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金沢市長に公開質問
2001_4_3

・平成3年以前の公文書が公開対象にならないのはなぜか
・情報公開窓口を利用しやすく改善できないか?


市の情報公開条例では、条例制定以前の公文書は公開されない。
条例の本旨は、行政が保管している公文書すべてが公開の対象にすべきだと思うのだが、
こうした問題を市長はどう考えるか、制度の改善のために質問した。

もう一点。金沢市の情報公開公開窓口は実に不便で利用しづらい。
利用したことのある人なら、誰でも感じる。
情報公開という看板も分からない。担当者が一人というのも異常である。

    市長から回答 | 金沢市情報公開条例 | 金沢市職員服務条例「悪魔の呪文」へ

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金沢市長 山 出 保 様            2001年(平成13年)4月3日

                       ナギの会
                          代 表 渡 辺  寛

     金沢市の情報公開業務についての質問および要請

 私どもは、ナギの会の活動の一環として、これまで、行政の公文書を入手し、様々な角度から環境
保全、自然回復問題に取り組んできました。
 このたび、いくつかの公文書請求をおこなったところ、情報公開条例の趣旨を逸脱したような処分
をうけ、異議の申し立てをしたところですが、本来、行政組織をあずかる貴職の責任において簡単に
改善されてしかるべきものです。
 以下、いくつかの点について、質問および要請をいたしますので、善処いただきたいと思います。

                     記

その1 条例施行以前の公文書はなぜ対象外情報なのか?
 情報公開条例施行は10年前の平成3年3月26日です。窓口で「この条例は平成3年に施行され
たため、以前の文書は対象外となる。条例はインターネットで入手できる」との説明をうけたが、こ
の説明のように、条例施行前のものを条例の対象外文書とする理由はは何か、ご説明をお願いします。
 窓口の説明で私が理解したのは、「法は遡及しない」という条例の解釈でした。
 後日、条例全文を入手し検討してみたものの、窓口からの説明に該当する条文はなく、条例を適切
に運用していないのではないかとの疑問が氷解しないのです。
 この「法は遡及しない」というのは、一般に個人、法人の権利にかかわる者に対して遡及を禁ずる
ものと理解されます。
 しかし、条例の趣旨は、「市民の市政への参加を推進するとともに、市政に対する市民の理解と信
頼を増進すること」(条例第一条)を目的に、行政の持つ公文書を市民の請求に対して公開する行政
の義務を定めている。よって「法は遡及しない」との説明は、法や条例の初歩 を理解していないも
のです。
 早急に、窓口での対応を調査いただき、条例の運用改善に取り組んでいただきたい。

その2 情報公開窓口の改善について
 現在市政参画課において情報公開業務がおこなわれていますが、この窓口は、私ども市民にとって、
極めて利用しづらく、大胆な窓口改善が必要と思います。
 まず、その窓口の場所がわからない。条例の趣旨に沿えば、本来こうした場所は誰でも気軽に寄れ
る場所が適当です。1階のしかるべき位置に移動開設についての考えはないか?
 また、スペースの問題があります。
 現在、相談する場合、市政参画課の職員が多数仕事をする横を通って、奥の小さな仕切の中へ通さ
れますが、ここはまるで「取り調べ室」のようです。資料も積み上げられ、とても市政情報を公開し、
相談する場所とは考えられません。
 今年度から、国の情報公開法が施行され、また市民からも情報・公文書入手の要請が増えてくるも
のと思われますが、こうした社会の流れを先進的にとりあげ、一刻も早く改善に取り組んでいただき
たい。
 「外にやさしく、内に厳しい」と評されている貴職であります。「内に厳しい姿」をお示しいただ
き、市民の付託に答えるため、早急に、窓口業務を一般市民の感情や意識を尊重する立場で調査、改
善をお願いしたい。
                                    以 上
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雑 感
以下は、当時考えていた市の情報公開条例についての感想など、あれこれ。

金沢市の条例を見ると、平成3年以前のものは対象外としている。これ以前の資料を遡及して公開さ
れない理由がいまいち分からない。

市民から行政権を付託され、法や条例の執行者である貴職の責任は重大だと思われる。
非公開のケースを整理すると、まず請求人の資格。第5条で、金沢市以外の人や利害関係者以外の人
はダメ。

第6条で、対象外文書を指定している。
 (1)法令で非公開のもの
 (2)個人情報
 (3)法人ほか団体の情報でワケありの場合。不利益になるなど。
 (4)市政執行情報(いろいろ)

ごちゃごちゃ書いてあるが、理解できる。
遡及文書に該当することは一切ない。

それに、第10条《行政情報の任意的な公開》のこと。
請求者から「この条例の適用を受けない行政情報について公開の申し出があったときは、
これに応ずるよう努めるものとする。」とある。

「条例の適用を受けない行政情報」というのが何か。遡及文書のことではありませんね。
第2条の定義で明確ですが、遡及文書でも行政情報です。
市の解釈でいくと、平成3年3月26日以後の文書が行政情報で、以前の文書は、行政情
報でなくなる。

これまでたくさんの人が請求しているはずなのに、疑問を感じた人がいなかった。
ああ、金沢的だ……。
おとなしいというか、牧歌的というか、権利者としての自覚がないというか……。
涙チョチョギレである。
日頃より、おとなしい金沢人(私)としては、こんな初歩的な事でエネルギーを使いたく
ないのである。

――とまあ、こんなことを考えていたのであるが、その後、条例をしっかり読んでみると、
最後に経過措置として「附則」がついていて、この条例の対象公文書は、条例施行の平成
3年以後のものとなっていることが分かったのである。
経過措置であるからには、10年もたった現在、過去の永年保存文書などは、準備万端整
っているはずで、条例の「附則条項」を改正すべきだったのである。

何人もの市会議員にこの問題を提起したが、それぞれ市の情報公開窓口の担当者に聞いた
そうだ。
担当者は、「過去の文書は、情報提供されます」と説明したそうだ。
情報提供は、行政からのサービスである。黒塗りなどの文書が出てきても、請求者には異
議申立など救済措置がない。情報公開と情報提供とは全く意味が違うのである。
金沢市には、現に二つの請求書がある。「行政情報公開請求書」と「行政情報任意公開請
求書」である。

2001年4月1日、改正条例が施行されたが……
条例の「改正」は、施行から10年たった平成13(2001)年4月に行われ、前文に知る権
利や、対象文書を、組織供用文書あるいは電子情報にも広げられたのだが、肝心の附則条
項はそのまま
である。
誰もこうしたことに気づく者がいなかったのだ。

条例改正時の議会議事録をみると、満場一致の賛成で成立している。
与野党を問わず、議員の皆さんにとって、情報公開制度を使わないでも資料が出てくるか
ら、「非公開条項」には気がつかないのだ。
なんともはや……。と嘆いてしまうのである。
この附則を私は、「悪魔の呪文」と呼んでいる。
これについて書いたものがある。
ちょうど金沢大学経済学部のニューズレターが、情報公開問題を特集するとのことで、
「利用者の立場」での原稿依頼があった。
石川県がこの問題をどう扱っているかも調べ、比較してあるので、参考にしていただきた
い。
全国各地の情報公開条例をかなり収集した。比較検討はまだしていないが、石川県の措置
は、かなり進んでいると思う。県の関係者にはエールを送っておこう。


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