亀裂はどうして生まれたか?

 以下の資料は、研究所設立をめぐって「対立」が鮮明になり、問題を明らかにするために整理し
会の例会で配布したものである。

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亀裂はどうして生まれたか。
「河北潟湖沼研究所」をめぐる私の意見、資料など 1995.3.15記
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「研究所設立」の話が降って涌いたように、北国新聞に掲載されたのが去る、10月14日朝刊。河北
潟を考える会のほとんどの人はもちろん流域住民も全く「寝耳に水」でした。
 私も、その構想の前段階に個人的に相談を受け、それなりに設立の意義を感じ、協力をしてきま
した。
 しかし、私の問題意識の中心は、いかに河北潟を考える会あるいは流域住民の多くの関係者の合
意を得ていくか、との思いでした。
 この「協力の課程」で、構想の中心になっている大舘さん、沢野さんに対して、河北潟を考える
会や住民との合意を得ること、また、企業に対する考えをきちんと整理する必要がある旨の意見を
伝えてきました。
 しかし残念なことですが、こうした私の思いとは別に、研究所構想が急ピッチに進められ、北国
新聞での「河北潟を考える会のよびかけで研究所、今日設立」との趣旨で報道されました。

 このプリントには、こうした経過の分かるものを資料としてあります。あらためて文章を書くの
も大変なので、過去の文章を載せました。
 この間の私の感想は、どんなに立派な構想でも、関係者みなさんの同意を得る努力を欠いたすす
め方は、混乱や感情問題だけしか残さない、ということです。
 河北潟を考える会だけに関して言えば、全く忘れ去られていた河北潟を、短期間で県政の重大問
題に押し上げ、その世論づくりに大きく貢献できたことを頼もしく思います。また、これに多くの
会員、関係者が楽しく参加できたことうれしく思います。
 で、今回のこと。残念の一語につきます。

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河北潟を考える会での「亀裂」が生み出されてきた経緯を考える
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 河北潟を考える会の6月例会(出席=藤木、大舘、沢野、本間、上村、栗原、渡辺)で、会の計
画、あり方について本質的な問題提起がされた。今後、何をするにしても、過去から作られた亀裂
を克服しない限り、考える会は存続しようがないと思っている。
 その亀裂はどうして生まれたか、それは何かを現時点で確認する作業が必要と感じ、まとめてみ
た。

【亀裂が生まれてきた経緯】

 94年10月14日、北国新聞で突然「河北潟を考える会が呼びかけ、きょう研究所発足」が報道され
たことがその発端。
 考える会には一切「秘密」で進められるなか、会の名前を使われたことは、常識的な感覚の持ち
主であれば許されることではない。研究所の出発に際して最大、根本的な汚点であり、考える会に
とっても最大の亀裂を生んだが、今までの経過を見てみると、研究所の中心になっている人たち(
藤木、大舘、沢野)に基本的な反省がないと思わざるを得ない。

 この北国新聞が掲載された翌日、私と沢野さんとの間でつぎのやりとりがあった。
 渡辺 「これはファールだ。このままでは、会の維持も出来ない。明らかに会との関係で誤解、問
題がある、緊急に会に対して研究所の方から事情説明をしてほしい」
 沢野「アメリカのトップダウン方式で行かないと、こういう問題は進まない、会がこれで壊れて
も仕方がない、研究所の方が重要だ」

 ここで喧嘩してしまうとこれで終わり、会も崩壊、となりかねないので事情を聞いた。

 沢野「自分でも単なる顔合わせ会、準備会のつもりだったが、藤木さんからの強引な意見でああ
いうことになった。自分でも困っている」
 その後、考える会で研究所から経過説明を聞く臨時例会が開かれることになった。本来ここで忌
憚のない説明がなされていれば、問題はなかっただろうと推測するが、この会の中で亀裂は深刻に
なった。(臨時例会のメモ参照)

 その後、11月例会で研究所側から趣意書は出されず、12月例会まで持ち越された。
 12月例会で出された趣意書は、「研究所発足(12月20日)」とされた発起人会で「採択」する予定の
案であった。(「採択」は20日はされず、見送られたと聞いている。今日現在、趣意書や定款などが
正規に決められているのか私は知らない)。
 しかし、先の臨時例会で参加者から出された問題は、趣意書を出せばすべて氷解する性質のもの
ではなく、たくさんの論点、疑問点がある。

 11月末、研究所側からの申し入れで次のメンバーで意見交換がおこなわれた。

研 究 所【藤木、沢野、大舘】
考える会【清水(会長)、渡辺】


 藤木(川崎重工所長)「今までの大企業は談合の体質であった。これからの時代は社会貢献でいく。
河北潟の水質浄化など企業から出来ることはないか、住民、行政、企業、研究者の連携で研究所を作
りたい」
 清水「なにしろ突然のことで戸惑っているが、河北潟の問題は企業も行政も研究者も関わらなけら
ば解決できないことだ」
 渡辺「研究所の総論は良い。しかしそれを進めるにも合意を第一としなけらばいけない。現在の進
め方には問題がある」
 藤木「具体的な進め方は大舘さん、沢野さんにまかせてある。2人とも大変実力があって感心して
いる」
(清水さん所用で退席)
 渡辺「あきらかに研究所の出発は強引である。会の存続にも直接関わる。(臨時例会で出された諸点
を説明しようとするが……)」
 大舘「(私の説明をさえぎって)そんなこと言ってるの、渡辺さんだけでしょ。私に誰もそんなこと
言っていません。趣意書をいま作っているんだからそれでいいでしょ」
 沢野「こんな奇特な会社(川重のこと)、今どきない。これだけ一生懸命にやっているのに反対する
者の気がしれない。賛成してついてくる者だけでやる」
 大舘「研究所がはっきりしないというけど、考える会はどうなの。会員は何人いるの。会費は集ま
っているの。会計はどうなっているの。報告もしないじゃない!」

 ……といった調子のやりとりがあったが、臨時例会で出された様々な問題を単に「趣意書を提出す
ればそれでいいでしょう」と言うばかりなのは、合意を目指す視点を欠いた進め方と言わざるを得な
い。

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 昨年秋から、現在まで、こうしたいろいろなやりとりがあったが、私から見る限り、会との係わり
に限ってみると両者の関係はまったく「良好な関係」とはとても言えるものではない。
 ただ、研究所が考える会や住民といったものとは関係なく独自に出発しているから、強いて言うな
ら「勝手にやったら……」ということになろうか――。
 会とすれば「研究所と考える会は別の物、何かあって協力しあえる点があればやる」ということに
なる。
 しかし研究所側から全面的な「情報の公開」がなされないと、協力していくということは「考える
会」としてできないのは明らかではなかろうか。
 事実、95.1月拡大事務局会議(新運営委員会)で「設立趣意書」「研究所の組織」「参加研究者
名簿」などが提出されたが、「どういう企業が参加しているのか」との質問に対して、「参加企業名
の公表はプライバシーに関わるから出せない」(大舘)との一点張りであった。

■研究所づくりについての私の批判点

 この文章は、直接的には考える会との関係についてのことで、研究所そのものに対する「批判」は
いつか別の機会にしたいが、会との関係で若干触れたい。
 この研究所、「全く任意の組織」を作ろうとするのであれば、これほどだれも問題視したりしない
と思う。私も協力できるところがあればしようと思ったものである。
 しかし、現在の「河北潟湖沼研究所」は法人格を目指している。社団法人は法律行為であり、準公
設の組織づくりである。
 今まで触れてきたように、「批判を受けつけず、異論を踏みつけ」ていくような研究所づくりは、
河北潟の流域住民の大きな合意と運動をつくる上で障害になるのは目に見えている――というのが私
の問題意識である。

 同時に、研究所は行政や企業と連携していくことを目指しているが、現代の「河北潟問題」をつく
り出した湖沼・河川行政(国、自治体などの)、それと一体となった企業、関連組織(農協や漁協な
ど)の分析、批判を欠いた進め方に私は不同意である。「趣意書」にあるような「住民も被害者であ
り加害者である」という一般論でくくるのは「研究者」の集団としてお粗末ではないかと思っている。

 また、現在大舘氏、沢野氏が研究所づくりの正面に立って苦労されているが、この問題の第一当事
者である川崎重工の藤木所長の動きが全く見えてこないのが不思議である。

 川崎重工は大手造船会社の一角をしめる。
 川崎重工がどういう「社会貢献」をしているかを知る上で、次のニュース記事が参考になると思う。
こうした営業活動が全国で展開されていることと無関係に、藤木所長が「善意で河北潟問題に取り組
もうとしている」とみるのは短絡的な思考だろうと思う。
 こういう点を不問にした研究所を考える議論は考える会にとっても研究所にとっても将来に禍根を
残すのではないか――。

 94.11.01 ――――――――――――――
 環境装置めぐる受注本格化−−造船・重機
 毎日新聞ニュース速報

 新造船価格の低迷による業績ダウンを食い止めるため、大手造船・重機業界では、大規模ごみ処理
場など「環境装置」をめぐる受注競争が本格化してきた。最も大きなプロジェクトの場合、超大型タ
ンカー一隻の2−4倍に当たる200−400億円の売り上げを確保できるのが魅力。汚職事件が発生する
ほどのエスカレートぶりだが、各社とも、造船と並ぶ「営業の柱」として、地方自治体などへの売り
込みに懸命だ。
 大手各社の昨年度の環境関連部門売り上げは、三菱重工業1700億円、日立造船1064億円と、二社と
も三年間で2倍以上に増えた。1994年9月中間決算でも、日立造船が前年同期比35.8%増、川崎重工
業が同30.8%増の大幅な伸び。
 国内の大規模ごみ処理施設第1号は、64年に専門会社のタクマ(本社・大阪市北区)が大阪市に納
入した。造船・重機メーカーの進出はその後で、80年代後半の造船不況以降、売り上げが伸び始めた。
 国際的な供給過剰と、韓国のドック増設もあって、超大型タンカーの新造船価格はここ2−3年で
平均1−2割下がった。さらに「各社の造船部門のコスト削減が進み、建造能力が上がったことが低
価格に拍車をかけてしまった」(合田茂・日本造船工業会会長)と、造船分野での収益は悪化する一
方だ。
 このため各社は、造船部門のリストラを進める一方、環境部門には人員を増強する傾向にある。日
立造船は今年四月、国内と海外のごみ処理施設受注を担当する「新環境事業部」を創設。川崎重工業
も昨年から「環境エネルギープラント事業本部」を独立させて営業強化を図っている。
[1994-11-01-20:19]

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 以上が、私から見ての大まかな「亀裂」を生んだ経緯をまとめたものである。

 参考までに、以下、河北潟問題で大舘氏や沢野氏と、いろいろ意見交換したものを資料として紹介
する。この問題がこんなに大きくなる前に、相談も受け、個人的な協力もしてきた経過も分かるので
はないかと思う。

――大舘さんへ(94.8.14)―――――――――――――――――――――――
 いろいろありますね。
 ところで、法人化の件につき、沢野さんから聞いてから、彼へ私の考えなどをパソコン通信でおく
ったものを参考までに、プリントアウトしてみます。(こうしたことにパソコン通信を使うと実に便
利ですよ。是非挑戦を!)
 で、こういった混み入った問題にとっかかるときは、忌憚なく「関係者」同士、肚の探り合いでは
なく、自由に話をするのが一番の早道だと思うんですがね……。

――沢野さんへの通信1(94.7.17)―――――――――――――――――――
 所で、例の BIG PROJECT(=以後「X計画」とよびましょう)、考えが頭の中を色々巡っています。
沢野さんからの内容をちょっとまとめてみました。

【提案内容】
1 某大企業の金沢支店長からの提案で、元々この方が自分で始めようとしていたが、色々な壁があ
 って実現できなかった計画である。

2 エネルギー、環境などの分野について、大企業のトップは、限界を知っており、深刻な問題意識
 を持っている。次世代につなぐ研究、提言をまとめ、実現可能ならば実行したい。

3 既存のシステム(政治パターン、行政機構、企業活動)の限界性から、著名なだれかをトップに
 頂き、市民運動的あるいは行政の外郭団体的な組織を作っても効果は期待できない。そうした一切
 の壁を乗り越えて大胆な研究、実験、提言の出来る集団をつくりたい。

4 企業集団が財政的な援助をする。本社の決済も受けた裏付けのある計画である。

5 当面、最小限のスタッフ、事務所の設置を決め、法人格をもった組織として登記する(8月中に
 は申請したい)。

6 「カネは出すが口は出さない」を基本にするので、安心して組織づくり、活動計画、スタッフ集め
 を進めてほしい。

7 イメージとしてはワールドウォッチ研究所みたいなもの。

 こんな所でしょうか。
 で、いろいろ考えてみたのですが、これをまあ、信じるかどうかですが、飲むか飲まないかの二者
択一の話みたいですね。電話で話をしましたが、沢野さんがこれにかけるかどうかのハラ一つで決ま
る感じがします。

 また、最小限の人員=高橋さんとか、あと2〜5人の口の堅い(当然それなりの覚悟を持った)メ
ンバーが、その支店長と話し合うことが必要でしょう。
 この提案について、100%そのとおりとして、いろいろ聞きたいなと思うことがいろいろありま
すね。

【私のぐるぐるめぐりの思い】
1 なぜ、このX計画の話が大舘さん、沢野さんへ来たのか。
  計画のスケールに比べて、被提案者があまりにも「小者」(失礼!)ではないか。

2 河北潟問題についてのこれまでの活動など、微々たるものでしたしね。実績も上がっていないし。
 将来の可能性に賭けたにしても、冒険ではないか。
  隠された部分を私は知りたい。ここで本音の議論が出来るんです。ワル気はないですよ。

3 本気!で今までの政策に対して、次世代への研究、実験、提言をするのであれば、現在、在野で
 「あぶれた」研究者は何人もおり、それなりの実績を残している人もいる。そういう人をバックア
 ップした方が余程、現実的ではないでしょうか。

4 カネが絡む話だから、こちらも相手も持ち札を全部だして、オープンにしないと、後で困る。お
 互いに「こんな筈じゃなかった」とね。

5 カネを出す方はどんなメリットがあるのかがいまいち不明です。支店長がそうした問題意識をも
 っていて、この計画をすすめたいのは理解できます。しかし、この実力のある支店長が、もし転勤
 あるいは退職でいなくなったら、この計画を複数の企業がバックアップする保証はあるのでしょう
 か。****財団あたりの独裁組織だったら可能でしょうが、こと民間企業ですので、そうした理念が
 トップの集団全体でどこまで熟成しているのかを知りたいところですね。

6 この計画を本社へ提出した書類の写し、あるいは本社の決裁書、審議した役員会の 議事録を見
 せて貰うとか…は出来ないでしょうか。
 本気でこの計画をするのであれが可能だと思いませんか。この計画に乗る方としてはこのあたりが
 一番のハードルかもしれない。

7 そして当然、活動の独立性の保証をどう考えるか。研究分野にタブーはないのか。

8 研究成果として提言などを発表したり、その実現をめざす啓蒙や活動も当然ついて回りますが、
 ここでいわゆる市民運動と繋がる部分も出てきます。そこをカネを出す方が許容できるか。

8 ここをうまくクリアー出来るような提出スタイルを、研究スタッフ側が考えることは当然だと思
 いますが、かなり微妙な問題をかかえている様な気がしています。立派な器はできたけれどネ〜、
 となりかねない。

9 もっと現実的に考えるなら、本気で環境問題の研究したいが、それでは全く食えないので、イヤ
 イヤ別の仕事をしている若き研究者に飯をくわせる、という発想(本音部分で)だったら納得でき
 る。そのために「立派な能書き」を書き、組織づくりをするのは、おもしろい。やりがいもある。

10 X計画の全容について、議論出来る場を早急につくる必要もあるでしょうね。

 まあ、こんな事をいろいろ考えています。とりあえず、ここまでにしましょうか。
これを、某所長に見せても結構です。こういう風に考えるヤツがいる、とでも……。

――沢野さんへ通信2(94.7.25)―――――――――――――――――――――
 高橋さんの案をみました。
 みなさんよくやってますね。お年寄り(私のこと)もがんばらなくっちゃ……。
で、第一次案を送ります。
 沢野さんのは、TEXTの文章にして、MAILになりませんか?)
       (略)

――沢野さんへ通信3(94.8.12)―――――――――――――――――――――
《藤木さんとの「対面」で感じたこと。および河北潟を考える会との関係》

 藤木さんの個人的な思いはよくわかりましたし、企業の中にあって努力しておられることは、我々
にとって頼もしい限り。大いに協力をしていくべきだと思います。
 ただ、前に「X計画」について書きましたように、この個人的理念が「企業としての経営方針」に
どの程度なっているのかということの疑問は解けない。これは企業秘密かもしれないが、ここをクリ
アーしなければならないと今でも強く感じています。
 財団あるいは社団化の件は、住民の運動の側からも目標の一つで、各地でそういう動きはあった。
企業論理としても、新しいビジネスチャンスとしてとらえることは少しでも先見性ある企業は考えて
いる。ちょうどここに来て、重なる部分が出来たということでしょう。
 いわゆる「小物?」との接触を持ったのは、ただ「河北潟にこの会しかなかった」というのが真相
ではないでしょうか。
 この会が将来の事業展開の中でつきあっていける会かどうか等、いろいろな情報の分析はやられた
と思います。全国各地で大企業は住民運動と「血みどろの闘い」をしてきた。そしてほとんど一方的
に勝利してきた。藤木さんは、こうした経験を個人的にもされたのではないでしょうか。そうした経
験上、住民対策を第一にする。これも企業の常道です。
 でも、過去全くどこからも放ったらかされてきた河北潟に、それも水質浄化の面から企業がアタッ
クしようとした先見性はまさに卓見です。また、考える会の動きがこれを引き出したとすれば、われ
われも相当な見識だということでしょう。
 ただ、企業論理として、水質浄化だけが目標ではないはずです。その後、この広大な空間をどうす
るか、これは重大な問題です。いろいろな案が浮かんでは消えている。放っておけば、ゴミの処分場
かレジャー施設になってしまう。県政の大問題でもあるはずのこの問題へ先見的に住民側がアタック
しなければ、干拓についで歴史的な禍根を産むことになる。
 ただ、藤木さんの錯覚だと思うのですが、河北潟を考える会=(イコール)=大舘さんの会、という認識が
あるのではないかということ。大舘さんと話がつけばOKというような感覚が、もし藤木さんにある
とすれば、大誤算を招くように思います。
 事を起こそうとするには、それなりの道筋があり、それ相当の人間がかまないと進まない。今度の
社団法人化の件も、河北潟を考える会の動きとは別にしなければ成功はしないでしょうが、しかし協
力共同の態度は公然と明らかにしないといけないと思う。
 また同時に、河北潟を考える会が将来の見通し、河北潟問題に大きく政策提言もしていく訳ですか
ら、この会も当然この動き(社団法人化)に対して何らかかの意志を持たなければならないと思いま
す。会の中心メンバーが関わっているので、その人たちにすべておまかせというわけにはいかないで
しょう。

 会としては、現在まで「秘密裏」に事が進められているこの問題を、このまま引っ張る訳にはいか
ない。「法人化準備会(と呼びましょう)」が県に対して手を挙げる(意志表示)のですから、その
時点でこの問題は公的な話になる。今までは単なる相談、構想という個人的な事で済みますが、この
時点で、性格が変わる。
 会としても放っておけないので、会としての一定の共通認識を得ておかなければならないと思いま
す。今までのように、大舘さんの言うように「まだこのままで…」という訳にはいかないと思います。
県の幹部が知っていることを、河北潟を考える会が知らないというポーズをとる訳にはいかない。会
の運営部が会員に秘密を持つことになる。本来なら藤木さんの今までの行政への働きかけ等も会とし
てきちんと整理する必要があると思います。                 ^^^^

●考える会として社団法人化の動きをどう見ればいいのか。どういう態度で臨むか?

1)河北潟を考える会の動きは先見的なものであり住民の意志を代弁し、今後も行政、関係諸団体、
専門家、関係企業との連携を作り上げるよう努力してきたことの確認。

 専門家というのがミソで、沢野さんやIKさんなどまさに、会の中心メンバーというより、専門家
として会に協力いただいている、ということにしたいのは、私の強い願望なのです。専門家を市民運
動の足につかってはまずい、との思いがずっとしてきたのです。専門家は今後、行政など政策決定の
場での貴重な人材です。一市民運動の範疇で動いていては、互いにまずい問題がでてくる。

2)河北潟をめぐって様々な動きが過去よりあり、その動機は様々である。本会としては、河北潟の
水質の浄化、自然保護、生態系保全、環境回復など会の方針と合致する行動に対しては行政、企業、
諸団体の動きは受け入れ、協力していく。

3)ただし、性急で、多数の住民の合意なしの動きについては情報を集め、安易な容認はしない(こ
れは干拓の問題をみても明らかである)。何らかの意志表示をする事が必要だ。

《ここまでは一般論ですが、次に今回の問題》

4)関係者から、経過報告、県への「申し入れ」の事情を聞く場を設ける。大舘さん、沢野さんが主
に説明をする必要があるでしょう。そして会として認識の一致を図る。
 第一当事者の藤木さんから、話をもらえれば一番いい。企業の環境に対する意識とかなぜ河北潟に
「目を付けたか」など、先日のような話をしてほしいと思う。
 みんなで議論すればいろんな意見がでてくると思います。同時に新しい運動の形が見えてくるかも
しれないし、地域エゴにとらわれない意識が芽生えるかもしれません。

5)会として、基本的に協力体制をとることになると思いますので、そのための会としての人事問題
(ちょっと大げさですが)を考える必要もある。
 ・大舘さん、沢野さんへの激励(?)と会の強化策を考える。
 ・当面のゴミ調査、水質調査を成功させる。
 ・会の財政的強化=会費納入者を一定数確保する。
 (最低30名ほどいないと格好がつかない。出来れば100名。会としての形をきちんとつくるこ
  とが必要)

6)いろんな宣伝の工夫をして、つねに河北潟が話題になるような動きをつくる。
 ・秋には、ゴミ調査、水質調査をふまえたシンポジウムを開催
 ・調査船の進水式をしよう!(船の名前を一般から募集する。採用者に粗品)
  (4級の小型船舶免許を複数の人が取得することも)

7)これまでの活動の中から皆んなで一致できる提言があると思いますので、それを行政や関係団体
へ申し入れる。(この案を皆んなでつくる)

8)ネットワークで9月に予定している「水の交流会」への参加。
 (私が企画案を作ることになっているんですが……)

9)来年の世界湖沼会議への参加と発言について。

10)関係諸団体、諸氏への協力方要請。

 以上のようなことを考えています。河北潟を考える会という一つの意志を持った会があるのですから、
なにをやるにもこの会を無視するわけにはいかない。みなさんから委託を受けて運営に携わっているわ
けですから、当然、こうした問題をさけて通れない。事務局として、事務的にも整理しなければならな
い。

以上です。

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