「河川整備は下流から上流に向かって行うのが原則」 これは、県の公式見解である。
議会議事録から抜粋(2003年9月議会)。
城南一丁目付近が危険であるにもかかわらず放置されてきた問題に土木部長が述べたもの。(後半の答弁、赤色部分)
質問者:尾西洋子(共)
答弁者:福本俊明土木部長
平成15年9月第4回定例会−10月01日
◆質問者 尾西洋子(共)
次に第三番目に、犀川水系整備計画について市民団体からの指摘なども踏まえて質問いたします。
犀川水系の河川整備事業ですが、昭和四十七年度の犀川河川改修事業全体計画では、出雲地内から大桑新町間七キロメートルを全体計画とし、うち国道八号線を
通る犀川大橋上流を第一期計画として昭和五十五年度までに整備する予定でした。そこで、知事並びに関係部長にお伺いいたします。
一つは、犀川改
良工事の全体計画について、昭和五十四年六月二十八日付で国の認可を得て事業を変更いたしております。第一期計画がいつ終了したのか、なぜ鞍月用水堰から
上流の計画を変更し三十年以上も放置してきたのか。近年の風水害の記録からしても、この放置状態は妥当なものなのでしょうか。
済いません、パネルちょっとお願いします(資料提示)。
パネルをごらんください。城南一丁目の右岸の写真であります。ここであふれた洪水が中心地、市街地に被害をもたらす危険性は低いとは言えません。九八年、
台風七号のとき、住民の方もあと二、三十センチで堤防を越えそうになったと当時の恐怖を語っておられます。放置の理由を明らかにしてください。
また、この区間はごらんのように護岸のコンクリートがはがれて決壊の危険すら心配されております。整備計画の基本方針、整備計画策定以前にも改修工事を必要とする区間ではないでしょうか。あわせて答弁を求めます。
二つ目に、「現況の流下能力や堤内地の開発状況、前後の区間を合わせた河床勾配などを大づかみにでもわからなければ、「河川計画の中で検討を行う」で済ま
すわけにはいきません」という市民団体からの指摘を重く受けとめる必要があると思います。第六回犀川水系河川整備計画検討委員会で委員長も、「流下能力一
千二百三十トンについて、鞍月用水上流部で市民からの心配がある」と県に考えを求めました。異例の発言です。鞍月用水堰地点の流下能力はおよそ六百トンと
の意見もありますが、この地点の流下能力はどれだけなのでしょうか。お答えください。
鞍月用水堰から大桑橋付近までは、計画高水を毎秒一千二百
三十トンとした基本方針に基づく整備計画で対応できるとの判断を示されましたが、その根拠は何でしょうか。市民団体の方は、「遠い将来の問題ではなく、流
下能力も把握しないまま河川整備方針を決めては河川整備計画の段階に解決不能な問題を残す」とコメントもしておられます。その根拠について答弁を求めま
す。
三つ目に、この区間は危険重要度から同じ河川課でつくった水防計画でBからAに引き上げられました。四年間、依然として放置されておりま
す。この区間の計画を基本高水一千七百五十トン、計画高水一千二百三十トンとのことからそもそも無理が生じているのではないでしょうか。命、財産、住民の
安全を守る立場から明快な答弁を求めます。
次に、犀川水系の自然環境、河川環境の保全についてです。犀川水系は自然環境、河川環境、文化的遺
産、史跡で全国からも注目されるような状況です。動植物の生態系を初め文化遺産など貴重なそういう遺産はしっかりと守る、そういう立場に立つべきではない
でしょうか。そのためにも乱開発の抑制と環境アセスメントの徹底した実施や、環境の保全と自然の機能を優先させた河川行政へ切りかえが必要です。こうした
河川行政こそ世界の全国の流れではないでしょうか。
また、事業や官庁から独立した河川事業審議会の設置など、河川行政を計画段階から住民参加でチェックできるような河川事業評価制度の創設を提案するものです。
◎答弁 土木部長(福本俊明君)
河川整備計画と東部環状道路についてお答え申し上げます。
まず、犀川の治水事業の経緯また変更の理由ということでございますが、昭和四十七年に中小河川改修事業第一期を着手しております。これは御影大橋から桜橋
の一千九百メーターで、これはまさに金沢の都心部の最も急がれる地区を先行的に整備したものでございます。この事業が、並行して実施をしておりました桜橋
から鞍月用水堰間の千メーターの区間と同時に五十三年度に竣工しております。このため、これに引き続き昭和五十四年から中小河川改修事業等によりまして御
影大橋から河口部までの事業を実施することとして事業変更を行ったものでございます。
鞍月用水堰付近が未改修でありますのは、河川改修は下流から上流に向けて整備するのが原則であることから、現在、下流部の改修を優先して進めているところでございます。その後に当該区間の改修を予定しております。
なお、先ほど申し上げた犀川大橋を挟んだ都市中心部の区間を先行いたしましたのは、まさに金沢の中心部であることから最優先事業として先行整備したものでございます。
次に、御指摘の鞍月用水堰上流右岸区間の護岸コンクリートにつきましては、昭和三十年代後半の築造ということで老朽化が進んでいるものの、これまでの洪水
でも堤防機能に特段の支障はなかったものでございます。今後、現地の状況を詳細に改めて調査いたしまして、必要であれば適切な対策を講じていきたいと考え
ております。
次に、現在の鞍月用水堰地点での流下能力についてでございますが、ラフな試算ではございますけれども堤防天端から一メーター下がり
の水位の場合は毎秒五百立方メートル。仮に堤防天端まで水位が来るとした場合は毎秒一千立方メートルでございます。なお、この計算は諸条件を非常に単純化
した結果でございまして、条件によりましては結果は大きく変動いたしますが、その最小値をただいま申し上げました。
それで、今回定めます高水流
量毎秒千二百三十立方メートルを流すためには、鞍月用水堰から上流区間の整備をしていく必要があるわけでございますが、この具体策につきましては、河川整
備計画の策定作業の中で現況の流下能力の正確な値も明らかにした上で検討したいと考えております。
それで、この検討を河川整備基本方針の段階で
対応すべきとの御指摘でございますけれども、河川整備基本方針では高水の基本的な流量でございます基本高水、さらに計画高水流量及び高水流量の河道部と洪
水調節施設への配分などに関する非常に基本的な事項について定めるものでございまして、具体的な改修方法を定めるものではございません。
それか
らまた、計画高水流量毎秒一千二百三十立方メートルを見直すべきではないかという御指摘もございましたが、ただいまお答えいたしましたように鞍月用水堰上
流の区間については計画高水毎秒千二百三十トンを流すことが改修可能と、このように判断しておりますことから、今後、河川整備計画策定時にしておるところ
でございます。その具体的な内容は改めまして今後、河川整備計画策定時に専門家や各界各層の有識者等の意見も聞きながら、その整備方針について検討してま
いりたいと考えております。
次に、自然保護、環境保全が重要ではないかという御指摘もございました。現在、犀川水系河川整備基本方針の犀川水系
河川整備検討委員会の議論は、治水及び利水、さらに環境といった三本柱として、それらの観点から総合的な議論をいただいておるところでございます。その中
で、環境については十分配慮すべきということは多くの御意見をいただいておるところでございまして、当然、事業実施に際しましては、私どもとしては環境の
保全に最大限の配慮をしていくべきだと、このように考えておるところでございます。
それから、計画段階から住民が参加する河川事業評価制度の創設が必要ではないかという御指摘もございました。先ほど申しましたが、現在、検討委員会で議論を進めておるわけですが、これは公開で行っておりますし、ま
た広く広聴も受け付けております。さらに、広く一般の方からの御意見も受け付けて、必要に応じて説明などをしておるところでございます。
こういったことで、県民への説明責任、河川整備の必要性につきましては十分の説明責任を果たしていくべきだということで、その遂行に努力しておるところでございます。
今後はさらに、今までにいただきました主な御意見に対しましてホームページなども活用しながら、それらに対する検討委員会及び県の考え方につきまして県民に広く説明していきたい、このように考えてございます。
なお、河川整備基本方針策定後には改めて河川の具体的な整備計画の策定をするわけですが、その際にも県民の御意見も承る機会を設けてまいりたいと考えております。
◆再質問
もう一つは、犀川の水系の問題に関してです。私は先ほどこの写真を、城南一丁目右岸見ていただきました。この危険性については、実は八月十四日の犀川水系
河川整備検討委員会第六回の場でも、委員長みずからが流下能力一千二百三十トンを上流でも確保する工事をするんですねと、こう確認して進められておりま
す。だから……。
そういう点に立って、本当に基本計画ができてからではおそいんではないでしょうか。地域住民の安全を守るという点でもこれが求められているのでないでしょうか。
そして、流下能力が五百トンだと言われましたが、この調査もしないでそういうことを言われる根拠。それから、五百トンとなれば、一千二百三十トンでもこの
改修をしない限り危険な状況であることは明らかです。この基本計画を待ってからではなくて早急にやるべきではないでしょうか。
◎答弁 土木部長(福本俊明)
ただいま、先ほどの鞍月用水堰上流の区間での護岸コンクリートがはがれている箇所の危険性を指摘されましたが、先ほども答弁申し上げましたように、この区
間は確かに老朽化が進んでいることを認識してございます。ただ、三十年代後半以降、数十年にわたりまして洪水の防水機能に特段支障はなかったものでござい
ます。
今後、この整備のあり方につきましては河川整備計画の中で具体案を検討してまいりたいと考えております。
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