洪水偽装への監査請求が棄却

掲載 2006.3.25

 洪水偽造への監査請求が棄却されました。
 これは、中 登史紀氏が (株)アイ・エヌ・エーの業務委託費の支払いは、不法不当であると監査請求したもので、2月22日、県監査委員から棄却の通知があった。
 中氏は、2月28日、この決定に対するコメントをまとめ県記者室を訪問、発表した(小生も同席)。

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 棄却の概要は次のとおり。

請求の棄却内容
 県は現実の実態との甚だしい乖離があっても、「基準」、「委員会審議」、「国交省審査」を経て決めたものであり、県は決められた流量を業者に指示し、業者は指示どおりに行っただけである。業務の発注は県の合理的な裁量に委ねられており、裁量の範囲内であり、裁量権の逸脱、濫用にもあたらない。業者の業務遂行に問題はなく、県が業者に支払ったのは公金の不当な支出にあたらない。県の財務会計上の損害を与えていない。請求人の請求は棄却するというもの。

中氏は、今回の監査請求の意義について、次のように記す。
今回の意義
 今回は、事業の報告書作成の費用が不当な公金の支出であったとしても、数百万円と金額もわずかであり、240億円の事業そのものが不当な支出であるとの訴訟の前段階の「問題点の整理」ということに意義があると考える。
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渡辺コメント:
 棄却とは、審議した結果、請求を退けるというもので、いわゆる門前払い(却下)ではない。しかし通知内容を見ると、ほとんど国の基準とか手続の是非や裁量権に終始しており、実質審理は一切ない。
 洪水解析の専門家でも難しい問題がテーマであるから、しかたがないのだが、せめて決定の一部に 「我々全員は専門家ではないから、解析結果については判断できなかった。よって手続上の瑕疵の有無について審議せざるを得なかった」という趣旨のご挨拶があってもよかったのではないかと思うのだ。
 もし将来、事業差し止めの裁判になれば、解析そのものが技術的な争点として議論される。裁判所からの鑑定人や双方からの証人が議論を闘わせ1750m3/秒が100年確率の洪水かどうかが決着することになろう。 【◆関連:志賀原発2号機工事差し止め判決で「国の基準」を批判した。
 けどねえ……、(株)アイ・エヌ・エーの洪水解析にある「500m3/秒の洪水の発生確率が3年」だというのはどう考えてもおかしい。鞍月用水堰地点の流下能力が500m3/秒だから、3年に一度は溢れるってことを言っている。常識をもった人間なら「そんなバカな」と言うだろう。この地点は、明治18年に溢れた記録があるだけなんだから。
 また、昨年秋、水害訓練の準備をしていた業者の方は、こう言っていた。
 「ここは安全ですよ。絶対に溢れません。ここが溢れる時は、すでに下流一帯は大水害になっています。」
 と自信満々に話していた。←これ初公開 (^_^)v

 実はこの話、業者の間では常識になっている。知人の建設、土木業界にいる方からよく耳に入ってくる。しかし仕事になるから、トップのコンサルタントにぶら下がって仕事を受注している。従業員を路頭に迷わすわけにはいかない。自分達の仕事が理に叶っているかどうかは全く関係ない。
 公共事業費圧縮のご時世、洪水偽装はありがたい。洪水偽装は生命に影響がないからね。
 しかし、税金が不要不急で無駄なことにまわり、多くの弱者あるいは自然破壊、復元再生不可能な社会を作り出し、将来へ絶対的負の遺産を残すことは確かだ。これは誰もが認めることである。
 こうした正論を言うべき「専門家」の多くが悪しき公共事業増殖のトライアングルに組み込まれている。

◆監査請求 棄却通知(Wordファイル)
◆中 登史紀氏の感想(Wordファイル)
◆中氏による監査請求書の解説(HTMLファイル)


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