回答に対するコメント
1999_3_18

3月10日付けで県から回答が届いたが、質問にたいする答えになっていないことが
よくわかる。
以下のものは、回答に対するコメントで、報道各社などに提供した。
この日、第2回石川県公共事業評価監視委員会が開かれた当日であった。
この委員会で、108件の審査をおこない、辰巳ダム計画1件について継続審議と
なった。


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報道各位                         1999.3.18
            県からの「回答」について
            議論を阻害する県の回答

 当会の質問と要請に対して、県河川開発課長名義で、去る3月10日付けの回
答を郵送でいただきました。
 この回答は、質問に全く答えておらず、議論を阻害する以外の何者でもありま
せん。以下質問/回答にそって、私たちの考えを述べたいと思います。

質問1<被害軽減額について>
 この質問の趣旨は、県の辰巳ダム計画の中で、「治水、年平均被害軽減額 22
億6148万四千円」の根拠がないため、その計算根拠を示せというものである。
 しかし、回答では、「年平均被害軽減額は、当該河川の治水施設整備水準に対
する将来に渡る年平均想定被害額と辰巳ダム設置後のそれとをもとに算出してい
るもの」と述べているが、まったく回答になっていない。

質問2<工事実施基本計画について>
 この質問の趣旨は、河川法16条で義務づけされている工事実施基本計画作成
認可なく着工されている犀川ダム、内川ダムと辰巳ダム計画の整合性を質問して
いる。
 しかし回答では、犀川ダムは「…大洪水を契機として…事業に着手した」こと。
内川ダムは「大洪水が発生し…、浅野川を含め…犀川水系全体の治水計画を策定、
…犀川ダムとの整合性を確保…、事業に着手した」こと。辰巳ダムは「犀川流域
における昭和40年代後半からのめざましい地域開発に対応するため計画され…、
犀川ダムや内川ダムなど…十分な整合性を確保しているものである」としている。
 一見、洪水対策を考えているように書かれてあるが、「整合性を確保してある」
ことを強調するだけで、その内容は一切ない。「整合性を示せ」という質問に対
して、「整合性を確保してある」との回答では、誰も納得させることができない。

質問3<「工事実施基本計画」のないダム建設について>
 この質問の趣旨は、河川法16条で義務づけられている、個々のダムの上位計
画である工事実施基本計画がなく建設された犀川ダム、内川ダムに問題(違法性)
はなかったのかを質問している。
 しかし回答では、「内川ダム建設は…洪水で…緊急的に着工した」とのべてい
るだけである。そもそも治水ダムは、洪水という人命や財産の保護に係わること
から、洪水被害を直接的な動機として計画される。だからこそ河川法は個々のダ
ムを計画する時に工事実施基本計画をつくり、河川全体の治水計画と個々のダム
との整合性を求めている。この回答は、「緊急だから河川法を破ってもいい」と
いっているだけである。何の説明にもなっていない。

質問4<犀川ダム、内川ダムの資料公開について>
 この質問は、いま辰巳ダム計画の議論の中で、犀川全体の管理・治水を考える
ため、過去のダム資料の開示が「緊急」に必要であるため要望したものである。
 回答では、「県の情報公開条例に基づき公開する」とするだけである。
 情報公開条例によれば、昭和61年3月31日以前のものは、永年保存資料で、
検索資料が作成されたものから順次対象にするとしている。しかし犀川ダムや内
川ダムの基本資料は辰巳ダム計画のときに十分精査・整理されているはずであり、
直ちに資料開示をしてもなんら問題はないはずである。

質問5<犀川水系に関する資料保存要請について>
 この趣旨は、犀川管理のため、情報公開条例で公開対象としている永年保存資
料、公開対象としていない関連資料も含め、貴重なデータとして破棄されないた
めの要請である。
 しかし回答は、「県の処務規定に基づき適切に処理する」としている。これは
「永年保存資料以外は破棄する」ことを宣言しているだけであって、永年保存資
料以外の中には、たとえば「(国への)河川総合開発事業補助金交付申請書(5
年保存)」や「ダム事業費利水者負担金の協議、通知(5年保存)」など重要な
資料が保存期間が過ぎれば破棄することを意味します。「国への補助金交付申請
書」などは、<質問6>にある、昭和58年工事着工されたとされる辰巳ダム計
画に直接関わる重要な資料であり、この申請をするにあたってつくられているは
ずの計画書などが破棄される可能性があります。

質問6<昭和58年着工とされる辰巳ダムについて>
 質問の趣旨は、犀川水系で上位計画である工事実施基本計画認可が平成2年、
辰巳ダム認可が平成3年であり、昭和58年着工とされている辰巳ダム計画とあ
きらかな食い違いがあることから、犀川全体の過去のダムや工事実施基本計画、
辰巳ダムなどとの整合性に問題があるとの指摘であった。
 回答で、「辰巳ダムは、…十分な整合性を確保…計画され」「昭和58年から
…国庫補助金の交付決定を受けた」とし、「事業内容が…認可された辰巳ダム建
設事業全体計画として確定した」「唯一の計画」と説明されている。
 しかし、平成3年に認可されたものが辰巳ダムの唯一の計画なのは当たり前で、
質問の趣旨は、昭和58年に「国庫補助金の交付決定」を得るために建設省へ申
請時に当然、辰巳ダムの計画書がつくられたはずであり、「認可された辰巳ダム
計画として確定したもの」と表現されているように、同一ではないことが推察さ
れることである。昭和58年当時建設省への申請書や作成された資料が開示され
ない限り、大きな疑問として残るのである。質問4、5で資料の保存、開示を求
めたのはこうした趣旨である。

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 当会としては、この県からの回答を吟味し、新たに得た辰巳ダム関連の資料を
もとに、近く再質問を行う予定である。
                               以 上
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