的=「顕彰を行うことにより、県内地域特性に応じた魅力ある景観づくりに対する県民の関心や意識の喚起・高揚を図る」=にも反している。「正当な利益を害するおそれ」とは逆に、応募者を選別・差別し、特定事業者へ利益供与効果を果たしているだけである。

3 顕彰制度の市民・県民との意識乖離(かいり)について
 今回大賞を受賞した「金沢駅東広場(もてなしドーム・鼓門)」は、完成以来県民から賛否両論で、大勢は批判的である。金沢市議会でも当初賛成した議員からも「あの門は何やいね」と批判的に取り上げているし、インターネット上でも辛辣な批判がたくさん登場している。(市議会の資料とインターネット上の資料は後掲)
 請求者はこの「駅前の姿」を、金沢市の都市としての品格を下げ、将来にわたって観光や産業へ計り知れない損害を与えるであろうと考えており、県の今回の大賞決定は大きな間違いであると思っている。
 また、前述したように選考委員に「金沢駅東広場(もてなしドーム・鼓門)」を中心的に推進した方々が複数参加されている。社会常識的にこれらの人は審査する資格はないはずである。そうした点について審議会自らの自制的議論はなく、審議のそのものが不公平であることを証明している。
 公共事業への市民、県民からの批判が多い中、この景観大賞選考過程の不透明に対する市民、県民からの疑問、批判に答え、正当な選考であったと県自らが説明するために、基礎的な資料の公開は不可欠である。

4 顕彰制度の廃止を
 補足ながら、県の景観大賞審査過程を見ると、「県内地域特性に応じた魅力ある景観づくり」へ向けた県の思惑は、市民県民の感情と乖離し、担当部局の事務的習慣的施策となっているように思われる。当初のアンケートへの回答数をみても、110万県民の意思を反映してはおらず、今後の応募方法、審査方法の改善だけでは目的に添ったものになるとは思えず、制度疲労をともなった遺物でしかない。廃止の方向へ進んでいただきたい。


【資料】インターネット上での意見(2005.4.19収録)
◆金沢駅東口が、とんでもないことに
 「シティーゲート」というらしいが、現在ガラスドームのエントランスを整備しているところに、でっかい木の柱が・・・そんな建築、ないだろう。日本一、恥ずかしい駅になるぞ、これ! なんとかならんか(もう遅い)
◆いやあ、ガラスドームの門は評判すこぶる悪しです。
 ご婦人にはけちょんけちょんにけなされています。近づいて見て一言「なんじゃこりゃ、張り合わせか」です。
 JR金沢駅は東西とも評判の悪い建物をかかえることになりました。東の門は嫌でも目につきます。金沢駅でタクシーに乗って最初にする話題が門のかっこ悪さになってます。
◆金沢市民としてどうですか!
 恥ずかしくないですか!恥ずかしいですよね!
◆どうって…
 金沢市民として恥ずかしい。ただちに削除してください。
 シティゲート 血税で出来てると思うと腹が立ちますね。
◆東京都民
 高島平団地発の深夜バスに乗りまだ夜明け前の金沢駅に到着。駅前は大工事中で鼓をイメージした巨大シティゲートが姿を現し始めておりました。はっきり言って京都駅以上の衝撃です。以前ここに来たことのある夫は呆然としています。税金の使い方、間違ってるんじゃないのぉ?
◆なんか完成予想図見るといろんな物に見えてくる・・・
 私は「パンティードーム」っと・・・
◆金沢出身だけど、シティーゲートってなんだ?
 山出は気が狂ってるのか? 記事の中にもあったけど、批判記事は朝日にしか書かけないな。キタは、どうせシティーゲートマンセー、事業に絡めて、税金をむさぼるだけだろう。
◆みんなおかしいと思っていても口に出さない
 そりゃそうでしょう。
◆それよりも 某ブリーフドームの方が気になる。
◆確かに、ブリーフだ。トランクスではないな。


【資料】金沢市議会での質疑(土木建設常任委員会記録/平成16年11月2日)
◆関戸正彦委員質問
 駅東広場の各施設の名称について説明されたが、この名称については市民からいろんな意見を聞いている。この点、部長はどのように判断しているのか。完成して間近だが、市民のニーズなり、観光客のいろんな感想をどのようにとらえているのか、伺いたい。私は、ドームはまあまあだと思っているが、どうもいろんな人の意見は、鼓がマッチしていないという意見が多分にあったと思う。
◆中西利雄委員質問
 今ほどシティゲートの話があったが、ただ単に名前を変えればいいというものではない。金沢らしさを醸し出すために「鼓門」としたと思うが、実際問題あれを見て、何とも変なものだというのが正直な市民の声だ。先般も、私のところへ県外の方が来られて、「中西さん、あれは何ですか」と質問されたが、残念ながら私は答えることができなかった。シティドーム、ガラスドームは大変すばらしい形になっているが、「あの門は何やいね」という率直な意見が市民の間にはある。


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