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認可前の工事着工が 県議会で質疑
土木部長がウソ答弁

本会が県へ公開質問をした内容を、県議会の各会派に資料として配付したところ、1999(H11)年
2月議会で取り上げられました。質問者は川上賢二氏(共)。
以下、議会議事録をもとに本会の指摘した問題点の質疑をまとめた(中見出しは渡辺)。

この質疑の中で、中島浩土木部長は、事実と違う答弁をおこなっている。
建設大臣の認可前は、「用地補償等の下交渉」をしていただけと答弁しているが、「辰巳ダム建設
精算設計書」を見ると、認可前に既に9億近い土地買収費が使われている。
詳しくは別ファイル「費用推移」参照のこと。

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平成11年2月議会 3月12日質問
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◆川上賢二氏質問
辰巳ダムの法的問題を問う
 第二点は、犀川の治水事業の法的問題についてであります。河川法第十六条では、「河川管理者は、その管理する河川について計画高水流量その他当該河川の河川工事及び河川の維持についての基本となるべき事項を定めなければならない」とされています。現在「河川整備基本方針」と呼ばれていますが、法改正前は「工事実施基本計画」と呼ばれていました。
 犀川については、一九八九年三月八日に知事から建設大臣あてに犀川水系工事実施基本計画(案)が提出され、一九九〇年七月十日に認可されています。また、一九八九年十二月五日に県から建設大臣あてに辰巳ダム建設事業全体計画認可申請書が出され、一九九一年二月五日に認可されています。
 一方、公共事業評価監視委員会に出された資料では──他の文書も全部そうですが──辰巳ダムの建設着手年度を一九八三年度としています。実際、一九八三年度から建設費が支出されています。しかし、一九九〇年七月十日以前には犀川水系工事実施基本計画は存在していませんから、八三度から九〇年七月十日まで、辰巳ダムは法律上の要件を満たさないまま工事が続けられていたのではないかという疑問が出てきます。また、河川法第七十九条第二項第二号に基づく辰巳ダムの建設事業全体計画は一九九一年二月五日に建設大臣によって認可されていますから、それ以前のダム建設は建設大臣の認可なしに行われていたのではないかという疑問が出てきます。ここからいろんな問題が出てきます。そこで、質問します。
工事実施基本計画なしに工事が進められてきた
 第一、一九八三年度から九〇年七月十日までの間、辰巳ダムは前提となる「犀川水系工事実施基本計画」が存在しないまま、違法な状態で工事が続けられていたことになるがどうか。違法状態でなかったというのであれば、その根拠を示していただきたいと思います。
 第二、どのような理由で一九八三年度辰巳ダムが着工されて以後六年もの間、基本計画は作成されなかったのか。着工当時から基本計画が存在しないことはわかっていたのか。それとも後から気がついて申請したのか。いずれでしょうか。
 第三、辰巳ダムの建設事業全体計画が建設大臣によって認可される一九九一年二月五日までは大臣の許可がないまま工事が続けられていたのですか。

◆中島浩土木部長答弁
既存ダムとの整合性を確保している
 まず、工事実施基本計画及び事業全体計画の認可等についてお答えいたします。御承知のように辰巳ダムにつきましては、犀川ダムや内川ダムなどの既存の治水施設との十分な整合性を確保した上で計画をいたしまして、昭和五十八年に国の補助金の交付決定を受けて建設事業に着手しておるところでございます。
禁止規定はなく、望ましくないが違法ではない
 御指摘のございましたように、河川法第十六条では、河川管理者は、いわゆる工事実施基本計画を定めなければならないと規定をしておるわけでございますが、この工事実施基本計画を定めるべき時期についての規定や、これを定めないで行う河川工事は禁止するといった規定はないわけでございます。
 従来から、河川工事の緊急性によりまして、まま工事実施基本計画の大臣認可の前に事業が行われることはございまして、こういったことに対しまして建設省は、こういった工事実施基本計画がない状態での河川工事の施行は望ましい姿ではないが、違法ではないというふうにしております。
認可以前は用地補償等の下交渉
 なお、五十八年に事業の採択を受けまして用地交渉等に着手しておりますけれども、実際にダム建設に必要な道路のつけかえ工事に着手いたしましたのは、平成三年二月五日の辰巳ダムの全体計画の認可後の平成四年の十二月でございまして、それ以前は詳細な設計や用地補償等の下交渉などを行っていたものでございます。
環境影響評価をふまえ時間がかかった
 それで、六年間の間の経緯でございますが、昭和五十八年に事業採択がされた後に、建設省の方と河川工事の実施の基本となるべき事項について、詳細に事前協議や検討を行っておったわけでございますが、特に当時法令上必ずしも必要としないものではありましたが、環境への影響を考慮いたしまして、県が独自に昭和五十九年度から六十二年度にかけて環境影響評価を行いました。
 この環境影響評価の結論も踏まえて工事実施基本計画につきまして協議をしたわけでございますが、若干の時間がかかったということでございまして、平成元年の三月八日に国の方に申請を行って大臣の認可を平成二年の七月十日にいただいたと、こういうものでございます。
 また同様に、事業の全体計画につきましても、工事実施基本計画に基づきまして、平成元年の十二月五日に申請をいたしましたが、平成三年の二月五日に認可を得た上で、平成四年の十二月からつけかえ道路の工事等の着手そのものは行っているわけでございます。
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