2002.7.30
多くの非公開文書は公開されたが、
理由がいまいち納得できず、
審査会答申への評価は短期間では難しい。

 以下は、審査会の答申についての評価をまとめ、7月29日(月)、金沢市記者クラブを訪ね、発表してきた内容である。
 記者からの質問を受け、説明してきた。その後、市の情報公開業務の窓口へ行き、「参考資料として審査会に届けていただきたい」と、手渡してきた。

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金沢市情報公開及び個人情報保護審査会の答申について
                                 2002.7.29

                        ナギの会用水研究部会
                            代表  渡 辺  寛

 審査会が、1年以上審議した内容を短期間に精査・検討することは不可能であるが、情
報公開制度の充実、行政への市民参加拡大の視点から、最小限、以下のように評価と問題
点をまとめた。

◆肯定的に評価すべき点
1)95%の勝訴

  この度、審査会が金沢市長に対して提出された答申によって、金沢市長の非公開処分
 の多くが取り消され、単純に言って95%の「勝訴」と評価できる。

2)検証のための重要資料を入手した
  新たに開示された公文書によって、金沢市の辰巳ダム問題への関わりや、上辰巳地区
 の激変した環境を考える上で、重要な資料を得ることができた。

◆否定的に評価すべき点
1)重要部分が非公開

  金沢市が辰巳ダム建設事業に賛成する理由と思われる部分が非公開のままであり、条
 例の目的である《@市民への市政参加推進 A市政に対する市民の理解と信頼の増進》
 を阻害するものと言え、法律専門家が加わった委員会として問題がある。

2)公開の理由は納得できない
  処分を取り消した理由の多くは、「昔の資料であり、現在公開しても支障はない」と
 いう趣旨であるが、新たに提供された資料を見ても、その理由が妥当とはとうてい思え
 ない。年月経過と開示・非開示の基準を明確にすべきである。

3)市長も求めていた判断を避けている
  市長の弁明書の最後段にある「新条例の趣旨により、公開すべき情報とされるものに
 ついて判断を願う」との市長からの諮問について、全く触れておらず、情報公開制度を
 成熟させていく観点がない。

4)理由付記の原則を軽んじている
  非公開理由付記を明確にすべきとの申立に対して、「本件の非公開の理由については、
 根拠条項とその名称を示すだけではなく、ある程度具体的な理由の付記をすべきもので
 あったと思料される。」と短く述べるだけである。この意味について法的問題や基準を
 明確にすべきであった。

5)「個人情報」を誤解している
  非公開が妥当とされたものに、個人名が記されていると思われる部分がある。しかし
 この部分は、工事区間特定の基点の代わりに用いられているに過ぎず、「特定の個人が
 識別され得る情報」ではない。個人情報というものを誤って解釈している。

6)口頭聴取がなく審議の公正さに疑念残す
  この審議会の日程、参加者の資料を見ると、申立人への口頭聴取が一度も行われなか
 ったにもかかわらず、実施機関に対して、課長、担当者など幹部職員へ出席を求めてい
 る。公正な審議であったかどうか疑問がある。これは、法的な問題などの検討が行政よ
 りに傾いたと解釈されても仕方がなく、ひいては、第三者機関として法律で設置されて
 いる審議会に汚点を残す結果となっている。

◆今後のこと
 以上のように、この審査会答申には積極面と否定面が含まれており、審査会が将来に向
かって、制度の拡充と熟成、市民参加、行政の説明責任などの課題に対する社会的要請を
考えると、もっと積極的な判断が必要であった。このままでは行政の裁量の余地が広まる
可能性が残され、審査会自らの責任をより自覚すべきだと思う。
 こうした問題点を明らかにすることや非公開部分の公開について、申立人に残された道
は、行政訴訟しかないため、更に検討し、金沢市の情報公開制度の拡充、市民参加の拡大
の視点から、考えていきたい。
                                  以 上

 なお、一連の資料については、ナギの会のホームページにすべて掲載しているので、参
考にしていただきたい。
 ナギの会ホームページ http://homepage3.nifty.com/nagi/

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