遊休水利権とはなんだ?(その2)


2005.2.3整理更新

建設省の公式見解を紹介

 先のテキストで、遊休水利権について若干の解説をした。
 根拠としたのは、昭和25年3月14日に建設省河川局長から各知事宛に出された「通牒」と、昭和41年に発行された「逐条河川法」によったが、その後発行された、「水利権実務ハンドブック」から遊休水利権をさらに検討したい。
 この「水利権実務ハンドブック」(大成出版社)に、「水利権実務一問一答」なる一章がある。著者は、建設省河川局水政課水利調整室とあるから、建設省の公式見解である。「逐条河川法」の解説を、より実務的に簡潔に述べている。


(1063頁)
【問】遊休水利権とはどのような状態の水利権をいうのか。

【答】遊休水利権とは、流水の占用の許可を受けているにもかかわらず、その許可に係る行為をしていない状態となっている水利権をいう。
 一つは、流水の占用がまだ開始されていないもので、流水占用を行うのに必要な施設の設置ができていなかったり、流水占用の目的を実現するために必要な要件(たとえば事業の認可)が満たされていなかったりするために起こるものである。このタイプのものを未開発水利権ということがある。
 もう一つのタイプは、一度は必要であった水利権が、その後不要になったにもかかわらず権利変更の措置が行われていないもので、流水占用の目的が消滅したり、必要水量が減少したりするときに起こるものである。
 このような遊休水利権が存続することは、権利の上に眠る者を保護することになるばかりでなく、他の緊急に必要な水利使用がを排除することになるなど、望ましい水利秩序を乱すことにもなる。
 これに対処するには、原則的には、流水占用の許可に際してその実現性を十分に考慮すること、期間の更新の申請際しチェックすること、さらに、必要があるならば、河川管理者の監督処分として、許可の取消しや変更などを行うことが必要となる。


 この「一問一答」によっても、遊休水利権の意味と問題は明快である。
 金沢市が犀川ダム建設時に設定した、工業用水の水利権は、流水占用の目的が消滅した典型的な遊休水利権であることがよくわかる。
 河川管理者である石川県は、平成11年4月、金沢市からの水利権更新申請があった時、適切に実態調査をし、取り消しをする責任があったのである。
 県の公文書にはこの更新決定に際しての調査資料は一切なく、漫然と事務的にハンコを押したものと推察されるのである。
 申請者の金沢市にしても、こうした問題あるとは思ってもみなかったであろう。こちらも漫然と申請したのだ。「作為責任」に対して「不作為」をなした、公務員の仕事ぶりが目にうかぶのである。(渡辺 寛@ナギの会)

追記:
2004年石川県は金沢市に将来も使わぬ工業用水の水利権の返上を求め、市は検討会を設置し、返上を決めた。


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