第2回検討会での事務局の提出資料



「(仮称)金沢市における市民参画の推進に
関する条例」検討委員会 報告書(素案)


はじめに
第1章 検討に至る背景と市民参画の現状
    (第1回検討委員会資料に基づき作成)
第2章 市民参画についての基本的考え方
    (別紙資料参照)
附属資料
  条例の構成素案
  その他参考資料


付属資料@
市民参画についての基本的考え方


1 目的
  地方分権の進展により、制度的には「地域の行政の内容は地域が自ら決定し(自己決定)、また、その結果についての貫任も自らが負う(自己責任)」という地方自治のあるべき姿に近づきつつある。ここでいう「自己決定」、「自己責任」の「自己」とは、その地方自治体全体を意味するのであって、自治体行政のみを指しているのではない。すなわち、これからの地方自治体の行政には、「市民と行政が一体となって地域での課題を発見し、協働してその課題の解決に取り組む」ことが必要である。
 地方自治体の行政活動は、@企画立案、A意思決定、B実施、C評価という4つの過程に分類することができる。現在の地方自治制度においては、市民が直接的に意思決定の過程には参加することができないとしても、企画立案に十分な形で参加することができていれば、実質的には意思決定に参加したことと同様の効果をもたらすと思われる。
 さらに、行政サービスの消費者ともいえる市民が施策の実施及び評価に加わるとすれば、その施策に足りなかった部分や過剰であった部分が明らかにされ、継続して行われる施策の改善、ひいては行政目的の実現につながるものと考えられる。
 このように、意思決定の過程だけではなく、企画立案、実施、評価の各過程にも市民が参加することが求められており、また、市民はその権利を持っている。これら市の行政活動の過程全てに市民が参加することが可能な状態を作り出すことが、本来の意味での「地域の行政における自己決定及び自己責任」を実現すると思われる。そのためには、市の行政に市民の意思を十分に反映することができる制度を確立していかなければならない。

2 定義
  協働:市民と市がそれぞれの果たすべき役割を自覚することにより、相互に補完し、及び協力すること

3 基本原則
 市の行政の各過程における市民参加の推進に当たっては、協働の精神に則り、市民の持つ豊かな社会経験や創造的な活動を尊重しながら、市民全体の福祉の増進と市政運営の効率性の確保に配慮することが必要である。
 以上のことから、以下のような原則が考えられる。
(1)市民に対する平等な機会の付与
(2)市民と市の行政に関する情報の共有
(3)市民と市の市政運営における協働のパートナーとしての相互理解
(4)市民の多様な価値観等に対する公平かつ的確な対応

4 市民と市の役割
 先に述べたように「市民と行政が一体となって地域での課題を発見し、協働してその課題の解決に取り組む」ためには、それぞれ固有の役割を果たす必要があると考えられる。

(1)市民の役割
 市民(企業、地域団体、NPOなどを含む。)は、自覚と責任を持って、多様な市政参加の機会を活用して市政に参加することが必要であり、以下の役割が考えられる。
  @自主的かつ自発的な参加
  A公共の利益を考慮した責任ある発言と行動

(2)市の役割
 市の行政の各過程における市民参加の推進に当たって、前提となるのは「市民と市との情報の共有」がなされていることであり、あらゆる過程において情報を積極的に公開し、説明責任を果たす必要がある。また、市民参加の機会を積極的に提供し、市政運営における協働のパートナーであるとの理解のもと、市民のニーズの把握と施策への反映をすることが必要である。
 また、本市においては、地域に密着した市民活動が成熟していることから、それらとの連携も必要である。

5 手法
(1)種類
  市民参加の手法として、本市で現に実施しているものを含め、以下のものが考えられる。
 @パブリックコメント手続
 A審議会等
 B意見交換会、公聴会、説明会、アンケート、モニター制度
 C共同研究(ワークショップ)
 D市民との協定
 E意見提言窓口
 Fボランティア
 G地域コミュニティによる運営
  (各手法について、必要な補足説胡を記載)

(2)個別留意事項
  市民参加の手法をより実効性のあるものにするため、・実施に当たって留意すべき事項がある。
 @パブリックコメント手続、意見交換会、公聴会等
   ・その計画策定に係る情報の事前段階での十分な提供
   ・これらの手続により市民から提出された意見に対する市の見解の回答
 A審議会等
   ・会議の原則公開
   ・各界各層及び幅広い年齢層からの適切な人材の選任
   ・公募による委員の選任

6 各過程における手法のあり方
(1)企画立案過程
  市の行政の各過程における市民参加のうち、施策の企画立案の過程における参加が市政に市民の意思を反映させるうえで最も効果的であり、重要である。市民にとって、施策の企画立案の過程で自分の意見を述べ、提案することができるということは、実質的には意思決定に参加したことと同様の意識的効果をもたらす。
 この企画立案への参加の手法としては、以下のものが考えられる。
 @パブリックコメント手続
 A意見交換会、公聴会、説明会、アンケート
 B審議会等における市民公募委員
 C共同研究
 D意見提言窓口
  このうち、@とAについては、施策の原案(たたき台)について市民からの意見、提案を求めるものである。
  また、BとCについては、施策の原案の作成又は作成以前の段階から市民の参加を求めようとするものであるといえる。条例、要綱等により設置される審議会等は、それぞれの行政分野における基本的事項の審議や計画の策定等に係る検討をその任務としており、そこに市民が参加することは非常に重要である。
 加えて、多様化、複雑化する行政需要に応えるため、市民の持つ専門性を施策の中に活かしていくという視点から、今後、共同研究の重要性が増すものと考えられる。

(2)実施過程
 本市においては、善隣館運動や児童クラブの運営等に見られるような地域のコミュニティを中心とした住民自治の伝統と実績があるが、都市化の進展、生活様式の多様化の過程でコミュニティの活力が低下しつつある。今後、更なる少子高齢化社会の進展に伴い、特に福祉の分野において、市民による公共的なサービスの提供、すなわち市民と行政との協働による行政活動の実施が求められることになると思われる。
 この実施への参加の手法としては、以下のものが考えられる。
 @意見交換会、公聴会、説明会、アンケート、モニター制度
 A市民との協定
 B意見提言窓口
 Cボランティア
 D地域コミュニティによる運営

(3)評価過程
 施策の実施後における評価は、行政活動の最後の過程ではなく、次の施策の企画立案、意思決定、実施に結びつき循環するものである。厳しい財政事情の中にあって、行政評価といえば、「事業の削減項目の件数」や「予算の削減額」等の効率性の側面から注目を浴びることが多いが、施策の評価は、「その施策が行政目的の達成に向けて、どれだけ効果的であったか」という有効性の側面からも行われなければならない。この有効性の評価には、サービスの受け手である市民の評価を欠くことはできないと思われる。評価の過程において、市民の参加が確保されれば、次の企画立案への参加との相乗効果が期待でき、市民の意向がより確実に反映されることになると考えられる。
 この評価への参加の手法としては、以下のものが考えられる。
 @審議会等における市民公募委員
 A意見交換会、公聴会、説明会、アンケート、モニター制度
 B共同研究
 C意見提言窓口

(市民参加のイメージ)
          市    民
     ↓    ↓    ↓  ↓
 行政     情報の共有
   →企画立案→意志決定→実施→評価→
  ↑         (議会)            ↓
   ←←←←←←←←←←←←←←←←←

7 推進施策
(1)条例化の必要性及び留意事項
  市民参加を推進するためには、現在それぞれの施策において実施している参加の手法の実施を市に義務付けるとともに、体系化した統一的なものを分かりやすい形で市民に提示することが必要である。
 そのために、制度化の方式として広く市民に知らしめることができる「条例」という形を採用することは望ましいと思われる。
 ただ、既存の条例で名杯に「市民参画」の用語を用いたものがあることから、それらとの混同を避けるため、この条例の名称には、市と市民がそれぞれ果たすべき役割を踏まえ、相互に協調し、協力するという趣旨から「協働」の用語を用いることが適当であると思われる。

(2)その他
 条例を制定しただけで市民参加が推進されるわけではない。条例が「絵に措いた餅」に終わらないよう、職員の意識改革等条例の円滑な運用のための環境を整備することが必要である。



付属資料A (事務局からのフォーラム原案)
(仮称)金沢市における市民参画の推進に関する
条例制定に係る市民フォーラム概要


1 開催予定日時 平成16年12月19日(日)午後1時〜午後3時30分
2 開催場所   金沢21世紀美術館 シアター21
3 開催の目的
  本市における市民参加のあり方や、参加手法の体系化を定める当該条例制定にあたり市民参加の一つ方策として開催する。
4 主催 (仮称)金沢市における市民参画の推進に関する条例検討委員会及び金沢市
5 参加予定人員  市民 100名
             当該条例検討委員会委員10名
             市出席者 市民生活部長、広報広聴課職員
6 内容
 (1)公開ヒアリング【3人程度(1人15分〜20分)1時間】
 市民参加を実践している市民から市民参加の体験を語ってもらい、そこから見えてくる本市の市民参加の問題点(市、市民、仕組み等)や、あらたな市民参加への提言をしてもらい、パネルディスカッション及び意見交換へと繋げ、さらに素案検討にも活かす。
  ・金沢まちづくり市民研究機構
  ・ゆめまちづくり活動支援団体
  ・関連コミュニティ団体等

(2)パネルディスカッション 【コーディザイネーター1人、パネラー4人 1時間】
   @テーマ
  (仮称)金沢市における市民参画の推進に関する条例の目指すべきもの
      ――「金沢市における市民参加のあり方」――
    ◆公開ヒアリングの発表者にパネルディスカッションにも参加していただき、公開ヒアリングでの問題提起や提言も素材にしてもらい進める。
   Aコーディネーター(案)
     金沢大学 法学部教授 高橋涼子 氏
   Bパネラー(案)
   (ア)公開ヒアリング発表者 3人
   (イ)市          1人(市民生活部長)

(3)意見交換                       【10分】
  ◆パネルディスカッションの最後に参加者から意見(質問)を受ける。

6 次第
 (1)13:00 開会 あいさっ(奥会長)
 (2)13:10 公開ヒアリング
         発表者3人(15分〜20分/1人)
 (3)14:15 パネルディスカッション
         コーディネーター、パネラーは上記のとおり
 (4)15:15 意見交換
 (5)15:35 閉会

7 参加者募集
 (1)広報
    新聞広報、開催パンフレット配布(市施設等)、いいねっと金沢、記者資料提供
 (2)参加募集送付先
    検討委員会委員の所属団体へ送付
    社令福祉協議会、町会連合会、公民館連合会、校下婦人会連絡協議会、消防団連合会、いしかわ市民活動ネットワーキングセンター


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