自然再生へ新しい市民活動始まる

1994年の河北潟をめぐる市民活動の混乱以後も、いくつかの団体が毎年6月初旬、
「河北潟クリーン作戦」に参加してきた。
この作戦は、1市5町でつくる河北潟流域協議会のよびかけによるものだった。
この活動に参加してきた団体を中心に、市民の自主的活動としての新しい組織づくりが模索された。
「(仮)河北潟自然再生協議会」である。
この会は、生物多様性、人と野生生物の共存などをめざし、生態系を重視することをうたっている。

以下の資料は、設立準備会のよびかけである。

【資料】
(仮)「河北潟自然再生協議会」設立準備会のよびかけ
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 河北潟クリーン作戦
 参加団体代表者 様

     (仮)「河北潟自然再生協議会」設立準備会開催について

 生態系の仕組みを重視した、河北潟の自然再生を目的とする会の、設立準備会を開催いたします。
 貴会のご参加、ご協力をお願い申し上げます。

 1984年、潟に捨てられた釣り糸等によって、野鳥が犠牲とならないようにとの思いから、野鳥保護グループによって始められた河北潟クリーン活動が、1995年から行政主導のもと、1市5町の住民を始め、漁協、つり愛好家、環境ボランティア、ライオンズクラブ、大学生、婦人団体等々、官民一体となって、毎年6月初旬、河北潟クリーン作戦を繰り広げて参りました。
 そして昨年のクリーン作戦終了後、参加諸団体の有志により、潟の将来像について協議を重ねてきました。その結果、かっての清湖と称された美しい河北潟の自然を取り戻したいとの思いがまとまり、「生態系重視の河北潟の自然再生」を目的に新たなる会の立ち上げをしようと意見が一致しました。
 つきましては、より多くの皆様のご賛同、ご協力をいただきたく、ご案内申し上げます。

 河北潟は、かつて琵琶湖や霞ヶ浦などとともに全国有数の大潟湖でありました。干陸が始まり農地整備が開始されるまでの一時期、干陸地一帯が遙か見渡す限りの大湿原を形成し、大小無数の池ができました。そこにはヨシ、ガマ、マコモ、そして柳、ハンノキ等の湿地植物が繁茂し、シギ、ガン、カモ類、オオワシ、オジロワシ等の猛禽類、セッカ、オオジュリン等、野鳥の種類数、個体数も増加し、日本有数の渡り鳥生息地となりました。野鳥だけではなく、魚やエビ、カニなど野生生物にとって絶好の生息場となった一時期があったことを、知る方も多いと思います。
 やがてブルトーザーによる整地が本格化し、干拓地の農地化が進むにつれ再び自然が消滅し、環境は激変していきます。その間、干拓地の生物たちは生息の場を求めて生き延びる努力を重ねてきたのです。
 河北潟干拓事業によって干拓地1,415ha、農地造成1,211ha、残存する水面は調整池と承水路を合わせて596haと、当初の3分の1になってしまい、内灘放水路と大野川の2カ所に防潮水門が設置され、残存水域の淡水化が図られたため汽水湖が淡水湖となり、矢板による護岸の直線化とあいまって、潟の環境に決定的ダメージを与えました。生態系は破壊され、ヨシ、ガマ、マコモの減少等で水質浄化の作用が失われ、流入する生活排水や農業排水等による水質汚濁を招きました。河北潟は富栄養化湖沼となり、現在も改善の兆しも無く、悪化の一途を辿っています。
 それでも渡り鳥の種類や数は、以前に比べ減ってはいるものの、今尚、ノスリ、チョウヒ、ハヤブサ、フクロウ、チョウゲンボウ等の猛禽類も多く、カモ、コハクチョウ等、多くの波り鳥が飛末する全国的にも重要な湖沼である事には変わりありません。
 昔も今も河北潟は、私たちにとってかけがえのない魅力ある潟であります。生物の多様性、人と野生生物の共存等をめざし、生態系を重視した河北潟の自然再生を考えて行きたいと思います。

                記

    (仮)「河北潟自然再生協議会」設立準備会
     日時 平成14年4月4日(木)午後6時30分〜8時30分
     場所 金沢市環境保全課会議室(金沢市西念3丁目4-25)

              (仮)「河北潟自然再生協議会」設立有志
                 問合せ先 金沢市環境保全課
                    TEL.076-234-5132


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