河川カルテに”数字のねつ造”あり


掲載 2005.7.30


河川カルテが公表された。知事の記者会見の言葉によれば、次の内容である。
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……新潟・福井の豪雨災害等を踏まえ、豪雨災害に備えた体制づくりということで、石川県内の重要水防箇所、石川県の河川の緊急点検の実施を行うことにしました。
それに基づき各河川ごとの河川カルテ、つまり堤防の高さですとか、堤防の厚さがどういうふうになっているかなどを示したカルテを作成して、市町村に提供し、市町村が避難計画を策定することになります。……(H16.9.9 記者会見)
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さて、この河川カルテが公表され、県から提供された電子情報(CD2枚)に収められた河川ごとの表や数字の中で、犀川の最大のネック城南一丁目付近はどう調査されているかをみると、意外や意外、とんでもない数字のゴマカシを発見。




◆疑惑1:河川カルテが正しければこの付近は安全になってしまう!
鞍月用水堰付近 ↑
          350〜400地点が、雪見橋から200m下流付近
          この付近の拡大図と問題点を下図に示した。
上図の元図は県の河川カルテ:犀川水系犀川3-1-NO2.pdf (89KB)


◆疑惑2:拡大すればすぐ分かる数字の”ねつ造”


【解説】
この区間は、昭和47年から行われた犀川河川改修工事で取り残された区間で、流下能力は、犀川ダム建設(昭和40年)当時の 615m3/s 以下である。
ナギの会や辰巳の会等市民からの指摘で、平成16年度水防計画に急遽危険箇所(Aランク)として右岸 600mが指定された。
しかしこの図を見ると、No.350地点で、HWL(想定洪水位)は 31.75 で、右岸堤防より 41cm の余裕があり、安全になってしまう(=法的には1m必要)。
下の図は、その No.350 地点の断面図であるが、HWL 30.62 とある。同一地点のHWLが、1.13m も違う。
これは単純なミスではなく、縦断図の下段に書かれたHWL 31.75 は計画堤防からマイナス1mの数字であり、恐らくこの数字を実際に存在する断面図にあわせると堤防を越えてしまうので、適当に数字を考え、堤防の下にHWLのラインを書き入れたと推定される。つまり、数字のねつ造がおこなわている。(なお、この区間は、未整備区間であり、計画堤防などは存在しない。
また、1999年に完成した雪見橋の図面を見ると、この付近のHWLは 33.25 である。
結局、県から出される基礎的な数字がデタラメであることがよくわかる。
しかも今回の河川カルテは、水防という人命と直接関わっているもの。単なる予算消化のセレモニーではない。

◆No.350 地点の河川断面図


◆参考:雪見橋計画図面の断面図より

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(河川カルテと雪見橋の図で若干位置がずれる)

【解説2】
さて、このような数字のゴマカシやねつ造は犀川、城南一丁目だけの問題であろうか? 否、全県の河川に存在する可能性がある。実際は極めて危険な箇所であっても、河川カルテで示された数字やグラフでは、安全をしめしているのではないかという疑問である。
石川県が管理する60河川のほとんどが、未だ河川基本方針がなく河川整備計画もない。わずか8河川で基本方針が定められているだけである。

犀川という住民、市民から重大関心の目が注がれているところでもこのようなゴマカシがある。まったく住民の関心が行き届かない河川などに果たして県は河川管理者としての責任を果たしているか大いに疑問である。

いつかどこかで洪水が起き、犠牲者が出てから、「天災」だとされ、管理者の責任は不問にされしまうのだろう、と思う。これがいままでの河川行政の実態ではなかったか。「第二室戸水害」がそれを雄弁に物語っている。



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