県議会、金沢市議会 地すべり問題で初質疑

掲載 2006.6.23

県は、根拠を示さずセレモニー答弁に終始

質疑内容紹介
中継録画と録音から文字化した。
聞き取り不能や理解不足による間違いはご容赦を。
不明部分は×××とした。
(記録:渡辺 寛)


尾西洋子 県議の質問(06/6/20 午前)   参考/尾西氏HP
  (会派=日本共産党  答弁は藤崎土木部長
  県議会初の大規模地すべり問題の質疑
  「川との距離60m」で質問と答弁にすれ違い

盛本芳久 県議の質問(06/6/20 午後)  参考/盛本氏HP
  (会派=スクラム喜望  答弁は藤崎土木部長
  環境の視点から穴あきダムの欠陥を指摘

森 一敏 市議の質問(06/6/21)       参考/森氏HP
  (会派=社民  答弁は山出保金沢市長
  15年間の議事録ふまえ市の態度を批判
  パブリック・インボルブメントの必要性を指摘



石川県議会
尾西県議の質疑
■質問
去る5月29日、奈良県川上村の大滝ダムの試験湛水中の地すべり発生を調査した国土問題研究所の専門家を迎え、辰巳ダムの予定地にある地すべり地帯の現地調査をおこないました。
この写真をごらんください。のばすと薄くなるもんですから見にくくて申し訳ないんですが。
この鴛原の土塊量は525万m3と新辰巳ダムの洪水調節量580万m3にも匹敵する地すべり地帯です。深さ50m、大滝ダムの深さは80m、これに匹敵すると指摘されました。3段階からなる河岸段丘が確認され、最近崖崩れが発生した様子がみられます。この赤くぬっている所です。その鴛原の大規模地すべり斜面の末端に北陸電力の鉄塔が立っています。
私は昨年地すべりでの送電鉄塔が倒壊した羽咋市の福水の事故を思い出しました。福水は、県で初めて警戒区域に指定されたと報告がありましたが、鴛原の鉄塔は羽咋より危険な地すべりの末端に立っているんではないでしょうか。
末端部は、斜面の重みを支えている重要な場所です。鉄塔の基礎面と川との距離はどれだけか。
昭和51年の地質調査のとき、30年前と現在の距離を教えてください。この崩落の原因は何か。昨年2月の調査報告書のときあったのか。いつ崩れたのか。
ここで羽咋市の福水の鉄塔倒壊のような危険性はないのかあきらかにしてください。
次に地形の最上部から、鴛原集落まで歩いて観察しました。地すべり特有の水の流れやため池の確認、盆地状の山相、樹木に一部の狭い範囲で動いた形跡のある土塊のところで根曲がりが見られる、滑落面と平行してコンクリート舗装にひびが確認されるなど、国土研の専門家の方の指摘は重要です。
L3地すべりブロックでは馬蹄型に浅く窪んだブロックが見られ、全体のすべりブロックに対してさらに新しい滑り現象がある可能性があること、鴛原集落の周辺にもため池が多く見られるが、これらはため池が農業用水をためやすい谷筋にあることで地すべり地形に特有の起伏の多い地形に起因することであること、 鴛原集落も要注意であることを指摘しました。
奈良県大滝ダムで人が住んでからずっとなかったのですが、ダムの試験湛水でほんの少しの水位で地すべりが起きました。3年たった今も、仮設住宅に住んでおられる。そしてダムの当初の総事業費予算230億円が6回の変更で3480億円、十数倍に膨れ上がっていることが紹介されました。
そして鴛原地区の地すべりは現在も動いている感じがする。
辰巳ダムはダム堤防にゲートがない穴あきダムです。地すべりが発生した場合、ダムの水位をコントロールすることができない危険性を持っている、県はもう少し地層、地すべりについて調査検討する必要があると指摘し、さらに県の地質断面図を作ったボーリングデータによると河川だったところに地すべり土塊がせり出したことを示しており、この地すべり活動は比較的新しい時代、ところが県はダムにより湛水しても地すべり安全率低下は5%以下で対策工事は不要としている。L3ブロック全体を対象に検討しているのではないか、小さいブロックごとに分割して部分ごとに調査する必要がある、地すべりは一般にそうした小さなブロックの動く活動の連続だと指摘されました。
そこでお聞きします。鴛原のL3地すべり地帯の再調査は決定的に重要です。ダム建設の前提条件としてこの地点の危険を指摘した国土研の専門家と含めた再調査必要が必要と考えますが、見解をお聞きします。
さらに穴あきダムの事例は全国で島根と兵庫の2カ所でしかなく、小さなダムしか事例がない、その有効性の検証は確立されていない、逆に大きな洪水だけでなく、中小の洪水の調節もおこなう結果になるので、流域水系の自然環境のバランスを壊してしまう懸念があるとも指摘されました。そこでお伺いします。少なくとも、少なくとも地すべり地帯の安全性が明らかになるまで辰巳ダム建設を凍結すべきだと思いますが、知事の見解をお聞きし、すべての質問を終わります。

◆答弁(藤崎土木部長)
辰巳ダムの建設問題につきまして、4点お答え申し上げます。
まず、送電線鉄塔の基礎と現河川の中心との距離についてですが
約60mございまして、昭和51年に貯水池周辺の地質調査と変わってないところでございます。また鉄塔近くの崩壊の原因につきましては現地は小さな谷地形でございまして、一部表層が降水等より浸食されたことにより、斜面が小規模な崩壊を引き起こしたものと推察されるところでございます。
次にこの小規模な崩壊につきましては、平成16年度10月鉄塔管理者である北陸電力の調査により、初めて確認されておりまして、昨年2月の時点で崩壊があったものと考えております。
また鉄塔の崩壊につきましては管理者の北陸電力が現地調査の結果この地区で地すべりがおこっているのではなく、小規模の崩壊が表層だけであり、鉄塔が崩壊する危険性はないとの見解をもってるということでございます。
次に鴛原地区のL3ブロックの地すべりの再調査につきましてでございます。
辰巳ダムの調整池周辺の地すべり調査につきましては国の研究機関の指導を受け、これまでも現地調査やボーリング調査などを行い、その結果必要な箇所には押さえ盛土工などを実施することとしております。
ご指摘の、鴛原地区のL3ブロックの地すべりにつきましては、これまでの調査の結果ダム水位の変動による影響は、著しく小さいとの結論がでており、再調査の必要はないと、このように考えておるところでございます。
最後に地すべりや穴あきダムの安全性についてのご指摘がございましたが、これまでの説明のとおり貯水池周辺の地すべり対策について詳細な調査をおこない、必要に応じて対策工事を実施することとしているところでございます。
また、辰巳ダムの穴あきダム形式につきましても、流域水系の自然環境バランスを壊してしまうとの懸念でございますが、辰巳ダムの場合大洪水時には洪水ピークをカットするが、中小洪水時にはおおむね上流からの流量がそのまま下流へ流下するなど、自然の流れをそこなわない計画となっているところでございます。
県としてはこのように、辰巳ダムの計画につきましては、安全性や環境、文化等にも配慮した見直しをおこなったものであること、さらにすでに99%の用地を取得しており、新潟福井のような水害から金沢市市街地を守るために、災害の治水対策の重要性緊急性がきわめて高いことに鑑み、辰巳ダムの早期完成に務めてまいりたいこのようにかんがえております。

■再質問(尾西県議)
土木部長に、鴛原のL3ブロックにある送電線、確認していただいたのでしょうか、60mといわれましたね。川との距離。私はほんと数m、立とうと思っても怖くて立てないような現在の状況でしたので、改めてどういう計り方なのか求めたいと思います。

◆答弁(土木部長)
送電鉄塔と川との距離について再びおたずねがございました。
先ほど答弁で申し上げたと思いますが、私がお答えしたのは、川、現河川の中心から現鉄塔の基礎までの距離をお答え申し上げたところでございます。

盛本県議の質疑
■質問
辰巳ダムについては100年確率の雨による降水量に関する疑問や先ほどの尾西議員の質問にもあったとおり超大規模地すべりの議論がおこなわれてこなかったことなど疑問が疑問が深まるばかりです。そして今計画されている治水専用ダムは環境にやさしいと宣伝されている穴あきダムですが、これにも疑問があります。先ほど指摘された水位の変動による地すべりの誘発に加え、環境への影響が懸念されます。中小洪水が発生した場合、ダム上流部では当然水位があがり、冠水する部分ができます。普通のダム同様その地域の小動物が死滅し植物連鎖が破壊され、周辺の生態系に大きな影響がでるのではないでしょうか。そして水面が変動することは、常に小動物の殺戮を繰り返すということになりませんか。見解を求めます。
またダムの下流部では流量変化が減少し中小の洪水がなくなると考えられ、犀川そのものを激変させるといわれます。
このような指摘については、どのような所見をお持ちでしょうか。

◆答弁(土木部長)
辰巳ダムの関係で2点お答え申し上げます。
まず、ダムの上流部が冠水するため小動物が死滅し、周辺の生態系に大きな影響が出るのではないかとのおたずねでございますが、辰巳ダム事業の湛水期におきましては、平常時は水が溜まっておりませんし、樹木の伐採をおこなわないことから、事業による小動物等の生活環境への影響は小さいものと考えております。
また今後実施するモニタリング調査によりまして、影響等があると予測された場合は、その影響を可能な限り回避、低減できるよう、保全対策を検討していくとしているところでございます。
またご指摘があったように洪水時には一時的に湛水はするものの時間をかけて水位が上昇することや貯水池内の流れも遅くなることからタヌキ、ヘビ等の小動物についてはある程度の避難も可能でございまして、周辺生態系に対する深刻な影響というものはないと考えているところでございます。
続きまして、ダムの整備で下流の中小洪水がなくなり、下流の流量が安定し犀川そのものを激変させるとのご質問がございました。辰巳ダムは平成16年度の計画見直しで洪水調節専用ダムとすることとなり、できる限り現況の自然の流れをそこなわないような計画にしたところでございます。このことにより、大洪水時には、下流の金沢市を防御するため洪水のピークをカットいたしますが、下流に被害を与えないような中小洪水のレベルではおおむね上流からの流量が自然に近い流れ方でそのまま下流に流れることとなり、大洪水以外は河川流量に大きな変化はなく、犀川の自然環境は激変させることはないと考えているところでございます。
新しい辰巳ダム計画はこのように自然洪水調節方式とすることによりまして、できるだけ自然の流れを生かすそうというものであり、加えて渇水時には河川維持流量を流下させるなど環境面でもより環境の改善をはかるために有効な事業であり、県としましては、今後も専門家のご意見、指導をいただきながら、自然環境にも十分配慮する中で、着実にダム整備を進めてまいりたいと考えております。

【金沢市議会】
森 一敏市議の質疑
■質問
犀川、そのほとりで生まれ育った私には、特別の愛着がある川です。ものごころついたときには、もう河原が遊び場でした。
小学校では犀星作詞の名校歌を歌い、向かい岸のカキ船をスケッチしました。放課後は、うぐいや河原のバッタを追い、子ども会行事では、犀星が育った雨宝院に集まって楽しい時間を過ごしたものです。
こんな私にとり、犀川水系河川整備計画において焦眉の課題となってきた辰巳ダム問題は身近な関心事です。
幼い頃に、大水のため蛤坂の親戚に一時避難した経験がありますし、越水危険度が最も高いと言われてきた犀川大橋下手流域を地元とする者としても、洪水や浸水被害の防止は、市政の優先的な責任であると考えています。
しかしながら、この間の議論を振り返ってみますと、「だから辰巳ダムである」との立場には立てないのです。
この15年間の議事録をひもといてみますと、生態系破壊の危惧、基本高水の根拠、大規模公共事業の見直し、内水管理を含めたダムによらない総合的な治水対策など多くの問題が提起されております。
これらが、貴重な自然と文化遺産の破壊を招いてはならないとの義憤にかられた予定地周辺住民や複数の市民団体の綿密な調査を踏まえた研究成果に基づくものであるのに比べ、県当局の見解を繰り返す答弁には建設の必要性についての説得力が感じられないのが率直な印象です。
ところで、2002年以降の計画見直しによって、2004年に辰巳ダム新計画が決定されました。これがいわゆる「穴あきダム」つまり治水専用ダムの新計画です。
ところが、この「穴あきダム」が、上流下流それぞれに深刻な生態系破壊を生じるおそれがあること、また、大規模地すべりを誘発する危険性があることが現在指摘されております。
私も複数の市民団体が主催する学習会、フィールドワークに参加し、かつて本議場で生態系を守れと果敢に質問を展開された本間前議員の調査報告も伺い、鴛原の大規模地すべり地帯の現況を目の当たりにする機会を得てきました。こうした経緯をふまえ、質問致します。
まず、「穴あきダム」は、人為的に放水量を操作できず、上流域では洪水時と平常時との間に水位の上下動が繰り返され、そのたび毎に動植物が水没による死滅を繰り返します。辰巳ダム建設予定地の犀川渓谷は、絶滅危惧A類のCにランクされるミゾゴイやサシパ、ハチクマなどの希少猛禽類が棲息していますが、そうした生物たちのえさ場としての広範囲の生態系に影響が危惧されます。
また、ダム下流域では、年間通じて水量が減少し、季節ごとの水流変化や一定期間ごとに繰り返される出水によって維持されてきた川本来の機能や生態、景観が著しい影響を受けると言われています。
1999年に施行された新環境影響評価法には、生態系への影響調査が盛り込まれました。新ダム計画が環境調和型であるというのであれば、湛水面積にはこだわらず、法の趣旨にのっとり、改めて生態系に焦点を当てた環境アセスメントを行うことが当然ではないでしょうか。ご所見を伺いいたします。
次に、ダム湖がおよぶ鴛原地区南西の斜面は、大規模地すべり地帯であることは県の地質調査報告書にも記載されています。その土塊量は新辰巳ダム容量に匹敵する525万立方メートル、分類上の「超大規模」の2倍を超える巨大規模地すべり地帯です。
新辰巳ダム計画にともない、県が3年前にコンサルタント会社に委託した調査では、湛水する水位は低く、地すべり地全体に比べ極めて小さいから対策の必要はないと結論づけながら、地すべり地の規模が大きいから、今後、別途調査と対策工を行う旨をのべております。
押さえがあって安定していた法面でも、ダム湖の水圧や水位変動によって崩れたり、それが連動して大規模な地すべりを誘発する、一般に知られていることです。奈良県紀ノ川支流で完成した大滝ダムで、試験貯水のさ中に地滑りが発生し、住民全員が移転を余儀なくされた例も報じられています。
私も、崩落が進み鉄塔のコンクリート基礎面がむき出しになった末端斜面から、地すべ地帯の最上部までを視察し、現在でも地すべりが続いている様子を確認できました。現在は安定を前提に、地滑りの危険を過小評価するならば、誘発する地すべりや崩落地すべりへの対策工事、堆砂の除去を繰り返し、ダムそのものの寿命をも縮めることになるでしょう。費用対効果も大幅に見直さなければなりません。
先例が島根県益田川ダムにあるだけの穴あきダム、地すべり地帯に建設するという未知の事業です。
先に建設ありきではなく、地質の状況、考え得る危険性、総体的なコストなどを厳しく調査し、ドイツで徹底されているような、参加と情報開示を軸としたパブリック・インボルブメントの手法を採用して、市民合意の結論を下すべきです。そうした手続きを欠いたまま、土地収用法に基づく事業説明を強行し、着工へしゃにむに突き進むことは見合わせるよう、事業主体である県当局に働きかけるべきだと考えますが、お考えをお尋ねして、私の質問を終わらせていただきます。

◆答弁(山出保 金沢市長)
辰巳ダムについておたずねでございました。
まずあらためて、生態系に焦点をあてた環境アセスをおこなうことが必要ではないか、このことでございますが、辰巳ダムは、環境影響評価法にもとづく環境アセスメントをおこなう対象の規模以下のために、法的義務はない、環境アセスの法的義務はないんだけど同法に準じまして、生態系とともに環境影響調査を実施してきたところでございます。
この結果をもとにいたしまして、自然環境の保全に務めたい、とこのように県から聞いております。
それから、地すべり地帯でもあるんで、市民合意を欠いたまま着工しないように県に働きかけるとのご主旨でございますが、ダム湖を含む周辺の地すべり性地形等を考慮して、想定される水の動きも含めて、地質調査や対策を実施しておりまして、その結果をもとに地すべり対策に万全を期すことにいたしております、
なお、これまで犀川水系流域委員会がございまして、この委員会におきまして、住民の意見等をふまえて、十分審議をして、その情報のほとんどは開示をしていると県から聞いています。
これからも、市民に十分理解を求めて事業を進めていくように県に働きかけてまいりたい、今日のご発言は、県に十分伝えたい、こう思っております。

■追加質問(森市議)
辰巳ダムについてです。
新環境影響評価法にもとづく環境調査というのは、調査のやり方を決定していく際に、なるべく意見を入れるというところに重要な手続き上のポイントがあると感じております。その部分が県が実施をしてきたようにおっしゃる調査には十分ではない面があるのではないか、したがって環境影響調査の結果について異議がでているのではないかと私は理解をしております。
この点に関して、県にたいして規模は小さいですけど×××であれば、新しい評価法に基づく住民合意のための適切な×××と私は思うんです。それからもう一つあるんです。パブリック・インボルブメントの手法、これも計画策定段階から市民の意見を聞く、ということを重視するということに一番力点をおいた新しいやり方なんですね。そんな意味で×××と住民や市民のだされた意見に対して後から対応するということ確かにあるんですけど、新しいダム計画ができなおかつ地すべり問題が発生してきているということを考えましても今後の×××のすすめ方、ダムの様々な考え方、そいうものに関わって、あらたにこのパブリック・インボルブメントの手法でのたとえば公開討論ですとか、そういった形の取りくみを導入していくことがやはり必要になってきているのではないか、いうように思います。そのことを含めて、県に対して、どのように働きかけをされるのか、お考えを聞かせてください。

◆答弁(市長)
辰巳ダムのことについてでございますが、環境アセスのことについて、手続き上のことをご心配でございましたし、もうひとつ、パブリック・インボルブメントの手法、これもいわば計画段階からの手続きのことでございまして、事業主体は県でございますので、今のご主旨は県にしっかりと申し上げたいと、このことをお約束をしたいと思います。


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