パイピング/掲示板の議論から

掲載更新 2009.9.26


パイピング現象が浅野川下流で起きていたことを掲示板に報告した所、様々な意見が寄せられました。
中には、専門家からの投稿もありました。当時の意見をここにまとめました。(写真は後日掲載します)


■浅野川放水路のこと   投稿者:渡辺 寛 [コメントを付ける] [Home] [No.416]
元土木地質屋さん、いろいろ教えて頂きありがとうございます。
ナギの会の渡辺 寛ともうします。
ご承知のとおり、浅野川にダムの適地がないとして、浅野川の洪水時に犀川に分流するために、放水路がつくられました。上限250m3/秒の水路です。
一方、浅野川からの250m3/秒の負担増となる犀川に、その分をカットするため支川・内川に内川ダムがつくられました。計算上、これでプラスマイナスゼロ。浅野川洪水対策は解決したはずでした。こうして河川整備の基本が決められています(暫定ですが…)。
基準点の天神橋地点で、
 基本高水流量 710m3/秒
 計画高水流量 460m3/秒
です。
ところが、なぜか250m3/秒の放水路が田上の入り口で上限150m3/秒に絞られていて、当日の洪水では90m3/秒程度しか流れていないことがわかりました。(県の説明では150m3/秒以上流れたというがこれは間違い。現地の水位の痕跡で確認しました。)
この洪水では、犀川上流に大きな雨はありませんでした(50o程度)。だから寺津ダム、内川ダムからの放流はなし。
ダムから下流で多量の降雨があり、犀川で433m3/秒の流出がありました。この流量の中には浅野川放水路からの90m3/秒(県のいう150m3/秒以上)が含まれています。
この150m3/秒制限の根拠は、いまだ県から説明がありません。
今回の洪水は、浅野川上流の一部で200年に一度規模の《降雨》があったと思われますが、洪水として下流へ流れたのは450m3/秒程度。県の想定どおりでした。
本来なら河川整備が完了していたはずの浅野川で氾濫が起きたのは、中流での長年の間で堆積が続き、おそらく1m以上河床が上昇していたからです。
こうした河川の管理を放置してきた責任に目をつぶり、想定外の大洪《650m3/秒》と発表しています。
しかも、その計算根拠をまったく示していません。
2008/11/13(Thu) 07:10:44


■Re:浅野川放水路のこと   投稿者:元土木地質屋  [No.417]
写真を拝見してビックリしました。
これは酷いですね、道路で言えば片側3車線の高速道路を造って、管理を放棄して、2車線はゴミの山で残った1車線も穴だらけで農道化している様なものですね。

これでは分水流量が正しく把握できる訳がありませんね。
早急に流路内の土砂の排除・清掃、及び流路の上流の土砂止め堰上流部に堆積した土砂の浚渫を行い、洪水時に運ばれて来る土砂の沈殿池(域)を確保すべきと考えます。

本来ならば、流路内に写真にあるような大きな岩が流れ込む事は想定外であり、これらによってゲートの損傷などの被害が発生する可能性が有ると考えます。
更には、流路をゲート付近で塞ぎ、本来の機能が全く失われる可能性も考えられます。

このような状態が、浅野川洪水以前より認められているとすれば、同水害は管理義務を怠った管理者が責任を追及されても矛盾が無いように思います。 (門前の小僧の浅知恵ですが。)

上記したようなメンテナンスは、常に行わなければならないもので、これを怠ってしまうと、近年問題になっている橋梁の劣化と同様に、その寿命を著しく短くしたり、危険を呼びかねませんよね。
それは税金の無駄遣いばかりではなく、尊い人命や市民の財産に係わりかねません。

この国の土木施設は、建設には熱心ですが、保守・管理・運用には熱心ではない様に感じるのは私だけでしょうか。
建設には、大金が動き、建設系議員さんが動くのですが、後記のものには無関心なのですよね、目的は国民(市民)を守る事である筈なのですが。
残念です。
2008/11/13(Thu) 19:36:05


■ 広範囲でパイピング   投稿者:渡辺 寛 [コメントを付ける] [Home] [No.392]
浅野川洪水で下流の東蚊爪町の堤防でパイピングが発見された件ですが、先日付近の堤防一帯を見たところ、ほぼ1kmにわたって数百カ所のパイピングが広範囲に発生していました。
詳しくは、ホームページに報告しますが、下流の堤防はかなり危険な状態にあると言えます。
県は、天神橋から中島大橋までの河床掘削を国の助成を得て行うとしていますが、これが完成すると、同じ規模の洪水が起きたとき、下流堤防は危険度が増すことになります。
「河川整備は下流から」という原則から見ても、おかしい県の対策です。大野川との合流点の堆積も見過ごせません。
堤防決壊は、人の命にストレートにつながります。4年前の新潟洪水では、堤防決壊で付近の集落で9人の方が自宅でなくなりました。
……
今月の辰巳ブレイク(10月26日)に、昭和39年洪水で堤防決壊を体験された方が参加されます。貴重な体験をお聞きすることになりました。
この方は当時、消防団員として堤防補強作業に参加。堤防の上で作業をしていたとき、目の前の堤防が突然崩れ、命からがら逃げたという方です。
―――渡辺 寛
2008/10/20(Mon) 04:07:13


■Re:広範囲でパイピング   投稿者:渡辺 寛  [Home] [No.400]
昨日の北陸中日新聞で、この問題が記事になりました。
県の見解は、この堤防漏水の痕跡はモグラの穴でパイピング現象ではないとのこと…!(ビックリ)
モグラがあけたにしろ、ミミズがあけたにしろ、樹木の根っこが原因にしろ、そこから堤防の中の土や砂がはき出されているのが問題で、それがパイピング現象というものです。
県の呑気な危機感のなさが大水害を起こすことになるんですね。
 ――――――――――――
写真は、新北寺町近くの堤防の最下部で、専門的にはドレーンと呼ばれる水抜き構造の石積み部分からのパイピングの痕跡です。
洪水以後、何度か雨が降っていますが、まだパイピングの痕跡は残っていますので、ぜひ見て下さい。
―――渡辺 寛
2008/10/26(Sun) 19:52:36


■Re:広範囲でパイピング   投稿者:元土木地質屋  [No.408]
ご意見を拝見し、県の対応の拙さに呆れております。
然しながら、多くの県の河川課などには、プロ的な河川技術者(土木)や地質技術者が存在していないのが実情なのです。
問題を正しく認識できるのは、残念ながら本省(国土交通省)か、その所管の土木研究所(独立行政法人:以下土研と称す)と言って過言ではないと思います。

本題に戻しますが、仮に河川課が言うようにモグラの仕業だとしても、これだけ大量に発生しているのであれば、放置する事は管理保全上問題があると考えられます。
まずは、調査が必要と考えますので、私なりの調査計画を書かせて頂きますので、参考にして頂ければ幸いです。
   つづく(1)
2008/11/07(Fri) 23:33:29


■Re:広範囲でパイピング   投稿者:元土木地質屋  [No.410]
    その2
1.パイピングか動物の仕業かの識別。

 1.1 河川水位の低い時期に、その水位より高い位置の穴の集中する50m程度を対象に、分布を調査して付近に番号つきの標識を立て、写真を撮り、然る後に穴から配すつされたと疑われる土砂を取り除き、再度写真を撮る。その後数日後に(毎日数日間がベター)
   再び写真を撮って変化を明確に整理します。 (カメラの位置や角度を統一し、同じレンズを利用される事をお勧めします。)
1.2 その結果、既存の穴から更に土砂が排出されたり、新たな穴および排出土砂が多数認められれば、動物が造ったものがあることは証明されます。 (すべてがそうであるとは言えませんが)
   なお、添付された写真を見た範囲では、流水により搬出された土砂のようには見えません。
     つづく(2)
2008/11/07(Fri) 23:40:34


■Re:広範囲でパイピング   投稿者:元土木地質屋  [No.411]
    その3
   何故ならば、土砂の分布状況や細粒ほど流下したり、その上に出来る筈の流痕(水が流れた痕跡)が認められないのです。
   ただ、それはたった1箇所の写真であり、肉眼では見えたかも知れませんので、否定する意識はありません。

1.2 パイピングであるとの証明
  これには、水位が高い期間(短時間?)に観測・観察を継続的に行わなければ意味がないと考えられますので、少々手間が掛かりますし、悪天候も予測されますので、それなりの対処も必要です。
  観測としては、推移の変化を連続的に行い、穴からの流出との相関(時間のずれを含む)を時刻軸にプロットして表現します。
  なお、河川水位が低下し、穴からの流出水量が低下するまで観測する事が望まれます。
  また、河川水位は水位標(紅白の目盛りに数字が記されている:橋桁などに多い)を観測するか、水位計(河川管理者が管理:要求すれば公開される筈)を利用してください。
    つづく(3)
2008/11/07(Fri) 23:42:28


■Re:広範囲でパイピング   投稿者:元土木地質屋  [No.412]
その4
  更に、穴からの排水量が多い(写真のように小石を流すには流量が必要なので、
  多いと考えられる)場合には、樋状或いはパイプ状の筒?を差し込んで流量を量り、同様にプロットすれば、相関が明らかになると思います。

以上の調査を河川管理者に要求され、出来ればご一緒に調査を行えれば、良いと思います。
管理者も事故を未然に防ぐ事も仕事ですので、本来は歓迎す筈です。
くれぐれも、最初から喧嘩腰で臨まないで下さいね、相手は心を閉ざし高飛車に来る傾向が強く、長引いてしまいかねません。

なお、河川管理者が門前払いした場合には、選挙で選ばれた知事・市長・町長などにその後援会などの知人を介してご相談されれば、門は開かれます。

また、渡辺さんが同士と活動されていて、ご自分たちである程度の検証を行われるのであれば、私の書いた事を大幅に縮小されて、お試し下さい。
その際には、土木系の高専の先生や高校の地学の先生、などに声を掛けてみるのも良いかも知れません。

PS:私は、現役時代に石川県で仕事をさせていただいたので、お手伝いに伺いたいのですが、海外暮らしですので、伺えません事をお詫び致します。
    以上
2008/11/07(Fri) 23:50:48


■Re:広範囲でパイピング   投稿者:蟻10匹  [No.413]
海外からご心配いただきありがとうございました。
 地元にいるものとして参考にさせていただきます。
 渡辺さんとは別に気にしているもので、最初からモグラの穴からの流出だと気が付いていました。 内部でボイリング等が起きて流出した砂とは違っていましたので。
 ただ、高水時に余裕高さを越えて50cm程まで上がっていたことや、何度か盛り重ねした堤防らしいので、そうした施工境などや天端の舗装材の路盤材など通して漏水した可能性が考えられたために、心配したわけです。
 堤体が地盤沈下しており、そのために必要な余裕高さが取れなくなっているとも報告されているところなので、地元の方にとっては、心配なのですね。
 県の報告では動物の巣穴であり、堤体を通した漏水や浸透水は無かったと言うのですが、当面下流側の河川改修はなされないとのことなので、今後機会が有れば、今回の提案を踏まえて観察してみることにしたいと思います。
 石川県の報告
http://www.pref.ishikawa.jp/kasen/sansha-i/index.html
 第2回目の報告が掲載されています。
2008/11/08(Sat) 17:46:47


■Re:広範囲でパイピング   投稿者:元土木地質屋  [No.414]
 主題から逸脱しますが、浅野川流域の洪水で些か疑問に思ったのですが、浅野川・犀川導水路の機能が発揮できなかったのでしょうか。
浅野川流域には、洪水調節用のダムの建設が困難な為、最川流域に内川ダム、等幾つかの洪水調節を主目的とするダムを建設して、犀川の洪水時流量を調整して、その余裕分の流量を浅野川から流す計画だったと思います。 (40年近く前の事で、記憶が曖昧ですが。)

この想定流量(降雨量)が有ったのか、ダムの事前放流などを含めて、運用に不都合はなかったのか、その結果を受けて運用ルールの見直す必要はないのか、が気になっております。

動物の穴であっても、その分布および種類を把握して、結果によっては駆除を行う事が望ましいように思われます。 (専門外ですので、不確実ですが。)
2008/11/10(Mon) 20:11:06


■ モグラより怒りを込めて   投稿者:モグラのモンス [コメントを付ける] [No.406]
私たちも困りました。棲んでいる住宅内に突然泥水が押し寄せてきたのですから。
 浅野川の堤防は、絶対安全だと信じて棲んでいたのに。
 この辺は土で出来た堤防なのです。堤防法面は私たち土に棲む動物や土に根を張る植物の大事な住み家なのです。
 計画では堤防より1.0m下までしか水位は来ないことになっていたのに、0.5mまで水が漬き、堤防の天端付近の地下から漏れ出した浸透水が、堤防の外側に流れ出し、私たちの住み家の横穴に流れ込んできたのです。もう少しで溺れるところでした。溺れた仲間もいました。何匹のモグラが亡くなったかは判りませんが、しばらくは泥まみれの生活でした。
 後もう少し、水位が高かったり、洪水時間が長かったら、堤防自体も崩れたと思いますよ。
 人間にはもう少し、僕らモグラのことも考えて欲しいものです。
 今回の犠牲は私たちでしたが、明日は、来年は、あなたたちですよ。
 浅野川、犀川の流域に住む皆さんのことですよ。
2008/11/02(Sun) 20:37:26


■Re:モグラより怒りを込めて   投稿者:モグラのモンクラ  [No.407]
 私の仲間の家には石膏が流し込まれました。
 そして最後には、家まで壊されてしまいました。
 1箇所、2箇所を調べて見ても、そんな簡単に堤防全体の評価はできるかな。
 浸透解析の結果、透水性が小さいために、川表にしか浸透していないとの結果が示されていますが、本当かな。 どんな透水係数を与えたのか、その根拠は示されていない。
2008/11/04(Tue) 22:20:38


■ありの一穴   投稿者:ハンス少年 [コメントを付ける] [No.401]
 河川課と北陸中日新聞の記者へ
 このお話をお伝えします。
穴がなにによって出来たかではなく、穴から水とともに土砂が流れ出していたことが問題なのです。
 当日浅野川の下流域ではたったの14mmしか降っていません。
 本来ならば、降水は全て浸透して表面に出てくるような雨ではありません。
 しかし、広い範囲にわたっていろんな穴から水が流れ出ていたのです。
 当時の最高水位は堤防より0.5mほどの高さまで迫っていました。仮に舗装の下に砕石や砂礫が50cmほど敷かれていたと考えると、堤防より浸透した水が堤防の家屋側に流れ出し、堤防の法の浅いところを流動していたのでしょう。そんな浸透水の一部がモグラの穴やいろんな原因で生じた穴や空洞部を通して流れ出し、その内部から土を外へ押し出したのです。
 確かに堤防下部から吹き上げるボイリングやパイピングではないかも知れませんが、極めて危険な状態であったのではないでしょうか。
 河川課は8歳のハンス少年に学ぶべきですね。
 かの国では8歳の少年にも判ることが、この県では河川管理を職業としている人たちにも理解できないとは、情けないですね。
2008/10/27(Mon) 02:07:54


■引用文   投稿者:ハンス少年  [No.402]
 風車と運河のある風景に代表されるオランダは、国土の多くの部分が海面よりも低いという国です。そのため、海岸の堤防は非常に大切なものです。
 このオランダに、ハンスという少年がいました。ある日のこと、お使いに行った帰りに堤防のそばを通りかかったハンス少年の目は、「おや?」と、一点に釘づけになりました。堤防から少しずつ水が漏(も)れているのです。それは、見ている間にも、少しずつ大きくなっていくのが分かります。
 ハンス少年は8歳でしたが、この堤防が、祖国オランダにとって、どのように大事なものであるかを、いつも両親から聞かされていたので、よく知っていました。堤防が切れると、オランダは見る間に海の底になってしまうのです。「これは、たいへんだ。早く、おとなの人に知らせなければ……」
 ハンスは、あたりをみまわしましたが、1人の影も見当たりません。知らせに行っていては間に合わないと思ったハンスは、とっさに上着をぬいで穴にあてました。しかし、上着の間から少しずつ漏れる水は、穴を大きくしていきます。困ったハンスは、自分の右腕を上着で包むと、思いきって穴の中に突っこんでみました。どうやらうまくいきそうです。
そのうち、誰か通りかかるだろう しかし、1時間、2時間と過ぎて、とうとう日が暮れてしまいました。おなかがすいた。しかし、自分がここを動いたら、このオランダはどうなるか 空には、星が一面にまたたき始めました。そして、ハンスの腕は冷たさも感じなくなり、少年は気を失ったように眠ってしまいました。とうとう朝になって、村人が通りかかって、疲れて眠っているハンス少年を見つけました。 村人は、ハッとしました。堤防の穴に入れられたままのハンス少年の小さな腕に気づいたのです。「ハンス。そうだったのか。ありがとう、お前のおかげで、オランダの人、そして国が救われたのだ。お前の勇気と忍耐と、国を思う心が救ったのだ」
村人は、ハンスの頭をやさしくなでながら、とめどなく流れる涙をふこうともしないのでした。
2008/10/27(Mon) 02:13:56


■Re:ありの一穴   投稿者:傍聴人  [No.404]
 10月29日の第三者委員会でも、「モグラであろうがなんであろうが、穴が空いていたことが問題」という発言はありました。ただ、委員長の玉井信行氏が、特にそれを取り上げることもなく、県の言い分を通らせ、シャンシャン総会で終わらせてしまったということが、非常に大きな問題です。

 「角落としをしてもしなくても被害は同じ」という県の発表にも、委員から異議が出ましたが、玉井信行委員長が「今後の河川管理を検討する上ではこれでよい」などというバカげた結論で論議を終わらせてしまったのです。

 これでは、またいつ洪水被害が起きてもおかしくありません。犀川浅野川の安全を脅かしているのは誰でしょうか。
2008/11/02(Sun) 20:05:33


■Re:ありの一穴   投稿者:怒り人  [No.405]
玉井委員長は、御用学者どころでない、今回の浅野川水害の共謀共同正犯じゃないですか。
そんな人物が、「第三者」(うぷぷ…)委員会の委員長なんてね。

でも、結局ほかの委員も委員長の発言に異議を唱えなかったんですよね。共犯です。
2008/11/02(Sun) 20:31:06


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