「慣例」がルールだ!
議会に提案された議案を、一般市民が知るのは新聞でしかない。それも議案の標題くらい。内容は市役所へ出向いて直接見るしかない。これはおかしいのではないか?
「IT社会に遅れるな」と、市長や議会関係者、こぞってインターネット・インフラ整備の重要性を語っているのに、市や議会のホームページにまったく載らない。
何故か? 関係者に聞くと、「慣例」だというのだ。
それ他の理由は、「代表制民主主義だから議会に公開すれば、市民に公開したことと同じだ」というのだ。これは呆けているのではないか。
市(執行部)と議会の関係と役割、だれに対して説明責任を負っているのかについて誤解も甚だしい。
市長は直接選挙で選ばれる。有権者に対して直接の説明責任がある。
同じく、議員も直接選挙で選ばれる。同様に有権者に直接説明する責任がある。その一番簡単な手段が、ホームページに資料を載せることだろう。
こうして、三者のチェック&バランスが緊張感をつくり、なれ合いや秘密などが排されていく。民主主義が育つというものだ。
こうした仕組みや責任などは、憲法と地方自治法で明確である。
審議会の非公開も慣例!
インターネットでの情報提供もさることながら、金沢市では、多くの会議が非公開である。会議開催も記者発表資料に載らないものが多い。
金沢市のホームページに「審議会等の会議」というページがある。いくつかの審議会の開催状況を紹介しているが、これに登場するのは、実際のごく一部である。
紹介しておこう。3月2日、新聞に「金沢市用水保全審議会が開かれ、市内を貫流する雀谷川と沼田川を金沢市用水保全条例に基づく指定をする結論を出し、市長に答申した」という記事が載った。
市のホームページのどこを捜しても、この審議会開催の情報はもちろん、過去の会議開催の記録も入手することができない。
担当の「用水・みち筋整備課」に聞いた。
「審議会は非公開で行っている。だからホームページにも載せていない。これは慣例である」という説明であった。……ビックリ!
市議会の常任委員会も非公開!
金沢市議会の委員会のほとんど(すべて!)は非公開である。会議終了の後、記録がホームページに紹介される。
一例を紹介。教育環境常任委員会。他の委員会も同様である。
会議の冒頭、請願案件について傍聴の是非を議論している。
◆教育環境常任委員会(平成15年9月19日)(冒頭部分を抜粋)
【請願第4号についての傍聴許可申請について】
上田章委員長:
当委員会に付託されている請願第4号について、委員会の傍聴希望の申し出があった。委員会条例第16条の運用として、一般市民の委員会の傍聴を許可するか否かについて、委員長は委員会に諮り判断することになっているので委員の意見を諮りたい。
森 一敏委員(社民):
議会を市民に開かれたものにしていくことについては、活性化小委員会でも議論になっている。原則、市民からの要望があれば公開をし、傍聴を受け入れ、今回は、その先例の第一にすることに意義があると考え、私は賛成である。
近松美喜子委員(共産):
私は請願を提出された方が、その審議の行方も見守りたいとの気持ちを考慮すべきであると考える。森委員が言われたように議会活性化小委員会で審議中でもある。今回から本会議のケーブルテレビ中継で公開が一歩進んだが、委員会の傍聴も公開になり、この教育環境常任委員会がその第一歩になればよいと考える。
【協議結果】
傍聴許可申請につき許可することに賛成の委員の挙手を求めたところ、挙手少数であった。委員長判断により不許可とした。
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※※ 傍聴賛成の意見だけで、反対意見がない。しかし傍聴が否決されている。請願提出者にとって、請願がどのように議論されるか知る権利があるし、議会も説明責任を果たす責任がある。その最小限の保障が傍聴というものだろう。これが金沢市議会の民主主義の実態である。情けない…!
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