金沢学/玉井信行先生の講演


掲載 2005.7.20

犀川の河川整備検討委員会と流域委員会を仕切っていた玉井信行金沢大学工学部教授(東大名誉教授)が昨年6月、ある論文を発表しました。

河川計画は哲学となりうるか
  ――犀川水系河川整備基本方針を例として

   河川技術論文集,10巻pp113-118,(2004.6)
    (共著),玉井信行・山本光利・福本俊明

この共著者となっている、山本光利氏は前石川県河川課ダム建設室長、福本俊明氏は前石川県土木部長(国交省より出向)。

先日、玉井氏の講演があるというので行ってきた。
◆金沢大学工学部土木建設工学科 公開市民講座
      ――金沢学のすすめ――身近な公共遺産」


この講座の初回が、玉井信行氏。
「河川計画は哲学となりうるか‐犀川水系河川整備基本方針を例として」昨年の論文の紹介。とうとう玉井先生、哲学者になってしまいました。

まず先生から自己紹介。
以下ちょっと内容を紹介
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東京大学を退官し、金沢大学にやってきた。
県の要請で犀川水系河川整備検討委員会に参加。犀川に河原にたたずみ、思案を続けてきた。この間、大学の授業はなし。犀川の河川整備だけを考えてきた。
その結果、河川整備の基本に「歴史と伝統を守る」を置くことに気が付き、委員会で委員のみなさんに提案して賛同をいただいた。その結果、辰巳用水が守られることになった。
委員会は、河川管理者にかぎりなく近い責任がある。(委員会の議論の経過、河川法の話、代替案などを紹介し) その結果現在の河川整備計画ができた。
全国の委員会では、県が作った案に専門家が意見をいう形だが、石川県では最初から委員会が案をつくり、知事に提案した。これは全国初のことだ。
(――まとめに入り、「哲学」の披露)
・論理学は、内容の普遍性、反証の可能性
・倫理学は、精神の健全性
・美学は、感覚の健全性
これまでの河川整備は、論理学の世界だった。倫理や美学をとりこめば哲学になる。そのキーワードが、「歴史と伝統」だった。
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参加者の多くが、お役人と業者。
講演が終わり、質問時間。
まず中 登史紀さんから――。
◆河川整備は哲学ではなく、実学のはずだ。出てきた数字が実際とかけ離れればおかしいと気づかなければいけないが、この検証せず、哲学とはいかがなものか?
◆私から質問。
委員会に市民からたくさんの意見や疑問が寄せられた。これをまったく無視して先生は委員会を指揮してこられたが、これが哲学と言えるか?
◆回答は、「委員会では委員の皆さんが議論し、だんだん一つに収束してきた」……意味不明 (>_<)

こういう講演でした。
◆この講座の内容・日程などはこちらへ

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さて、参考までに東大名誉教授の玉井信行先生が金沢大学へ来られた経過紹介。

1999年に開かれた、石川県公共事業評価監視委員会は、辰巳ダム事業について判断を避け、石川県と「反対派市民」との意見交換をするように要請し、その結果をみて考えるという無責任な態度をとりました。
その理由の第一は「この委員会には河川工学の専門の人がいない。責任を持った判断ができない」と言うもの。
◆参考:「県公共事業評価監視委員会、第2回会合でも辰巳ダムに結論出せず」
 http://www2u.biglobe.ne.jp/~saigawa/990316.html

この監視委員会で、「河川」に近い人は、石田啓氏(海岸海洋学・金沢大学工学部教授)と、川村國夫氏(土質学、金沢工業大学教授)。
この監視委員会の要請で辰巳ダムを巡って、県と市民の間で大議論が行われ、市民側の圧勝?になりました。
◆参考:「公共事業評価監視委員会への辰巳ダム意見交換会報告書」
 http://www2u.biglobe.ne.jp/~saigawa/debate_rep.html

この結果をうけて、監視委員会は結局、辰巳ダム建設を条件付きで「消極的」に了解するのですが、この後、金沢大学工学部が、土木学会誌に「河川工学者募集」の広告を出します。
5年契約で金沢大学に来てくれ、というもの。募集担当者は、石田啓教授。
これに応募したのが、玉井信行氏。

石川県は、「犀川水系河川整備検討委員会」を立ち上げ、玉井信行氏も参加。
専門部会では、名古屋大学、福井工業大学、岐阜大学、京都大学からの諸先生も参加。これらの皆さんは国交省の委員会でおなじみの顔ぶれ。